最近、授業中の子どもたちを見ていて強く感じることがあります。
そこそこ「勉強はできるのに、心が折れかけている子が増えている」ということです。
やる気がないわけではない。
能力が低いわけでもない。
むしろ、
優秀で真面目で、家でも努力している……。
にもかかわらず、
何かあれば「お父さんが」「お母さんが」
と、どこか疲れ切った目をしている子がいます。
こんにちは、赤穂市の個別指導塾Willbeの光庵です。
前回、↓このような↓内容で記事を書きました。
中学生や高校生で主体的に学ぶ姿勢を身につけるには、幼児期や小学生のうちの親子関係がかなり重要だという想いの元、中学生や高校生を見ていて感じることを書いてまいります。

そうなる背景には、
“善意100%なのに、子どもを潰してしまう親”
という、かなり重たいテーマがあります。
今日は塾で起きた事例や教育現場のリアルをもとに、「全力で子どもを潰してしまう親」の特徴と、その逆へと方向転換する方法を書いていきます。
1.「潰す親」は、ほぼ例外なく“善意で”動いている
まず強調したいのは、
子どもを潰す親=悪い親 では決してない
ということです。
むしろ、
- 教育熱心
- 子ども思い
- まじめ
- 情報収集に熱心
- 子どもの将来を案じている
こういう「いい親」であるほど陥りやすい。
問題は、
「子どもへの期待」と「子どもが出せる現実的な負荷」のミスマッチ
が起きていることに気づけない点です。
2.手間をかけて何もできない子に育てる方法
① すべてを「親が管理」してしまう
時間、勉強内容、ミスの分析、テストの振り返り……
ぜんぶ親主導で進む。
すると子どもは、
「自分の勉強」から「親の勉強」に変わる。
これが燃え尽きの始まりです。
私のthreadsに以下のようなコメントをくださった方がいらっしゃいます。
私が思う一番大事な事は 子供が転けそうになっても見守ってあげること 転けそうな道端の石ばかり拾ってたら 子供が転ける経験もできない 大きくなった時大変
勉強においてもそうです。
中学生にもなり、親と一緒に期末テスト対策をする。
一見、ほほえましいですし、成績は確かに良いと思います。
しかし、手を離した瞬間にまったく勉強しない子になります。
具体例① スケジュール
学校や塾のお知らせを、子どものバッグから親が取り出して確認する。スケジュールをチェックし、必要な準備物を整え、明日の段取りまで親が組み立てる。
⇒結果、子どもは「何曜日に何があるのか」「明日はどこへ行くのか」を知らないまま。すべて親任せ。
具体例② 何を勉強するのか?
子どものバッグから問題集やノートを取り出し、習った内容を親が確認する。その内容に合わせて問題集やプリントを準備し、コピーをし、取り組む順番まで決める。間違い直しも親の指導のもとで行う。
⇒結果、自分が何をすべきか、どう進めれば良いのか、子どもはまったく分かっていない。
具体例③ 場所が分からない/教養が育たない。
学校も塾も習い事も、すべて親が送迎する。子どもが一人で出かける機会はほとんどない。
⇒結果、塾の場所すら知らない。街にどんな店があるのかも分からない。電車・バスはもちろん乗れない。徒歩5分の塾であっても自力で行けない。さらに、登下校で友達とおしゃべりする機会もなく、コミュニケーションが薄くなる。
具体例④ 理由を知らない
塾も習い事も、そして進学先も、すべて親が決める。「うちは〇〇高校しか考えていません!」という絶対方針。
⇒なぜ塾をやめたのか、なぜその塾にしたのか、子どもは一切知らない。受験制度はもちろん、そもそもどんな高校があるのかすら分かっていない。
そして繰り返しておきます。
これ、すべて“中学生”の話です。
私は、中高生を見ていて思うことを小学校低学年に全力投入しています。
② 小さな失敗を極端に恐れる
- 宿題の提出忘れ
- 小テストの点数
- ケアレスミス
こうした“小さな傷”を親が許容できない。
しかし、教育とは本来、
「小さな失敗を大量に経験し、そこから立ち上がって強くなる」
プロセスです。
失敗を奪われた子は、成功の仕方も分からなくなります。
③ 「比較」が無意識に口癖になっている
- 「あの子はもっとできているよ」
- 「お兄ちゃんはこうだった」
- 「そろそろ頑張らないと高校が…」
比較は一瞬で子どもの自尊感情を削る。
どれほど頑張っても、“親の掲げる基準”に到達しない自分が残る。
自分を嫌いになれば、勉強も嫌いになるのは当然です。
④ ゴールを“親が決めている”
- この高校でないといけない
- この順位を取らないといけない
- このスケジュール通りに進めないといけない
「いけない」が積み重なると、
子どもの世界は息苦しくなり、
最後は “やらされ感”によって勉強そのものが停止 します。
⑤ 子どものSOSを「怠け」に変換してしまう
- 「集中できない」
- 「苦しい」
- 「学校がしんどい」
こうしたサインを、
「甘えるな」「頑張ればできる」の一言で処理してしまう。
でも実際は、
もう限界ギリギリまで頑張っている子が多い。
3.では、どうすれば「潰さない親」になれるか?
① 子どもに“選択権”を返す
- 勉強の順番
- 今日の優先順位
- 休むタイミング
子どもが自分で決められる範囲を“少しずつ”広げると、
主体性が戻り、意欲は自然に上がります。
② 「結果」ではなく「プロセス」を評価する
テストの点ではなく、
- 取り組んだ時間
- 集中力
- 前回より改善できた点
を見つけて言葉にする。
これだけで、自信が育つ。
③ 「小さな失敗」を許容する勇気をもつ
失敗とは、能力の低さの証明ではなく、
成長の手がかりです。
手を出しすぎず、子どもが転びながら進める環境を整えること。
それが親にしかできない“育て方”です。
④ 子どもではなく、親が「引き算」をする
- 塾を増やす
- 宿題を増やす
- 管理を増やす
- 心配を増やす
増やすほど、子どもは疲弊します。
足りないのは“努力”ではなく、“余白”です。
4.最後に:親の愛情が、子どもの未来を潰してしまわないために
だらしない男子が中3で急激に成績を伸ばす理由
中3から危機感を覚えて
急激に成績を伸ばす子がいます。
もちろん、勉強のことですから全員が全員そうであるとは言えません。
保護者様に話を聞くと、本人を信じて何も言っていない共通点が浮かび上がってきます。
保護者様からすれば、これは「賭け」だと思われるでしょう。
そうかもしれません。
やはり管理は子を伸ばし切らないように思います。
故に、私は「高校はどこでも良い」と言いがちです。
偏差値2上だから地域2番手。
○○高校より○○高校の方が上。
そのような話はつまらないのです。
最後に「子どもが動ける仕組み」
誰だって、わが子の幸せを願っています。
問題は、その方向です。
「もっと頑張れ」よりも、
「あなたはあなたでいい」という土台がある子は、
結果として、どの子よりも強く伸びていきます。
塾で長年子どもたちを見てきた実感として、
子どもが折れる原因の8割は、能力ではなく環境です。
小学低学年においては、算数そのものより別の角度から原因を考えるべきです。

そして「環境」の多くは、親の接し方によって変わります。
親が変われば、子どもは必ず伸びる。
それはどんな子でも同じです。
ここまで書いてみて、ありきたりのことしか書いていないと思います。
一見、成績が良いように見えても、
先が見えるお子様は切なくて仕方ありません。
お子様を信じるしかありません。
もう中学生ともなるとお子様を信じるしかありません。
それが、勉強しない道だったとしてもです。
高校生にもなって、
勉強の仕方が分かりません。
と本人に言わせたくはないと思っているWillbeです。
子どもを“動かす側”ではなく、子ども自身が動ける仕組みを一緒に作っていきましょう。

