兵庫県赤穂市の進学個別指導塾Willbeの光庵です。
当塾の地元、赤穂市には、知る人ぞ知る歴史ある古社があります。大避神社(おおさけじんじゃ)です。(赤穂市坂越)
瀬戸内海三大船祭りのひとつ「坂越の船祭り」(国指定重要無形民俗文化財)でも知られるこの神社は、聖徳太子の側近として活躍した渡来系豪族・秦河勝(はたのかわかつ)公を祀る、古代史好きにはたまらないスポットです。
この記事では、大避神社の基本情報・歴史・見どころ・アクセスを、地元の塾長の目線でまとめました。観光で訪れる方、坂越にお住まいで「うちの近くの神社って何の神社?」と思っている方、そして秦河勝に興味を持って調べている方にお届けします。
赤穂市坂越・大避神社の基本情報(祭神・創建)
| 正式名称 | 大避神社(おおさけじんじゃ) |
|---|---|
| 所在地 | 兵庫県赤穂市坂越1299 |
| 祭神 | 大避大神(秦河勝公)、天照皇大神、春日大神 |
| 旧社格 | 県社 |
| 創建 | 不詳。 養和元年(1181年)の「播磨国総社縁起」に有力な神社として記載があることから、平安時代後期にはすでに地域の信仰を集めていたと考えられます。 |
| 現存社殿 | 本殿:明和6年(1769年)再建 拝殿・神門:延享3年(1746年)再建 |
| 主な祭礼 | 坂越の船祭り(毎年10月第2日曜日) ※国指定重要無形民俗文化財 |
旧社格が「県社」になっています。
これは、大避神社が坂越という一つの村や町にとどまらず、兵庫県(播磨国)という広い地域において非常に重要で格式高い神社として扱われていたことを示しています。
「旧社格」とは?
明治政府が1871年(明治4年)に定めた、神社を国家で管理するための階級制度です。
第二次世界大戦後の1946年(昭和21年)にGHQの神道指令によって制度は廃止されたため、現在では「旧」社格と呼ばれています。現在、法的な効力は一切ありませんが、神社の歴史的な格式や規模を示す目安として今でも使われています。
「県社」とは?
当時の社格制度は、大きく分けて「国が管理する神社(官社)」と「地方自治体が管理する神社(諸社/民社)」に分かれていました。「県社」は、地方管理の神社の中ではトップクラスの格式です。
当時の階級を上から順に並べると以下のようになります。
| 区分 | 社格 | 概要 |
| 国が管理 | 官幣社・国幣社など | 伊勢神宮(別格)や、出雲大社など、国から特別に保護・管理されていた全国トップクラスの神社。 |
| 地方が管理(諸社) | 府社・県社 | ここです。 府や県を代表する神社。県知事からお供え物が捧げられ、県の予算で管理されていました。 |
| 郷社(ごうしゃ) | 郡や町、複数の村をまとめる地域の中心的な神社。 | |
| 村社(そんしゃ) | 各村にある、地域に密着した神社。 | |
| 無格社 | 制度上、格付けされなかった小さな神社。 |
現在の意味合い
制度がなくなった今でも、「旧県社」という肩書きがある神社は、「古くからその県や地域を代表する、規模が大きく由緒正しい立派な神社である」という歴史的な目安になります。
祭神・秦河勝とはどんな人物か
大避神社の主祭神は 秦河勝(はたのかわかつ)。3世紀頃に中国大陸から日本に渡来したとされる秦氏の長で、飛鳥時代に 聖徳太子の側近 として活躍した人物です。
京都最古の寺とされる広隆寺を建立し、聖徳太子から賜った国宝・弥勒菩薩半跏思惟像を安置したとも伝わります。能楽の祖とも言われ、後世の世阿弥もその系譜を語っています。
その秦河勝が、なぜ赤穂の坂越に祀られているのか。
伝承によると、聖徳太子の没後、蘇我入鹿の迫害を避けて海路で坂越に流れ着き、この地で千種川流域の開拓を進めた後、大化3年(647年頃)に没したとされています。地元の民が朝廷に願い出て祠を築いたのが、大避神社の創建だと伝えられています。
秦河勝という人物、坂越との関わりについては、当ブログで全7回のシリーズとして詳しく書いています。
気になる方はぜひ。
大避神社の見どころ
本殿と拝殿

現在の本殿は明和6年(1769年)、拝殿と神門は延享3年(1746年)に再建されたものです。江戸時代中期から続く貴重な社殿建築を、今もそのままの姿で見ることができます。
絵馬堂と船絵馬

絵馬堂には40枚もの絵馬が掲げられており、中には280年前のものとされる貴重な船絵馬も現存しています。塩回船の港町として栄えた坂越の歴史を、絵馬がそのまま物語っています。
生島(いきしま)── 秦河勝の墳墓と伝わる神域

大避神社の正面、坂越湾に浮かぶ周囲1.63kmの小島が 生島 です。古来より大避神社の神地として伐採が禁じられ、原始のままの照葉樹林が残っており、大正13年(1924年)に国の天然記念物に指定されました。
島内には直径20mの円墳があり、秦河勝公の墳墓と伝えられています。立ち入りは禁じられていますが、神社の境内や坂越湾の浜辺から、その姿を望むことができます。
坂越の船祭り(毎年10月第2日曜日)
大避神社の秋の例大祭が、坂越の船祭り。秦河勝が坂越に漂着した日を祭礼日として始まったと伝わる伝統行事で、瀬戸内海三大船祭り(大阪・天神祭、宮島・管絃祭、坂越の船祭り)の一つに数えられています。
祭典の後、神輿や獅子舞が浜辺までの参道を練り歩き、御旅所のある生島まで 船渡御 が始まります。十数隻の船が旗や幟を立てて生島へと巡航する様子は壮観で、日没後には提灯に灯がともり、幻想的な美しさになります。
平成24年(2012年)に国の重要無形民俗文化財に指定されており、北前船寄港地・塩作りの歴史文化という2つの日本遺産でも構成文化財となっています。
塾長が語る「坂越の船祭り」の楽しみ方とおすすめ時間
一般的に船祭りを一番堪能できるのは、午後3時半(15:30)頃の「船渡御(ふなとぎょ)」の出航から、夕方6時(18:00)頃の「還幸(かんこう)」にかけての時間帯です。
この時間帯が一番混んでいます。
昼下がりの明るい海を十数隻の船が進んでいく勇壮な姿を見た後、少し周辺のカフェなどで休憩し、日が沈むのを待つのがおすすめです。
18時頃になると、海上に提灯の灯りが連なり、岸にはかがり火が焚かれ……その幻想的な美しさは、地元民の私でも毎年鳥肌が立つほどです。
ただし、駐車スペースを探すのに苦労するので、地元の人に知り合いがいない場合は、お早めに!
毎年、坂越トンネルの海側横に、臨時駐車場が設置されます。
ふだん開放されている無料駐車場は、祭りのときは使えません。
本当のおススメ
朝6時頃の時間帯
朝6時頃、坂越湾を訪れると祭りの準備のために、船がたくさん止まっています。
準備の時間です。
大勢でなければ邪魔になることがないため、個人的にはお勧めの時間です。
アクセス・参拝情報
| 住所 | 兵庫県赤穂市坂越1299 |
|---|---|
| 電車 | ◆JR赤穂線「坂越駅」下車 徒歩徒歩20分 ◆路線バス小島行き「坂越港バス停」下車し徒歩5分。ただし1日4本程度なのでおススメはしない。 |
| 車 | ◆山陽自動車道赤穂ICより約20分、 ◆駐車場の有:ただし他の公共無料駐車場が海岸通りにあり、そちらを使うのが無難 |
| 参拝時間 | 社務所があり、お守りなども扱っているが、時間帯は不明 |
| 御朱印 | 御朱印:有 常時神職の方が待機しているような大規模な観光神社ではないため、夕方遅い時間に行くと社務所が閉まっており、御朱印をいただけないケースがあるようです(参拝者のクチコミより)。午前中から15時頃までの明るい時間帯の訪問をおすすめします。 |
近隣のおすすめスポット
坂越湾を見下ろす小高い山です。
大避神社の手前から舗装された道路を登ると、妙見寺・宝珠山への分岐を経て約40分で茶臼山頂です。山頂から見る坂越湾や赤穂の景色は絶景です。地元の方々が整備してくださっているため、気軽に登っていただいて大丈夫な山です。ただし、サンダルやヒールだと厳しいです。
大避神社のすぐそばには、坂越牡蠣の直販所が複数軒あります。坂越湾は、天然記念物「生島樹林」と日本名水百選の千種川が注ぎ込む豊かな環境で、坂越牡蠣はわずか1年で出荷サイズまで育つ「一年牡蠣」として知られています。波が穏やかで植物性プランクトンが豊富なため、身が大きく、ぷりっとふっくらした風味が特徴です。生食用としても出荷できる安心安全な品質も魅力です。シーズンは11月頃から4月頃まで。神社参拝の帰りに、お土産として殻付き・むき身の坂越牡蠣を持ち帰ってみてはいかがでしょうか。
歴史ある建物を活かした、おしゃれなカフェやスイーツ店が増えており、若い世代や女性の観光客からも人気を集めています。
- 坂利太(サリータ): 古民家を改装したイタリア伝統菓子の専門店。特に、ナポリ名物のパイ菓子「アラゴスタ」の中にソフトクリームを絞ったスイーツがSNSなどで大人気です。
- 暖木(のんき): 築100年以上の古民家をリノベーションした、アンティークな雰囲気が漂うカフェ。地元の食材を使ったランチや自家製スイーツで、歩き疲れた体をほっこり休めることができます。
前・赤穂美術協会長を務められた鳥井廣夫(とりい ひろお)さん(開設当時89歳)が、ご自身やご家族の作品を紹介するために2024年5月にオープンした個人のアートギャラリーです。
場所は、先ほど話題に出た「大避神社」の参道入り口横にあります。
ギャラリーの成り立ちと建物
- ノスタルジックな古民家
建物は「鳥井さんが生まれる前から建っていた」という非常に古い木造2階建ての古民家です。かつて鳥井さんのお祖母様が暮らしていた空き家を倉庫代わりに使っていましたが、長女ご夫婦の手伝いを得て掃除と改装を行い、ギャラリーとして生まれ変わりました。 - 当時の面影
建物内には土間や「おくどさん(かまど)」、昔の地元の大工が作った古い家具などがそのまま残されており、レトロな空間そのものが魅力となっています。
展示されている作品の特長
鳥井さんの信条は「生活の中に美術のある心豊かな人生」です。そのため、展示作品も非常にユニークで多岐にわたります。
- 多彩なジャンルと素材
油絵や陶芸だけでなく、ワインの空き瓶、海岸で拾った流木、さらには「食べ終わったカニの殻」など、日常にあるあらゆるものを素材にしたオブジェが所狭しと並んでいます。 - 遊び心あふれるコラージュ画
最近はポスターやカレンダーから人物写真や文字を切り抜いて貼り合わせる「コラージュ画」にもハマっておられるそうです。クールで遊び心のある作風は、年齢とのギャップで訪れる人を驚かせています。
概要
住所 : 兵庫県赤穂市坂越1289-1
大避神社の参道入り口横
開館時間 AM10:00〜12:00 PM2:00〜4:00
休館日 : 火曜日
個人のギャラリーであるため、臨時のお休みや時間の変更がある場合もあります。
https://www.ako-minpo.jp/news/18222.html
(赤穂民報より引用抜粋加筆)
大避神社の近く(3~5分)には、地元で知られた桜の名所「船岡園」もあります。春に参拝される方は、お花見と合わせて訪れるのもおすすめです。
赤穂出身の塾長としては、赤穂No1です。
大避神社と秦河勝の歴史をもっと深く知りたい方へ
大避神社の祭神・秦河勝公、そして渡来系豪族・秦氏については、当ブログで 「坂越・大避神社を楽しむ周辺知識シリーズ」 として全7回にわたって解説しています。古代史好きの方、坂越にゆかりのある方は、お時間のあるときにどうぞ。
⛩ 坂越・大避神社を楽しむ周辺知識シリーズ
秦河勝公と渡来氏族・秦氏の足跡をたどる全7回(+読書編1回)
兵庫県赤穂市坂越に鎮座する大避神社の祭神・秦河勝。聖徳太子の側近として活躍したこの謎多き人物と、その一族である秦氏について、古代史の視点から解き明かします。








大避神社と坂越観光のよくある質問FAQ
🚗 アクセス・駐車場について
- Q大避神社に専用の駐車場はありますか?
- A
神社のすぐ目の前に専用の大きな駐車場はありません。坂越の海岸通り沿い(海沿い)に無料の公共駐車場(観光駐車場)がありますので、そちらに車を停めて、海風を感じながら参道を歩いて向かうのが一番無難でオススメです。
ただし、秋祭りの時は、使用できません。坂越トンネルの海側横に臨時駐車場が設置されます。
- Q車椅子やベビーカーでの参拝は可能ですか?
- A
参道から境内に入る部分や、本殿へ向かう道には石段があります。そのため、車椅子やベビーカーで本殿のすぐ前まで行くのは少し難易度が高いかもしれません。参道の下からでも境内の雰囲気を感じることは可能です。
- Q電車でのアクセスはどうすればいいですか?
- A
R赤穂線「坂越駅」が最寄りです。駅から神社までは徒歩で約20分(約1.5km)です。古い街並みを楽しみながら歩くことができます。路線バスもありますが、1日4本程度と非常に少ないため、徒歩かタクシーの利用をおすすめします。
⛩️ 参拝・御朱印について
- Q御朱印はいただけますか?
- A
はい、社務所にて御朱印をいただけます。ただし、常に神職の方が待機しているような大規模な観光神社ではないため、夕方遅い時間に行くと閉まっていることがあります。確実にいただきたい場合は、午前中〜15時頃までの明るい時間帯の参拝をおすすめします。
- Q観光の所要時間はどれくらいですか?
- A
神社をサッと参拝するだけなら15分程度です。絵馬堂をじっくり見学し、海に浮かぶ生島を眺めたり、周辺のカフェやアートギャラリーに立ち寄るなら、1〜2時間ほど見ておくと坂越の街を存分に楽しめます。
🏮 坂越の船祭りについて
- Q「坂越の船祭り」はいつ開催されますか?
- A
毎年「10月の第2日曜日」に開催されます。瀬戸内海三大船祭りの一つに数えられ、国指定重要無形民俗文化財にも指定されている赤穂市を代表する伝統行事です。
- Q船祭りの見どころはどこですか?
- A
獅子舞や神輿が街を練り歩くのも勇壮ですが、最大の見どころは15時頃からの「船渡御(ふなとぎょ)」です。十数隻の船が連なって海上の生島へ向かう姿は壮観で、18時頃の日没後に提灯へ明かりが灯る様子は言葉を失うほど幻想的です。
- Qお祭りの日は屋台などは出ますか?
- A
はい、参道や海岸沿いには屋台が出店しています。ただ、多くはありません。
歴史・生島(いきしま)について
- Q海に浮かぶ「生島(いきしま)」には渡れますか?
- A
いいえ、渡ることはできません。
生島は古くから大避神社の神域(神様の島)とされ、人の立ち入りや樹木の伐採が固く禁じられてきました。そのため原始の森がそのまま残っており、国の天然記念物に指定されています。
- Q「大避(おおさけ)」という変わった名前の由来は何ですか?
- A
諸説ありますが、祭神である秦河勝が「蘇我入鹿の迫害を“大きく避けて”この地にやってきた」ことに由来するという説が有名です。また、一部の歴史ファンの間では、キリスト教のダビデ王(大闢)に由来するというロマン溢れる説も語られています。
周辺観光・グルメについて
- Q近くにある「宝珠山」は、登山の準備が必要ですか?
- A
標高182メートルの低い小高い山なので、本格的な登山靴などは不要です(片道約40分)。道も地元の方によってある程度整備されています。ただし、サンダルやヒールでは歩きにくいため、歩き慣れたスニーカーで行くことを強く推奨します。山頂から見下ろす坂越湾の景色は絶景です。
- Q近くでランチやカフェを楽しめる場所はありますか?
- A
歴史ある古民家をリノベーションしたお洒落なカフェ(暖木など)や、イタリア伝統菓子のスイーツ店(坂利太)、アートギャラリーHIROなどがあり、街歩きにぴったりです。
ただ、規模は大きくありません。
個人的には、坂利太がおススメです。イタリア伝統菓子を日本風?にアレンジしたスイーツを堪能ください。







