図形が苦手な子は何が起きているのか|「センス」の正体は、粘り強さと色板で育つ

「展開図から立体が立ち上がる瞬間。図形のセンスは、頭の中で『動かせるかどうか』で決まります

赤穂市の進学個別指導塾Willbeの光庵(こうあん)です。

「うちの子、図形に苦手意識があって……」

このご相談を、本当によくいただきます。

毎年、中学生たちが頭を悩ます「点Pが動く問題」。小学生では立体の展開図、面積を求める問題、補助線を引く問題

学年が上がってお子様がつまずくたびに、保護者様は「図形のセンス」という言葉に翻弄されてしまうように感じます。

今日はこの「図形のセンス」というふんわりした言葉を、3キーフレーズでお話ししてまいります。

  1. 補助線は「ひらめく」ものではなく、試行錯誤の果てに「浮き出てくる」もの
  2. 色板やパズルを100回触った子の脳内には、3Dプリンタがある
  3. 算数センスとは、10分間、図形を睨み続けられる「思考の体力」のことである

目次

「センス」という言葉の罪深さ

「図形のセンス」は鍛えられる

「図形はセンスだ」と言われると、多くの親御さんは少し絶望します。

「うちの子、センスないみたいで」
「私も図形苦手だったから、遺伝かも」

こういうお声をよく聞きます。


でも、ちょっと待ってください。

「センス」を「生まれ持った才能」と訳した瞬間、

教育は終わってしまいます。

私はそもそも、「センス」をそんなふうに捉えていません。センスとは英語で言えば sense = 感覚です。感覚は、身体を使って磨いていけるもの。目を鍛え、手を動かし、頭の中で何度もイメージしてきた子だけが、後から「センスがあるね」と言われるようになるだけのことです。

つまり、「図形のセンス」は鍛えられるということです。


センスを3つに分解してみる

ふんわりした「センス」を、もう少し具体的に分解してみます。私は図形のセンスを次の3つに分けて考えています。

① 位置関係をとらえる力(空間認識能力)

ある物体がどの位置にあるか、どれくらいの大きさか、どういう形か。それを目で見て頭の中で再現する力です。これがいわゆる空間認識能力です。

野球選手が見ていない方向のボールを背面キャッチできたり、外科医が血管や臓器の位置関係を頭の中で立体的に思い浮かべて手術したりできるのは、この力のおかげです。

② 図形を言葉で説明する力(言語化)

意外と見落とされがちですが、これがすごく大事です。Willbeが特に重視している「言語化」の力です。

「ボールは、なぜ円ではないの?」と聞かれて、

  • 「丸いけど円とは違うから」
  • 「形が違うから」

としか答えられない子は、図形に弱い傾向があります。

正解は、「円は平面上の図形で、球は立体だから」です。ボールは立体なので、円ではなく球。

つまり、図形を「視覚的な印象」ではなく「言葉の定義」で理解できているか、ということ。これは学年が上がるにつれて決定的な差になります。

Willbe’s Eye / 塾長の視点

言語化が大事だとは言え、小さなお子様に図形の定義を○暗記させて言わせると、逆効果です。一般的には、小学4年生以上で大切だと言われています。

※個人差があります。

③ 解法を引き出しから取り出す力

図形問題には、「ひらめきが必要」と言われる問題があります。

でも私は、「ひらめき」は突然湧いてくるものではないと思っています。過去に解いた問題のパターンが頭の中の引き出しに整理されていて、目の前の問題と照らし合わせた瞬間、「あ、あれと同じだ」と取り出せる。それを傍から見ると「ひらめいた」ように見えるだけです。

つまり、補助線は「ひらめく」ものではなく、試行錯誤の果てに「浮き出てくる」ものなのです。


センスの正体は「思考の体力」だった

ここで、私自身の話を少しさせてください。

先日、京都の「たけのこ会」諌山先生が主催する勉強会に参加させていただきました。

このお題、私は1時間かかりました。大の大人が『え〜なんでなん?』と漏らす時間こそ、子どもにも必要な時間です


勉強会の大半は、子どもたちに取り組んでもらっている数理パズルや積み木を、大人が取り組む時間に割かれています。

その日のお題は、上の写真のもの。

正直、めちゃくちゃ難しかったです。

10分考えて、いろいろ手を動かしても、私の理性や論理は「これ、できないんじゃない?」と諦めかけました。心が折れて、思わず周りの人を見てしまいました。

でも、20分くらいやっていると、できました。

この感覚です。

「センスがある人」は、最初からスッと解けるわけではありません。10分悩んで、心が折れかけても、もう10分、もう10分と粘れるから、最終的に答えにたどり着けるのです。

算数センスとは、10分間、図形を睨み続けられる「思考の体力」のこと。

これが、私が現場で何百人もの子どもたちを見てきて得た結論です。


「机に向かう前から勝負はついている」

少し脱線します。

俗にいう「机に向かう前から勝負はついている」という言葉。これは、まさに思考の体力の話だと思っています。

塾の問題集を3周しても伸びない子と、1周でぐんぐん伸びる子の差は、勉強時間ではありません。

勉強机に向かう前の、人生の中で「ああでもない、こうでもない」と粘り続けた時間の総量。

それが、後から「センスがある」「地頭が良い」と呼ばれているもの正体です。

パズルを前に黙って考え込む子どもの後ろ姿

この沈黙の5分間こそ、算数の筋肉が育っている瞬間。
私たちはこの時間を、絶対に邪魔しません


「正解・不正解」「○・×」よりも先に、たくさん失敗して「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤すること。これが、Willbeで小さい子にまず手を動かす習慣を身につけてもらいたい理由です。

プリントや問題集には○×がつきます。

それは、ちょっと早いんです。


図形が苦手になる5つの原因

ここから、もう少し具体的に「なぜ図形でつまずくのか」を見ていきます。原因はだいたい5つに集約されると思っています。

原因① イメージ力が育っていない

たとえばサイコロの展開図を見て、「向かい合う面はどれとどれですか?」と聞かれた時。

頭の中で展開図を組み立てて、立体に変換する。

この変換ができない子が、本当に多いのです。

「L字型の図形の面積を求めなさい」という問題でも、「縦に切ればいい」「横に切ればいい」と分割の仕方をイメージできるかどうかで、解けるか解けないかが決まります。

このイメージ力は、机の上の問題集だけでは育ちません。 折り紙を折ったり、積み木を組み立てたり、粘土をこねたり。手を動かして「具体物」に触れた経験の総量が、後で図形問題のイメージ力として効いてくるのです。

原因② 基本用語の定義があいまい

「半径」と「直径」の違い、お子様にすぐ説明できますか?

…大人でも、ちゃんと説明できる方は意外と少ないです。

  • 半径:円の中心から円周までの長さ
  • 直径:円周から円周まで、中心を通る直線の長さ(半径の2倍)


似ていますが、別物です。

他にも、

  • 辺と面
  • 頂点と角
  • 直角と垂直
  • 線対称と点対称
  • 合同と相似

こういった定義が「なんとなく」で済まされていると、学年が上がった瞬間、問題文の意味自体が分からなくなります。「わかったつもり」が一番こわいのです。

原因③ 公式を意味も知らずに丸暗記している

「三角形の面積 = 底辺 × 高さ ÷ 2」

なぜ ÷ 2 なのでしょうか。

理由:同じ三角形をもう一つ用意してひっくり返してくっつけると、平行四辺形になるからです。平行四辺形の面積は「底辺 × 高さ」。三角形はその半分なので、÷ 2 する。

これを分かって覚えている子と、ただ呪文のように覚えている子では、応用問題に出会った時の対応力が全然違います。

公式の丸暗記は、

一見「効率がいい」ように見えて、

応用が効かない学習法の典型です。

(高校生にもなると、エーから暗記して、使いこなす演習しなさい、と言わざるを得ない瞬間もあります)

原因④ 図形を言葉で説明できない

これは原因②と重なりますが、独立した問題として大きいです。

図形に苦手意識のあるお子様は、長さや重さを聞かれているのに「大きい・小さい」でしか答えられなかったり、「cm」「cm²」「度」といった単位を正確に使えなかったりします。

中学生で「平方根」の意味がなかなか分からない子がいます。平方と言われて「cm²」を思い出して、自分で図を描いてみて欲しいと思うのです。

低学年のうちから、「定義の言葉」で図形を語れるようにしてあげること。これが、学年が上がってからの抽象的な内容に対応していくための土台になります。

原因⑤ そもそも、図形問題に出会う回数が少なすぎる

ここは、私が一番声を大にして言いたいところです。

正直に申し上げます。

ガチで中学受験を目指している一部のお子様、そして偶然、図形理解に役立つ遊び方をしてきたお子様。

この二者を除けば、ほとんどの小学生は、小学校の間にまともな図形問題に取り組んでいません。


学校の教科書や宿題に出てくる図形は、

  • 三角形・四角形の名前を覚える
  • 公式に数字を当てはめて面積を出す
  • 簡単な作図をする

このあたりで終わってしまいます。「補助線を引いて、合同や相似を見つけて、解く」というような、本格的に頭を使う図形問題に小学生時代に何十問・何百問と取り組んでいるのは、中学受験塾に通っている一部のお子様だけ、というのが現実です。






少し休憩です。







「中学受験しないのに、図形が得意な子」の正体

ただ、ここで重要なのは、「中学受験をしていないのに、なぜか図形が得意な子」も存在するということです。


そういうお子様の話を聞くと、ほぼ例外なく、

  • 幼児期から積み木やレゴでひたすら遊んでいた
  • 折り紙が好きで、いろんな立体を折ってきた
  • パズルやタングラムが家にあって、よく遊んでいた
  • 図工や工作が好きで、空き箱で何かを作るのが日常だった
  • ボードゲームやブロック系のおもちゃで遊び込んできた

…といった共通点があります。


つまり、

「たまたま」図形理解につながる遊び方をしてきただけなのです。本人も親御さんも「これが算数のために役立つ」とは思っていなかった。でも結果的に、頭の中で立体を回転させたり、形を分解して組み立て直したりする力が、知らないうちに育っていたのです。

木の質感、手垢、欠け。何百人の子どもの指が触れてきたWillbeの教具です。

「木の質感、手垢、欠け。何百人の子どもの指が触れてきたWillbeの教具です。


これが、私が伝えたい第2のキーフレーズです。

色板やパズルを100回触った子の脳内には、3Dプリンタがある。

頭の中で立体を回し、分解し、組み立て直す。この「脳内3Dプリンタ」は、紙の上のドリルでは絶対に作れません。手で触った時間が、そのまま脳内の解像度になります。

だからこそ、中学受験をしないご家庭ほど、家庭で意識的に図形と触れる機会を作ってあげるべきだと私は思っています。「たまたま」に賭けず、意識的に遊びをデザインしてあげる、ということです。


Willbe式「見える算数」|図形と数を融合する3つの道具

ここから、具体的にWillbeで何をしているかを紹介します。

低学年で最初に差がつくのは、計算力ではありません。「考えをイメージできる力」=数の世界を“見える化”できる力です。

この力が強い子は、文章題・時計・長さ・図形・単位・大きな数の理解……と、3年生以降の壁をスルッと越えていきます。

Willbeでは、低学年向けに3つの道具を中心に使っています。

① 積み木:空間が「数のライン」として見えるようになる

積む・並べる、ただそれだけで、子どもは縦・横・段・対応関係を身体で覚えていきます、Willbeで実際に使っている積み木の写真


「積む・並べる、ただそれだけで、子どもは縦・横・段・対応関係を身体で覚えていきます

積み木を積む・並べる。ただそれだけで、子どもは

  • 高さ
  • 等間隔
  • 対応関係

など、算数の基礎語彙を身体で理解します

「3段の上に2つ載っているから全部で5個」

こうした構造の理解が自然と育ちます。

② パターンブロック:図形の「数の規則」に触れる

三角形6枚で六角形。これはパズルではなく、図形を『数のまとまり』として扱うトレーニングです

「三角形6枚で六角形。これはパズルではなく、図形を『数のまとまり』として扱うトレーニングです


三角形6枚で六角形になる。台形2つで大きな台形ができる。

これらは単なるパズルではなく、図形を「数のまとまり」として扱うトレーニング。高学年以降の図形証明の前段階にもなります。

③ 図形パズル:分解 → 合成 のダブル回路

タングラムや色板で図形を組み立てる子どもの様子] キャプション案:「分けて、組み立てて、また分ける。図形が苦手な子が一番つまずく回路です

「分けて、組み立てて、また分ける。図形が苦手な子が一番つまずく回路です

  • 図形を分ける
  • 図形をつくる
  • 余白を探す
  • 最小単位に分解する

これらは、図形が苦手な子が一番つまずく部分です。早い段階でこの回路が育つと、中学受験レベルの図形もラクに入れます(本当に違います)。


家庭でできる「3分ワーク」3つ

「塾ではできても、家ではどうしたら……?」

そう思われた保護者の方へ、今日からできるシンプルなワークを3つ紹介します。

① 「見える数」の積み木ワーク(3分)

積み木を3つ置く → その横に「3」と書く。
積み木を1つ足す → 数字も1つ足す。

これだけです。

小1でも「数 = 量 = 並び」が一体化します。抽象的な数字が、急に生き物になります。

② 「この形、何枚でできてる?」パターンブロッククイズ(5分)

六角形を作って見せて、聞いてみる。

「三角形だったら何枚でできるかな?」

子どもが考えたら、実物で一緒に検証。数と形の対応を実感できます。

③ 文章題を図にする習慣(1問だけでOK)

例)「りんごが3つありました。2つ買いました。」
 → ●●● + ●● = ?

  • 絵で描く
  • 線で描く
  • ブロックで置く

どれでも良いです。とにかく「数を図形化」する習慣が、算数のセンスを育てます。


ただし、注意点が1つあります

ただパズルと積み木を使って遊んでいるだけでは、賢くなりません。

(なることもあります。でも、効率は良くないです。)

大切なのは、会話です。

「これ何枚でできてる?」
「他の組み合わせはあるかな?」
「もう一つ作ってみる?」

誰かと話しながらワチャワチャやるから、賢くなる。

これは、Willbeで日々の指導で対話教育を大事にしている理由でもあります。


100人中80番→30番に伸びた、ある工業高校生の話

ここで、「人生が変わった一人の生徒」の話を聞いてください。

彼と出会ったのは中学1年生の頃でした。

学校のテストでは、100人中80番ぐらい。

一言で言えば不器用でした。1次関数の図を描くにも一苦労。見えないものを見るのが苦手だったのです。

頑張っているから、なんとかしてあげたい。でも不器用だから、演習量に対して結果のコスパが悪い。子どもも親も先生も、3人とも我慢できなくなる……。

でも、その子は頑張る子でした。

だから、授業の1つをひたすら「立体のあらゆる角度から描く点描写」にしてもらいました。

点描写の段階別ワークシート(そのまま写し→対称→角度違い→動かす)の写真] キャプション案:「この5枚のプリントが、3年後の彼にCAD設計の力をくれました

点描写の段階的レベル

レベル1:そのまま書き写す

最近は、教科書や問題集の文章すらまともに書き写せない子が増えています。これがまずスタートです。

レベル2:左右対称に書き写す

これも結構難しい。中3理科の天体は、これができないと相当苦しいです。

レベル3:右から、左から、下から、上から見た図を描く

工業高校でCADを使う時、これが効いてきます。

レベル4:物体を動かしてみる

中学高校数学でいう「動く点P」。今、小学4年生に取り組んでもらっています。


2年もやれば、慣れてきました。中3で2次関数や相似を勉強する頃には、1発で理解できることが増えてきたのです。

5教科のすべてを得意にしてあげることはできませんでしたが、100人を超える中学校で30番ぐらいまで伸びてくれた。地方工業都市の工業高校は名門であることが多いですから、よく合格できたなと感心しています。

そして、卒業した彼が最近、こう教えてくれました。

「先生! CADの勉強するときに、あの時の意味不明な練習が役に立ってます♪」

CADとは、コンピュータで設計図を作る技術です。物体を上から見た図、右から見た図、下から見た図をイメージできないと、設計図を描けない。

中学時代にやっていた意味不明な点描写が、5年後に工業高校での専門技術として花開いたわけです。

訓練でセンスは鍛えられる。

これは、私が現場で見てきた紛れもない事実です。


「目で解く幾何」を作った、ある男の子の話

別の話もさせてください。

先日、東京出版の「高校への数学」を編集されている方と知り合いました。

その方のデビュー作が、「目で解く幾何」という問題集だったそうです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

目で解く幾何(円・三平方編)(高校への数学)
価格:854円(税込、送料無料) (2026/5/14時点)


きっかけは、ある中学生の男の子だったそうです。

難しい幾何(図形)の問題を、鉛筆を使わずに、目で見ただけで解いてしまう子がいた。「目で解く気か?」と大人たちを驚かせた、その子の頭の中を解剖するために、この教材が生まれたそうです。

私はこの話を聞いて、この教材を読んで、「そうそう、こういうことなんだよな〜」と深く頷きました。

頭の中で図が動いている子には、紙の上で式を立てる子は勝てません。経験量が決定的に違うからです。

しかし!

弊塾、中学生には「目で解く幾何」に挑戦はしてもらっていません!難しすぎます笑


大人になっても効いてくる|大学生・社会人になっても

弊塾の中学生で、学校より少し早いペースで進めている子に、上記の「目で解く幾何」のような教材に取り組んでもらっています。学校の数学定期テストでは、80〜90点を取ってくる子たちです。

それでも、岡山大学工学部に通うWillbeのアルバイト大学生が、その様子を見てこう言いました。

授業が終わってからです

「なんでこんな図が分からないのかが分からない。物理と数学で苦しむのが目に見えている」

私もまったく同意見でした。

問題集を繰り返すだけでは、超えられない壁があるのです。

逆に、

別の話もあります。

岡山大学教育学部を卒業した別のアルバイト大学生に、中学生と同じ課題をやってもらったところ……同じく、難しい図形では止まってしまいました。

努力家でした。中学からの付き合いで、本当によく頑張る子でした。それでも、「図が見える」という壁を完全には越えられなかった。

これは能力の話ではなく、幼少期から積み重ねてきた「経験量」の差なのです。


SPI(就職試験)でも、算数が勝負どころ

ついでに言うと、就職活動でも算数が問われます。

20年前からあるSPIという適性試験。一部の企業では今も使われています。

私立文系が数学で揶揄されることが多いですが、SPIは算数が勝負どころです。

「企業は学歴で採用しているのか?」という議論はありますが、「算数が苦手な人を採用したくない」と思っている企業が多いのは間違いありません。

算数や数学が苦手だから不幸、とは思いません。個性も人間性も大事です。ただ、基礎基本というものはあるのです。

塾でバイトするとSPIに強くなります!

え?


中3の3学期に「相似」が登場する、という現実

もう一つ深刻な問題があります。

中学校のカリキュラムでは、図形の最重要単元である「相似」が、中3の3学期になってからようやく登場するのです。

少なくとも、赤穂市の中学校では。

3学期は、ご存知の通り、もう高校受験の直前期です。学校の授業で相似を一通り習い終わるのは、年明け以降。そのまま入試本番を迎える子が、毎年大量に発生しています。

入試では「相似と三平方の定理を組み合わせた図形問題」「円と相似の融合問題」など、複雑な図形問題が必ず出題されます。本来であれば、相似を習った後に何十時間もかけて演習を積み、解法のパターンを引き出しに整理してから入試に臨むべきなのです。

ところが現実は、相似を習い終わった瞬間に入試本番

一番大事な図形の演習をする時間がないまま、高校受験を迎える——これが中学校3年間の図形カリキュラムの現実です。

だから、Willbeでは中3生に対して、夏前から相似の先取りをして、夏休みから秋にかけて図形演習をしっかり積めるように指導しています。学校のペースに任せていたら、絶対に間に合わないからです。


学年別|図形の力を育てる関わり方

では、家庭で何ができるのか。発達段階別に整理します。

幼児期|図形を「遊び」として体験する

幼児期のテーマは、ただひとつ。「遊びの中で、たくさんの形に触れる」です。

  • 折り紙、切り紙
  • お絵描き
  • 積み木、ブロック、立体パズル(タングラムや三角パズルもおすすめ)
  • 空き箱を使った工作
  • 粘土

「三角に切れるかな?」「ブロックで車を作れる?」と声をかけてあげてください。

ここで大事なのは、「これは三角形」「これは四角形」と知識を教えることではありません。手と目と頭で形を体験させること——つまりアナログ体験を積ませることです。

タブレットで図形アプリをやらせるよりも、まずは手で触れる。これは譲れない順番だと思っています。

小学校低学年|感覚から具体への橋渡し

低学年は、感覚的に親しんできた形を「図形」として整理する時期です。

1〜2年生では、形の名前と特徴、三角形・四角形を見分ける、辺・頂点といった用語。

3年生になると、二等辺三角形・正三角形・円・球の性質、コンパス・三角定規の使い方、角度の概念……と、一気に内容が増えます。

ここで「コンパスがうまく使えない」「三角定規の置き方が分からない」というつまずきが生まれます。これは手先の巧緻性の問題でもあります。

「正方形ってどんな形?」「正三角形と二等辺三角形の違いは?」とご家庭でも問いかけてみてください。子どもが言葉で説明する練習になります。

Willbe’s eye

どういう言葉遣いが良いのか?

学年ごとに扱う言葉が変わります。

迷われたら「教科書」を見てください。

小学校高学年|抽象化への対応

4年生から、図形は一気に抽象的になります。

  • 平行四辺形、台形、ひし形
  • 立体図形の基礎、見取り図、展開図
  • 分度器による角度の測定
  • 平面図形の面積計算

ここで「面積って何?」がスタートします。

重要なのは、計算力ではなく「なぜこの公式を使うのか」を説明できることです。

5年生

角柱・円柱の見取り図、展開図、体積/合同な図形の作図/多角形の内角の和

6年生

円の面積、角柱・円柱の体積/拡大図・縮図(相似の基礎)。

Willbe’s eye

先取り学習を急ぐご家庭もいらっしゃいますが、6年生で図形が苦手なお子様には、思い切って3年生まで戻ることをおすすめします。

中途半端な復習よりも、土台から積み直したほうが、結局は早い。これは何度でも申し上げたいことです。


まとめ|「センス」は鍛えられる

図形が苦手なお子様には、決まって「うちの子はセンスがないから」とおっしゃる親御さんがいらっしゃいます。

でも、ここまで読んでいただいた方には、もうお分かりかと思います。

「センス」は、生まれつきのものではありません。

幼児期に手で具体物に触れた経験。低学年で言葉と図形を結びつけた経験。中学年で公式の意味を理解した経験。高学年で何度も補助線を引いた経験。そのすべての積み重ねが、後から「センス」と呼ばれているだけです。

ということは、今からでも遅くないということでもあります。年齢に応じてやるべきことは違いますが、いつ始めても、次の3つは変わりません。

  • 身体を使う(身体性・アナログ体験)
  • 手を動かす(事物教育・色板・パズル)
  • 言葉で説明する(言語化・対話教育)

「うちの子、図形が苦手で……」とお悩みの方は、まずこの3つのうちどれが弱いかを見てあげてください。問題集を増やす前に、見るべきところがあるはずです。

そして、3つのキーフレーズを思い出してください。

  1. 補助線は「ひらめく」ものではなく、試行錯誤の果てに「浮き出てくる」もの。
  2. 色板やパズルを100回触った子の脳内には、3Dプリンタがある。
  3. 算数センスとは、10分間、図形を睨み続けられる「思考の体力」のこと。

センスは、生まれつきではありません。手と目と頭で、コツコツ積み重ねた時間の総量です。


よくある質問(FAQ)

図形のセンスは、生まれつきですか?

いいえ、鍛えられます。 野球選手も外科医も、最初から空間認識ができたわけではありません。手を動かし、言葉で説明し、頭の中でイメージする訓練を、長い時間積み重ねた結果としてセンスが育っています。「うちの子はセンスがないから」と諦めるのは、本当にもったいないのです。

何歳から始めればいいですか?

幼児期からが理想ですが、何歳からでも遅くありません。年齢に応じてやるべきことは違いますが、「手を動かす・言葉で説明する・イメージを使う」という3つの軸は、いつ始めても変わりません。

本来は、遊びのなかで身につけていくのが理想ですねっ

中学受験をしないなら、家庭で何をすればいいですか?

最も簡単なのは、家にパズル・積み木・タングラムを置くことです。それだけで「たまたま図形が得意になる子」と同じ土俵に上がれます。 さらに余裕があれば、点描写・展開図遊び・ペントミノなどを取り入れてみてください。週に10分でも続けるかどうかが、5年後の差になります。

私は、マイクラのフリーモードで遊べるなら、十分だと思っています。

すでに小学校高学年です。今から間に合いますか?

間に合います。ただし、「中途半端な復習」ではなく、「3年生まで戻る勇気」を持ってください。今の学年の問題集をぐるぐる回すよりも、土台から積み直すほうが、結局は早く伸びます。

計算も図形も文章題も苦手なら、、、何かを選ばないといけません。

中学受験をする予定ですが、塾の図形が苦手です。どうしたら?

中学受験塾は「進度を急ぐ」性質があります。図形が苦手なまま進むと、雪だるま式に分からなくなります。

ただ私は中学受験から逆算して、勉強を組み立てた経験はございません。長期的な視野であればお答えはできます。

中学生・高校生になってから図形が苦手と気づきました。手遅れですか?

正直に申し上げると、幼少期からやってきた子に追いつくのは大変です。でも、絶対に無理ではありません。 中学生からなら「目で解く幾何」シリーズなどの教材を使わなくても、解法のパターンを意識的に積み上げていく方法があります。

とにかく、図の書き方、学校の先生や塾の先生が、どういう手順で塾を書いてるのか、ひたすら観察してください。

高校生からでも、難関大の図形問題は「数のまとまり」「補助線の引き方」を意識的に訓練すれば、必ず伸びます。


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この記事を書いた人

光庵 良仁のアバター 光庵 良仁 赤穂市の進学個別指導塾Willbe塾長

●1983年6月17日生
●赤穂市出身
●赤穂高校卒
●立命館アジア太平洋大学卒

2019年3月兵庫県赤穂市に「個別指導塾Willbe」を開校。Willbe理念は「赤穂市に最高の大学受験環境を」。

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