赤穂市の進学個別指導塾Willbeの光庵(こうあん)です。
夏休み、家族と姪っ子たちを連れて、岡山県備前市日生町にあるBIZEN中南米美術館に行ってきました。
正直、行く前は「中南米…?マヤ…?」と、私自身もぼんやりしたイメージしか持っていませんでした。
ところが、帰ってきて2〜3日後、小学6年生の姪っ子が「ねえ、これ見てー」と、図書館で借りてきた本をおもむろに差し出してきたんです。
その本に、美術館で見たカカオの儀式の器が載っていた。
塾の先生として、これほど嬉しい瞬間はありません。
「学びの火がつく」というのは、まさにこういうことだと思いました。今日はその体験記です。
BIZEN中南米美術館
場所と基本情報
- 住所:岡山県備前市日生町日生241-10
- 電話:0120-346-287
- 開館時間:10:00〜16:45(原則事前予約制)
- 入館料:大人700円/高大生500円/小中学生300円
- 公式サイト:https://www.latinamerica.jp
赤穂市から車で約1時間。
日生の海沿いから少し入ったところにあります。事前予約が必須なのでご注意を。
到着した瞬間に「アタリ」を確信

着いた瞬間、私のテンションは一気に上がりました。
「これは…アタリの匂いがする」
写真撮影は許可をいただいています。
規模感、雰囲気、すべてが「ちょうどいい」。
そして何より驚いたのが、展示の解説をしてくださる方々のレベルです。
館長さんは若い頃にメキシコ大学で学ばれた、現役の放送大学講師。お話を伺っていると、専門用語がポンポン飛び出してきます。
- 英国レスター大学の「博物学講義」の題材として、この美術館の展示運営手法が紹介されている
- アメリカの大学のマヤ文明研究チームが、文字の解読や土偶の形状解析のためにこの美術館を訪れている
…正直、半分くらいは「なるほど(よく分からない)」状態でした笑。
中南米の知識はマチュピチュ、インカ帝国、スペイン??ぐらいw
でも、「ここがガチで専門性の高い場所だ」ということだけは、ひしひしと伝わってきました。
「本物の専門家」に質問できる贅沢

大きな博物館にも、もちろん良さがあります。展示品の数も多く、ゆっくり見れば一日では足りないほど。
でも、「規模が大きすぎて消化不良になる」という経験、ありませんか?
その点、BIZEN中南米美術館は規模がちょうどいい。そして何より、疑問が湧いたらその場で専門家に聞ける。
私はいつも、塾で「事物教育」の大切さを伝えています。本物の道具・本物の素材に触れること。机の上のドリルでは得られない学びがある、ということです。
その「事物教育」の最終形が、「本物の専門家との対話」だと思っています。
教科書には載っていない話を、その道を歩んできた人から直接聞ける。子どもにとって、こんな贅沢はありません。よくあるボランティアガイドさん(失礼ですが)ではなく、ガチの専門家との会話。これが、BIZEN中南米美術館の最大の魅力です。
6000年前の土器が、音を奏でる

館内には、信じられないほど古い時代の展示があります。
6000年前。
文明が始まったばかりの頃の土偶や器。一つ一つに、長い長い時間が宿っています。
中でも面白かったのが、お酒を流すと音が鳴る笛のような土器でした。
幸運にも、実際に音を聴かせていただきました。
「ポコポコ…?」
いやいや。そんな陳腐な音じゃないんです。なんとも形容しがたい、不思議な響き。
スマホのスピーカーから出てくる音とも、現代の楽器の音とも違う。6000年前の人々が、これを聴いていたのかと思うと、なんだか時間の感覚がぐにゃりと曲がるような気持ちになりました。
「なぜこの形なんだろう?」「どうやって音が出ているんだろう?」
子どもたちにとって、「不思議」と出会う体験は何より大切です。スマホを開けば一瞬で答えが出てくる時代だからこそ、**「すぐには分からない不思議」**に向き合う時間が、知的好奇心を育てます。
チョコレートの起源、カカオの儀式

この美術館で、姪っ子が一番熱心に見ていた展示。
それが、カカオを粉末状にして、約2リットルもの液体にして飲む、古代の儀式で使われていた器でした。
そう、チョコレートの起源です。
私たちが普段、何気なく食べているチョコレート。その原料であるカカオは、もともとは中南米で「神々への捧げもの」「儀式の飲み物」として使われていたそうです。
エクアドルあたりで発祥した「マヨ・チンチペ」という古代文化が、チョコレートの最初期の担い手だった、というお話を館長さんから伺いました。
(なお、1年後、マヨ・チンチペという言葉を覚えている自身はありません)
「チョコって、昔は薬だったの?」
「2リットルも飲んでたの?」
姪っ子の目が、明らかに変わった瞬間でした。
帰宅後、姪っ子が図書館へ走った

そして、冒頭の話に戻ります。
訪問から2〜3日後。
お盆休みも終わりに近づいたある日、姪っ子がおもむろに自慢げな顔で近づいてきました。
「ねえ、見て」
おーーーー。
おーーーー。
赤穂市立図書館で、自分で本を見つけてきたんだそうです。
そこに、美術館で見たあのカカオの儀式の器が、ちゃんと載っていた。
「一緒に行った甲斐がある、というものです。」
その後、
机に向かって本を読んでいる…と思いきや、
何やら別の本に目移りしていそうな空気笑。
「これですけど?文句ある?」みたいな顔をして、
表紙をこちらに向けてきました。

いや。
文句は何もありません。
はい。
黙ります。
ペッカリーって、何ですか?
姪っ子が見せてきた本のタイトルの1つが、これでした。
「iHola! ペッカリー」
…ペッカリー?
何それ?
実はこの「ペッカリー」、私も館内を歩きながら「これ何…?」と
気になって、
気になって、
気になって、
気になって、
気になって、
気になって、
気になって、
気になって、
最終的に館長さんに5〜10分ほど質問してしまった謎のキャラクターでした。
正解は、イボイノシシの学名だそうです笑。
それを理解するのに、ずいぶん時間がかかりました。
調べてみると、このペッカリー、界隈では大人気らしいです。ペッカリー単独ライブみたいなイベントがあるとかないとか。歓声があふれる、とかなんとか。
地味でキモカワ。
でも、なぜか病みつきになる。
実は、この本、私が中南米美術館で衝動買いした本で、Willbeにおいてあります。
私が買おうとしている時に、
姪っ子に「なんでそんな本を買うん?ミーハーか?」と笑われましたが、
買って良かった、と心から思っています。
「違和感」と「不思議」が、子どもの好奇心を開く
今回の訪問で、改めて思ったことがあります。
「学び」は、教科書をめくることだけではない。
- 6000年前の不思議な音を聴く
- チョコレートの意外な歴史を知る
- ペッカリーという謎のキャラクターに出会う
- 専門家から直接、生の話を聞く
こうした「ちょっと変わった体験」「すぐには整理できない違和感」こそが、子どもの知的好奇心を点火するのだと思います。
姪っ子が、誰に言われたわけでもなく、自分の足で図書館へ向かった。
あれは、美術館で点いた火が、まだ消えずに残っていた証拠です。
塾でいくらドリルをやらせても、こういう「自発的な学び」には敵いません。問題集の前に、まず「本物に触れる」「専門家と話す」「不思議を体験する」機会を、子どもたちには与えてあげたいと、心から思いました。
こんな方におすすめです
「マヤ・アステカ・古代文明、めっちゃ好き!」という方はもちろんですが、「どちらかというと嫌いではない」くらいの方にこそ、強くおすすめしたい美術館です。
大きすぎる博物館で消化不良になるより、ちょうどいい規模で、深く、専門家と語り合える。
「夏休みの自由研究、何にしよう…」と困っている小学生のお子様にも、最高の題材になります。
赤穂・備前エリアの方は、ぜひ一度足を運んでみてください。
事前予約をお忘れなく。
▶ 公式サイト:https://www.latinamerica.jp
▶ 〒701-3204 岡山県備前市日生町日生241-10
▶ TEL:0120-346-287
おまけ|「自分から学び始める子」をどう育てるか
最後に、塾の人間として一言だけ。
「子どもの自発的な学びを引き出すには、何が必要か?」
これは多くの親御さんが悩むテーマだと思います。
私の答えはシンプルです。
「本物に触れさせること」
それも、ドリルでも問題集でもなく、身体ごと現場に連れていって、専門家の言葉を浴びさせること。
今回の姪っ子のように、子どもは「自分にとって面白いと感じたもの」には、勝手に手を伸ばし始めます。
▶ 関連記事:「センス」の正体を分解する|図形が苦手な子は何が起きているのか
▶ 関連記事:日本玩具博物館で見つけた「不便なおもちゃ」の力
