WIllbe 図書館 「先生はエライ」

Willbe図書館


こんにちは。

岩本接骨院さんから歩いて30秒。

進学個別指導塾Willbeの光庵です。

さて、本日もWillbe図書館にある本をテキトーに紹介していく「本日の読書」のお時間です。今回は、内田樹さんの『先生はエライ』(ちくまプリマー新書、2005年初版)を取り上げます。

このタイトル、ストレートすぎて逆に怪しいですよね。

「先生はエライ」って、まるで自分で言っているみたいで。塾屋の私としては「ここで紹介していいんか?」と一瞬ためらうレベルの直球タイトルです。

でもご安心ください。

中身はちゃんと「エライ」内容です。むしろ、塾の先生こそ全員読むべき1冊と言っても過言ではありません。


※ ところで恥ずかしながら告白ですが、私は長年「うちだいつき」さんとインプットしてしまっており、何度読んでも「たつる」さんと読めず四苦八苦しております。

「樹」を「いつき」と読むのは人名としてあるあるなので、ぜひ皆さんも気をつけてください。「うちだ・たつる」さんです。

全く失礼極まりない話です😢

内田樹(うちだ・たつる)

東京大学文学部仏文学科卒業
東京都立大学大学院中退
神戸女学院大学文学部総合文化学科教授(現・名誉教授)

専門:フランス現代思想、映画論、武道論

著書:『「おじさん」的思考』『映画の構造分析』『ためらいの倫理学』『寝ながら学べる構造主義』『子どもは判ってくれない』『他者と死者』『下流志向』など多数



内田樹は大学入試・高校入試頻出の超定番作家


『先生はエライ』を紹介する前に、まず大事なお知らせから。

内田樹さんの著書は、高校入試・大学入試の現代文評論で異常なほど頻出します。一度過去問を見てみてください。「ああ、また内田樹だ」となるはずです。

どうです?

そう言われると俄然興味湧きませんか??

もちろん「本を読めば国語が得意になる」などと安直なことを言うつもりはありません。

しかし、国語が得意な子は内田樹の論じる「コミュニケーション論」や「学びとは何か」というテーマを、問題文を読みながら「あるある」と頷きながら解いているのも事実です。

つまり、内田樹を読んでおくと――

  • 入試本番で「読んだことある!」と落ち着いて解ける可能性が上がる
  • そこまでいかなくても、評論文特有の言い回しに耳が慣れる
  • 読書感想文の題材としても申し分ない(読みやすいのに中身は深い)

という、いいことしかありません。

特に『先生はエライ』はちくまプリマー新書という中高生向けのレーベルから出ているので、文章も易しく、読書習慣がない子のとっかかりにも最適です。同レーベルでは池田晶子さんの『14歳からの哲学』なども有名ですが、入試頻出度でいえば内田樹に軍配が上がります。

『先生はエライ』が出題されるわけではなく内田樹さんの文章が良くでます。


『先生はエライ』の要約

私が伝えたい、一番大事な一文

内田さんが本書を通して私たちに伝えようとしたことは、究極的にはこの1ヶ所に集約されます。

私たちが「あなたはそうすることによって何を伝えたいのか?」という問いを発する限り、私たちは学びに対して無限に開かれています。

私たちの人間としての成熟と開花の可能性はそこにあり、そこにしかありません。


本書は、中学生・高校生向けに書かれています。

冒頭で内田さんはこう問題提起します。

(かなりのご高齢です💦)

「今の若い人たちを見ていて一番気の毒に思うことは、エライ先生に出会えていないということだ」

と。

仮にも「先生」と呼ばれる職業についている私に、いきなり緊張感が走ります(笑)。

今の時代に「尊敬できる先生」がいないということなのでしょうか?

……しかし、本を読み進めていくと、そうではないことがわかります。

内田さんが本書を通して伝えたいことは、結論からいえば「学ぶ姿勢」というべきものでした。一見、運命的に思える「尊敬できる先生」との出会いは、偶然ではなく必然なのです。

そして、その必然を引き寄せるカギは、教える側ではなく学ぶ側にあるのだと内田さんは語ります。


① 先生は既製品ではありません

私たちはつい、「世の中のどこかに『良い先生』という完成品が存在していて、それに出会えるかどうかは運次第」と考えてしまいます。

しかし内田さんは、これをきっぱり否定します。

先生は、最初から「先生」として完成された既製品ではない。学ぶ側の「あの人から学びたい」という能動的な姿勢があって、はじめて目の前の人物が「先生」になる。

言われてみれば当たり前の話なのですが、これがなかなかストンと腹落ちしない。私たちはどうしても「肩書き」や「経歴」や「世間の評判」で先生を選びがちです。「東大卒の先生」「カリスマ講師」「有名塾」――この“ラベル買い”が、実は学びの最大の落とし穴だというのが内田さんの指摘です。

ラベルで選ばれた先生は、こちらが何もしなくても勝手に「学び」を提供してくれると錯覚させます。受動的な生徒は、そこで思考停止する。結果、「思っていたほど良くなかった」と先生のせいにして去っていく。

これ、塾屋として耳が痛い話です。

ですが本質を突いています。


② 恋愛と学びは、構造がまったく同じ

本書で個人的にいちばん面白かったのが、この章です。「恋愛」と「学び」を並列で論じてしまうあたりが、いかにも内田樹らしい。

内田さんが言うには、恋愛も学びも「相手のことが完全には分からない」状態でこそ成立する、ということ。

付き合い始めたばかりの相手のことを、私たちは延々と考えますよね。

「あのLINEは何を意味していたのか」「あの素っ気ない態度の裏に何があるのか」――これがいわゆるコミュニケーション論の核心です。

相手が完全に「わかった」と思った瞬間、人は興味を失います。恋愛が冷めるのも、勉強が「ツマラナイ」ものになるのも、メカニズムは同じ。

つまり「分からなさ」こそが、人を能動的にする原動力なのです。

これは入試現代文でも頻出のテーマです。

「他者性」
「異文化理解」
「分かり合えなさ」

――こういったキーワードで論じられる評論文は、だいたい根っこのところで同じことを言っています。内田樹を1冊読んでおくと、この種の問題に対する「土地勘」が一気に身につきます。


③ 学びの主体性

――この世に「先生」は存在しない

結局のところ、学ぶというのは主体性を意味します。

「学ぶ姿勢」を持たない場合「エライ先生」には出会わない

――というのは少し言い過ぎかもしれませんが、逆に学ぶ姿勢を持っていれば、「どんな人」「どんな物」でも「エライ先生」となり得るのです。

もっと言えば、この世に「先生」は存在しないのです。

学ぶ姿勢が「先生」を創り出すのです。

それが、冒頭の引用に結論づけられています。

人はお互いに分かり合えた瞬間、分かっていると思っていることを見た瞬間、興味を失います。「ツマラナイ」ものになります。

勉強に限らず、コミュニケーションも経済もスポーツも、「ツマラナイ」ものではない理由はただひとつ。「あなたがそうすることによって私に何を伝えたいのか」と考え続けてしまうから――。これが内田さんの結論です。「恋愛と学び」という章があるのも、まさにここを伝えたいからです。

私が要約すると薄っぺらい結論になってしまいますが、新書1冊をかけて、社会科学系大学学部で登場するような小難しい話を、中高生でもサラッと読めるレベルにまで噛み砕いてくれています。

お時間あれば、ぜひ読んでみてください。

読書感想文の題材を探している中高生にも、強くおすすめできる1冊です。


『先生はエライ』とWillbeの理念は、実は同じことを言っている

ここからは、塾長の独断と偏見でお話します。

内田樹さんの「学ぶ姿勢が先生を創り出す」という主張は、私たちWillbeが日々大切にしている考え方と、見事なまでに一致します。

いえ、

内田樹さんの話を読んで、より強く中学生達に伝えようとしだしている浅はかな私です。

世の中の塾の多くは、

「うちの先生はこんなにすごい」
「東大卒だ」
「カリスマだ」と、

いわば“既製品の先生”を売っています。

保護者の皆さんも、つい肩書きで塾を選びがちです。でもそれは、本書で内田さんが「もっとも学びを遠ざける選び方」と断じている方法そのものなのです。

Willbeが大事にしているのは、その真逆です。

たとえば、Willbe図書館のあの本棚。あれは「子どもがお迎えを待つ時間に、たまたま手に取った1冊が、その子にとってのエライ先生になる」という瞬間を生むために置いてあります。

「お迎えが遅れて暇でしょうがない」

――この、世間的にはマイナスに見える時間こそが、子どもの主体性を引き出す最強の装置なのです。スマホがあれば人は受動的になります。でも、スマホを置いて本棚の前に立たされた子は、嫌でも能動的にならざるを得ない。

そうやって「自分で手に取った1冊」は、塾長がどれだけ「これを読め」と押し付けた本よりも、その子に深く残ります。それが内田さんの言う「学ぶ姿勢が先生を創り出す」ということの、最も平凡で最も確実な実践だと、私は思っています。

子どもが「あなたはそうすることによって何を伝えたいのか」と、問いを発し続けられる人間に育つ――そのための環境を作ることが、私たちの仕事の1つだなと、

思う訳です。


まとめ:

塾の先生が「先生などいない」と言う矛盾について

この記事を書いたキッカケは、たまたま沖縄の学習塾「ベンガル」のベンガル先生と会話をして、思い出したように本棚から引っ張り出した1冊でした。

塾の先生が「先生などいない」「万物が先生だ」なんて言いながら「学ぶ姿勢」について語るのも、考えてみればかなり変な話です。

それは自覚しているつもりです。

本書を読みながら、内田先生のまとめ(オチ)には正直なところ「💢」とさせられる箇所もありました。

ですが結局のところ、私自身塾の先生として「学ぶ姿勢」を忘れずに生きていこうと改めて思わされた、というお話でした。

『先生はエライ』要約のポイントをまとめると――

  • 先生は既製品ではない。学ぶ姿勢が先生を創り出す
  • 恋愛と学びは構造が同じ。「分からなさ」こそが人を能動的にする
  • 大学入試・高校入試の現代文評論で頻出。読んでおくと有利
  • ちくまプリマー新書なので中高生でも読みやすく、読書感想文にも最適
  • 塾選び・先生選びにも応用できる、保護者必読の1冊


Willbe図書館にも常備しております。

塾生は自由に借りられますので、興味のある方は塾長までお声がけください。

― WILLBE LIBRARY ―

📖 スマホを置いて、本物の知性に触れる 「Willbe図書館」

進学個別指導塾Willbeの自習室(通称・Willbe図書館)には、子どもたちの「メタ認知」を育む教養マンガから、大学受験・高校入試頻出の小説・新書まで、塾長の独断とエゴで集めた1,000冊を超える書籍が並んでいます。
お迎えを待つ「圧倒的な暇つぶし」が、一生モノの読書習慣に変わる環境です。塾生は自由に借りられます。

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