赤穂市の進学個別指導塾Willbeの光庵(こうあん)です。
教室に置く「今月の追加図書」をパラパラとめくりながら、
一人でニヤニヤしていました。
今回仕入れたのは、『ガチョウのペチューニア』をはじめとする数冊の絵本。
ニヤニヤしてる自分に気が付いた時の私たるや😢
そんな絵本たちを眺めているうちに、保護者様からよくいただくご相談を思い出しました。
「子どもへの絵本の読み聞かせって、やっぱり毎日やったほうがいいですか?」
「どんな絵本を読めば、語彙力や想像力が育ちますか?」
「読み聞かせしないと、語彙力が低い子になりますか?」
世間では、読み聞かせは絶対的な善とされています。
でも、現場で多くの子ども、そしてお母さんお父さんを見てきた私には、ずっと温めてきた仮説があります。
読み聞かせの効果は、本の中身よりも、読んでいる大人の「気持ち」で決まる。
今日は、そんな話です。
絵本を「読む側の体温」
ガチョウのペチューニアを知っていますか?
最初に、今回の主役の絵本を紹介させてください。
『ガチョウのペチューニア』(ロジェ・デュボアザン作)。
主人公はペチューニアという名前のガチョウ。ある日、農場の片隅で1冊の本を見つけて、
「本を持っていれば、私は賢くなる。」
と思いつきます。
ペチューニアは1日中、本を脇に抱えて農場を歩き回ります。仲間の動物たちから「ねえ、教えて」と相談されると、得意げに本を開いて適当なことを言う。
馬の足にトゲが刺さって痛がっていれば「これは食中毒だ」、牛が病気になったら「もう一度本を見ましょう」。当然、毎回大失敗します。
最後、ペチューニアは大爆発事故を起こして、ようやく気がつきます。
「本を持ち歩いているだけでは、賢くなんかなれない。中身を読んで、考えて、初めて知恵になる。」
と。
「子どもにスマホを買い与えれば、何でも調べられるから賢くなるはず」
「教材を買い込めば、子どもは勉強するはず」
「家に本を並べておけば、自然と読書好きになるはず」
私たちも、似たような勘違いをしていないでしょうか。
「持っているだけ」は、何の意味もない。
これが、ペチューニアが教えてくれる真実です。
耳が痛い笑
だから絵本は「読む側の体温」が大事なんです
ペチューニアの話と、絵本の読み聞かせの話は、実は同じ根っこを持っています。
「いい絵本を子どもに買い与えれば、語彙力が育つはず。」
これも、ペチューニアと同じ勘違いなんです。
「よみきかせ」そのものに、魔法の力はありません。
そこに「読む人の体温」が乗って初めて、子どもに届く何かになる。
「この絵本を読めば、言葉の力が育つらしい」
「賢い子にするために、1日3冊ノルマをこなさなきゃ……」
もし、こんなふうに義務感や作業として絵本を読んでいるとしたら、少しもったいないかもしれません。
子どもという生き物は、大人が思う以上に非言語のメッセージを敏感に察知します。
- 声のトーンが義務的になっていないか
- ページをめくる速度が急ぎ足になっていないか
- 「早く寝てくれないかな」という空気が出ていないか
- 逆に、大人が「この時間、いいな」と心から楽しんでいるか
子どもが受け取っているのは、絵本に書かれた活字だけではありません。
読んでいる親御さんの「楽しそうな雰囲気」「間の取り方」、つまり大人の体温そのものを、子どもは五感で吸収しています。
「楽しそうな大人」を見たことがない子の話
少し脱線します。
塾の現場で、いろんな子と出会ってきました。
中には、「楽しそうな大人」を見たことがない子もいます。
家庭が悪いという話ではありません。両親は懸命に働き、子どもを大切にしている。それでも、子どもから見える親の姿は、いつも疲れていて、いつも忙しくて、何かを「楽しんでいる」表情を見ることがほぼない——そういう家庭は、現実にあります。
そういう子は、「学ぶことって楽しい」という感覚を持ちにくい。
これは深刻な問題です。
なぜなら、子どもの「楽しい」のスイッチは、身近な大人が楽しんでいる姿を見て初めて入るからです。
絵本の読み聞かせの本当の価値は、知識を授けることではありません。
「大人が楽しそうにしている時間」を、子どもの記憶に残してあげること。
「学ぶ世界には、楽しいものがあるらしい」と、子どもに感じさせること。
これが、私が読み聞かせを推奨する最大の理由です。
ここからが本題です。
「子どもが好きな本」vs「親が好きな本」
絵本選びでよく議論されるテーマがあります。
- 子どもが自分で持ってきた本を読むべきか?
- 親が良質だと思う本を与えるべきか?
これ、どちらが正解か——
という話ではありません。どちらも正解です。
① 子どもが好きな本を読むメリット
子どもが自分で選んだ本は、圧倒的に前のめりになります。
「もう一回!」「明日もこれ!」とせがみます。
何度も同じストーリーを繰り返し聞くことで、言葉のシャワーが子どもの中に染み込んでいき、語彙力の土台になります。
実は、子どもが同じ本を繰り返し読みたがるのには意味があります。脳の発達段階として、「予測できることの確認」が安心感に直結する時期があるんです。「次のページではこうなる」と知っているからこそ、子どもは安心して言葉に集中できる。
だから、3日連続で同じ恐竜の図鑑を持ってきても、それは子どもにとって意味のある時間なんです。
② 親が好きな本(昔好きだった本)を読むメリット
親御さん自身が好きな本、あるいは自分が子どもの頃に大好きだった本を読むとき、大人の声は自然と弾みます。
「私はこれが好きだったんだよ!」というイキイキとした感情が、ページの向こうから子どもへ伝わる。
子どもにとって、お母さん・お父さんが昔好きだったものを教えてもらう時間は、特別な体験になります。
普段は「親」としてしか見ていない大人にも、自分と同じ子どもだった時代があった。
その時に何に胸を躍らせていたのか。
親の「昔」が垣間見える瞬間の、不思議で、ちょっと誇らしい嬉しさ。
それは、本の知識を越えた、最高の情操教育になるんじゃないかと思っています。
「今日はお母さんの好きな話を読みます!」と言っていい
「おかーさん、今日はこれ!」と持ってきた絵本が、3日連続、いや、今週ずっと同じ恐竜の図鑑や乗り物の絵本やん?
また?
これ??
お皿洗いの手を止めて、疲れ果てた頭でそれを開くお母さんの絶望感を、私はよく知っています笑。
そんな時は、笑顔でこう言って突っぱねていいんです。
「今日はお母さんの大好きな話を読みます!」
それでいいんです。
親が我慢して死んだ魚のような目で読む10冊よりも、「私はこれが好きなんだ!」と熱量を持って語る1冊のほうが、子どもの心には100倍深く刺さります。
「今日はお母さんの番ね」「明日はあなたの番ね」と、読み聞かせを「交換」にしてしまうのも一つの手です。
それだけで、お母さんの精神的な負担はずいぶん軽くなるはず。
読み聞かせ「以外」でも、子どもの言葉は育ちます
ここからが、一番お伝えしたい本音です。
もし、この記事を読んで、
「私は絵本を読むのが苦手だから……」
「仕事が忙しくて読み聞かせをしてあげられなかったから、我が子の語彙力が低いのね、ごめんなさい」
そんなふうに、自分を責めるようなことは絶対にしないでください。
絵本の読み聞かせは、やるなら本気。
感情を込め、声色を変え、子どもの質問に答え……。
はっきり言って、凄まじい体力を消耗する重労働です。
毎日完璧にできるわけがありません。
そして、子どもの語彙力を育てるルートは、絵本の読み聞かせだけではありません。
① 食卓での会話
「今日、学校で何が一番面白かった?」という他愛のない問い。
これだけで、子どもは1日の出来事を言葉にして再構成する訓練をしています。話を聞くお母さんが「へえ、それで?」と相槌を打つだけで、子どもの語彙はどんどん広がります。
② 一緒に買い物に行く時間
「この野菜、ずっしり重いね」
「夕方の空、ちょっとオレンジに見える」
「店員さんに『ありがとう』を言おうか」
生活の中で言葉を交わすことは、絵本に勝るとも劣らない言葉の教育です。
③ 寝る前のちょっとした話
「明日、楽しみなことは?」
「今日、いちばん嬉しかったこと、教えて」
短くてもいい。1日3分でも、子どもの言葉は確実に育ちます。
④ 黙って一緒にいる時間
これも侮れません。
ニュースを一緒に見て、お母さんが「えー、これはひどいね」と一言つぶやくだけ。それだけで、子どもは「世の中で起きていること」に対する大人の感じ方を学んでいます。
絵本だけが教材ではないのです。
生活の全部が、教材なんです。
ペチューニアに戻って
最初の話に戻ります。
ペチューニアは、本を抱えて歩いていれば賢くなれると思っていました。でも「中身を読んで、考えて、対話して」**初めて、知恵になることに気が付きました。
これは、絵本の読み聞かせにも、子育てそのものにも、私たちの学びにも当てはまります。
「いい教材を与えれば賢くなる」 「いい塾に通わせれば成績が上がる」 「いい絵本を読めば語彙力が育つ」
——どれも半分正解で、半分間違いです。
大事なのは、その教材や塾や絵本を「どんな大人と」「どんな気持ちで」共有するかということ。
少し醒めて、でも完全には諦めず、その子の成長を面白がる。
絵本はそのための、便利な道具の一つに過ぎないんです。
まとめ|大人が楽しむことが、最高の教育
絵本の読み聞かせについて、長々と書いてきました。最後にもう一度、お伝えしたいことを整理します。
- 読み聞かせの効果は、
本の中身よりも「読んでいる大人の体温」で決まる - 「子どもが好きな本」も「親が好きな本」も、
どちらも正解 - 疲れた時は「今日はお母さんの好きな話を読みます!」でいい
- 語彙力を育てるルートは、読み聞かせだけじゃない
- 「整った教育」よりも、「大人自身が楽しんでいるか」が大事
「私は絵本を読むのが苦手だから……」と自分を責めている保護者様は、その自責の念を一度、手放してください。
あなたが子どもの隣で楽しそうに笑っている時間こそが、お子様にとっての最高の教育です。
ガチョウのペチューニアが教えてくれたように、本を持っているだけでは、賢くなれません。
でも、お母さんが楽しそうに笑っている記憶は、子どもの一生の宝物になります。
よくある質問(FAQ)
同じ絵本ばかり何度も持ってきます。別の本に変えた方がいいですか?
変える必要はありません。
子どもは繰り返しの天才です。同じストーリーを何度も聞くことで、言葉のニュアンスや展開を完全に自分のものにしようとしています。脳の発達段階として、「予測できることの確認」が安心感に直結する時期もあります。
飽きるまで付き合ってあげるのが、一番の近道です。
どうしても辛い時は、「今日はお母さんの番ね!」と、ご自身の好きな本を混ぜてみてください。
絵本を読むと、途中で子どもが質問ばかりして話が進みません。
話を進める必要は、一切ありません。
それは読み聞かせが最高の対話に発展している証拠です。「どうしてこうなったと思う?」と、むしろ一緒にワチャワチャと会話を楽しんでください。
本を最後まで読み切ることよりも、その会話のラリーのほうが、遥かに子どもの思考力を育てます。
Willbeにはどんな絵本や図書が置いてありますか?
教室内には、私が厳選した「大人が読んでも深く、子どもが夢中になる本」を多数揃えています。ガチョウのペチューニアもその1冊です。
お気軽にお子様と一緒に覗いてみてください。
Willbeにおいてある本の一覧
よろしければ是非♪


