今月の1冊目。
東京おしゃれ魔女ありす
いかにもラノベっぽくて普段なら絶対に手に取らないと思うのだけれど、
パラパラめくって、
テーマとしてはどっかの入試に採用されてもおかしくなさそうなので読んで見る。
弊塾ブログ、大人気( ;∀;)シリーズ。
今月の追加図書シリーズは密かに続けたい。
「ありのままでいい」と言われても困るんですけど?
面白かった。
いいと思う。
良い作品。
文句なしに★★★★★です。
「友達に馬鹿にされたくない」「アイドルみたいな顔になりたい」――そういうの、かなりダサい。
帯に書いてある☝この言葉を見て、読んで見ることを決めてみました。
一見、「馬鹿にされたくない」「アイドルみたいな顔になりたい」他人を突き放しているツンデレ少女のようにみえますが、ありすが「ダサい」と切り捨てているのは思春期の悩みそのものではなく、他人の目を基準にして自分を作り変えようとする発想のほうでした。
普通なら、容姿に悩んでいる子に「ありのままでいいよ」と言いたくなります。でも、悩んでいる本人からすれば「そんなふうに思えないから悩んでいるのに」と感じるだけだ、と。
だから本作は「見た目で悩むな」とも「ありのままが一番」とも言いません。
なりたい自分があるなら大事にすればいいし、直したいところは直せばいいし、着飾りたいなら着飾ればいい。ただし、それは人と比べるためではなく、自分を体現するためのおしゃれであるべきだ!と言っているようでした。
作中には、額の傷をどうしても隠したい未莉愛という女の子が登場します。傷を隠したほうがきれいなのか、ありのままが美しいのか、正論で片づけず、「自分にとって大事なのは何か」を読者自身に考えさせる構えは、道徳の授業では決して届かない場所に届きそうな気が致します。
誰かの心はぶっ刺しそうです。
小説「かがみの孤城」ぐらい気に入りました。
もし「東京おしゃれ女ありす」が映画化されるなら、観に行きます。
(たぶん)
塾長として、書くならば💦
「誰かの心はぶっ刺しそうです。」の一言で終わらしたいのですが、、、。
思春期の悩みの多くは、突き詰めれば「他人の物差しで自分を測ってしまう」ことに起因します。テストの点数も、SNSのいいねの数も、教室内の立ち位置も、すべてそうです。
本作が扱うのは表向き「ファッション」だが、実際に問うているのは「自分の基準を持つこと」です。
大人としては「個性の表現」としてファッションをアピールしてくる人々をどう受け止めるべきかは、多少悩ましいところではありますが、いかにも、日本文化っぽくて好きです。着物や伝統ほど日本文化っぽくはないのだけれど、日本文化っぽくて良いのです。
物語自体は、ただの笑えるエンタメです。
「頭を空っぽにして、ゲラゲラ笑いながら読んでほしいし、まずは毒舌魔女に振りまわされてください😢」
そこのところはお忘れなく😢
なぜ面白いのかを考えると?
ここからは、読まなくて良いです。
「ありのままの姿見せるのよ」で象徴的なのはやはり『アナと雪の女王』です。
「Let It Go」の日本語詞「ありのままの姿見せるのよ」は社会現象になりましたが、ここで言いたいことはディズニー物語の作り方がすこし変わったことです。
古典的なディズニー(白雪姫、シンデレラ)では、ヒロインの救済は外から来ました。王子のキス、魔法、身分の上昇などなど本人にはどうしようもない外からの奇跡です。物語の解決は自分ではなく「世界の側が変わること」でした。
『アナ雪』では、解決は主人公の内面から来ます。「アナ雪」の敵も外部の魔女ではなく、自己抑圧や家族の期待や「呪いだと思っていた自分の特性」であり、解決は「本当の自分を受け入れること」でした。王子は不要になるのも衝撃的で、むしろ偽物として告発されていましたね笑
『アナ雪』が訴えかけてくるのは、
「自分らしくあれ」「自分を愛せ」「比べなくていい」といった言葉なのでしょうが、、、
一方で、誰も反対できない優しい言葉が、あらゆる場面で使われるようになった気が致します。
(アナ雪が抑圧の映画だというつもりはありませんよ!!)
「ありのままでいい」は文法上は許可なのですが、役割としては命令になりこともあります。
そうすると、ありのままの自分を好きになれない子は、悩みそのものに加えて「自己肯定できていない自分はダメだ」という二重の失敗を背負わされることになります。
冒頭の
容姿に悩む子に「ありのままでいいよ」と言うと「そう思えないから悩んでいるのに」と返ってくる。
というのはそういう感じです。
さらに皮肉なのは、「ありのまま」が大きな市場になっていることです。セルフラブを謳うコスメ、ボディポジティブを掲げるアパレル、自己肯定感を上げる書籍やセミナー。「何も買わなくていいはずのメッセージ」が、商品を売るための最強の広告文句として機能しているわけです。
広告メッセージ変はわりましたが、結局は「ありのまま」という理想的なシンデレラを売っている訳です。
だから『東京おしゃれ魔女ありす』の立ち位置が面白いんです。
ありすは「ありのままでいい」とは言わなくて、かといって「直せ」とも言いいません。「他人の目を基準にするのがダサい」と指摘するのです。これは「自己肯定感」の外側に一歩出た上で、それでも自分の基準を持つことを大切にしようとするのです。
「言葉は、感じた先にある」と私は思っています。
「ありのまま」を感じてもいないのに「ありのまま」という言葉だけ先に与えられることの空虚さは、やはりあるのだと思ってしまいました。
というわけで。
ありのままとは?
が気になる方も一読ください笑
後半部分は、「言葉は、感じた先にある」精神に基づいて、大学入試現代文のテーマに少し寄せて書いてみました。文学作品を読むだけで、難解なテーマを感じることが出来ますよ♪
(消費社会的な💦)
(脱構築的な💦)
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