本日は、赤穂市最高の大学受験環境を目指すWillbe「総合型/学校推薦型選抜入試小論文対策」担当講師佐藤が、現役大学教員という視点から「小論文の型」について切り込んでまいります。
「型」を破れ、構成を聞くな、考えろ
「こういう型で書けばよいですか?」
小論文指導において、このような質問をよく受けます。そして、どこで仕入れてきたのか、下記のようなフォーマットが示されます。
・序論
課題文によると〜とある。
筆者は、〜と述べている。
私は〜と考える
しかし、〜という問題もあるのではないか。
・本論
近年、〜である。
現状、〜という問題が起こっている。
〜とすることにより、〜という効果が得られる。
例えば〜である。
例を挙げると、〜だ。
しかし〜といった問題点が指摘されている。
・結論
したがって、〜であると私は考える。
以上の理由により、私は〜であると考える。
https://www.yu-hikai.com/senryuu/9408.html
以前にも述べましたが、型にはまったフォーマット思考は楽です。はめていけばいいわけです。
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おまけに、そうした「お手軽簡単フォーマット思考」の生徒たちは「型を守ることで、常に論理的な文章にできる」などと宣います。
愚かな…。少し考えればわかると思うのですが、上記のような型に当てはめて、すべての小論文答案を作成することはできません。
字数や設問の要求などによって、小論文の構成は変わるからです。以下の問題は、上記のようなフォーマットでは太刀打ちできませんよ。
型では対応できない問題例
次の二つに従い、合わせて800字以内で論じなさい。
・下線部(1)に関連して、ある一つの国の状況を取り上げ、その国を小国と呼ぶことのできる理由も記したうえで、自分の知っている事例を記せ。
・下線部(2)に関連して、「足るを知る経済」が持続可能な発展(開発)を達成する手立ての一つと、なぜ言えるのか論ぜよ。なお、「足るを知る経済」原則からは異なる概念を使っても良い。
2021年度 上智大学 総合グローバル学部 公募制自己推薦入試 小論文より
2019年度 立教大学 異文化コミュニケーション学部 自由選抜入試 小論文より
次の文章を読み、傍線部の「現在のわれわれに課された課題」について、あなたの考えを1000字前後で述べなさい。
「科学とは疑うことである。」という書き出しで、その文字も含めて601字以上1000字以内で論じなさい。
2020年度 早稲田大学スポーツ科学部 一般入試 小論文より
構成を聞いてくるな、構成を考えろ
しかし、
上記のような設問においても「型」(=フォーマット)を金科玉条のごとく守ることによって生み出される、明後日の方向の答案をよく見ます。構成を聞いてくるな、構成を考えろ
上記のような話や指摘をすると、ほぼ半ギレの状態の生徒たちにこう聞かれます。「そ、それじゃあ、小論文をどういう構成で書いたらいいんですかっ!?(怒)」
「いや、だから、それを考えろって言ってるんだよ」(ニコニコ)。
と佐藤も返します(笑)。
何かの型にはめるのではなく、字数や設問の要求を勘案したうえで、小論文の構成そのものを自分で考える必要があるのです。したがって、小論文対策において訓練するべきは、この小論文の構成方法であり、何を書くべきかという発想法になるわけです。https://www.yu-hikai.com/senryuu/9408.html
設問の指示を正しく理解し、遂行せよ
「筆者の主張を踏まえて、〇〇〇についてあなたの考えを述べなさい」という指示がある小論文問題もよくありますね。
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みんな最初は、「筆者の主張を踏まえて」という指示を完全に無視します。つまり、いきなり自分の意見や主張を書き始めます。
しかし、だめですね。「筆者の主張を踏まえて」という指示に従うためにも、小論文冒頭では筆者の主張を簡潔にまとめる必要があります。「課題文において筆者は~~~と述べている」等の表現が必要になり、したがって、要約をする必要が出てくるわけです。
要約するかどうかは、問題の形式や設問の指示に従う必要があります。型にはめて考えれば、いつでも要約が必要なのかもしれません。しかし、設問の指示に従えばいいのです。
「型」の小論文から脱却せよ
設問の指示にも従うことのできない定型の量産型小論文を読むことに、審査官である大学教員は心底うんざりしています。
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高得点を狙うためには、小論文における構成、説明の理屈や論理、適切な具体例などについて、自分で悩んで考える必要があるわけです。本質的な論述の力を身に付けるためには、型にもとづいた小論文から今すぐ脱却しましょう。