こんにちは。
兵庫県赤穂市の進学個別指導塾Willbeの光庵(こうあん)です。
「個性を大事に、将来の夢を持とう!」と大人は簡単に言いますが、中学生や高校生が自分の将来やりたいことを明確に答えるのは、そう簡単なことではありません。
だからこそWillbeでは、子どもたちが「偶然の出会い」から将来の目標を見つけられるよう、自習室(図書館)に大量の本を置いています。
最近、塾生の中でも「薬学部に興味がある」「将来は薬剤師になりたい」という子が増えてきました。
そこで今回は、薬学に興味を持ち始めた中学生・高校生、そしてその保護者様に向けて、「薬の歴史的ロマン」から「薬剤師のリアルな働き方」までが分かるおすすめの本と漫画を3作品ご紹介します。
はじめに
とある薬剤師さんが語った「大学教育の薬剤師観」
本を紹介する前に、私が以前、とある薬剤師さんとお話しして非常に考えさせられたエピソードをお伝えします。
その方は、「薬学部の大学教育は、特定の価値観に洗脳されている!」と強い言葉でおっしゃっていました。 どういうことか。大学では「新しい薬を研究・開発する(創薬)人間が一番エライ」「都会に出て、医療の最前線で圧倒的な努力をして戦うことこそが素晴らしい」といった、煌びやかな世界観ばかりが強調される風潮があったそうです。
そこには、「田舎でひっそりと薬局を営み、地元の人々の健康に寄り添って生きていく」という、もう一つの尊い価値観が存在していなかったと。
もちろん、創薬という最先端の煌びやかな世界を「入り口」や「憧れ」として持つことは素晴らしいことです。
しかし、誰もがその最前線に立てるわけではありませんし、創薬の世界に浸かれないことを「挫折」と呼ぶべきでもありません。
都会の最前線で戦う以外の価値観、地域に根ざして生きるという選択肢があってもいいはずです。
大人は崇高な大きな夢を称賛しがちです笑
だからこそ、これから薬学の道を目指す中高生には、「憧れの世界(アンサングシンデレラ的な世界)」と同時に、「現実の多様なキャリア」も両方知っておいてほしいと私は思うのです。
アンサングシンデレラ
今回のおススメには加えていませんが、Willbe図書館にはおいてあります。
「半沢直樹」が流行ったとき、読んだ人が全員、銀行に勤める知り合いに「あれってホンマにそういう世界観なん??」と聞いたことでしょう。
アンサングシンデレラは、薬剤師業界の「それ」だといっても良い気がしてきました。
よければどうぞ♪
【学問のロマン】化学が歴史を創り、薬が世界を変えた
教科書の中の「化学式」はただの記号に見えるかもしれません。しかし、一歩外に出れば、化学は人類の運命を何度も塗り替えてきました。
有機化学はほぼ暗記説。
大学の講義も化学式を覚えていくだけ説。
『世界史は化学で出来ている』 左巻 健男・著(ダイヤモンド社)
「歴史や理科は暗記科目だ」と思っている人にこそ、この本を読んでほしい。
原始的な松のたいまつからパラフィンに至るまで、その道のりの何と長かったことか。
そしてこの2つにはなんと大きな違いがあることだろう。夜、どのような手段で自分の住み家を照らすかにより、その人間の文明の尺度が刻印される。「ろうそくの科学」序文(マイケル・フェラデー)
「ろうそくの科学」の引用から始まり、火の発見から、金(ゴールド)への欲望、ガラスが変えた視界、火薬が変えた戦争、そして化学染料が変えたファッション……。
人類の歴史の転換点には、常に「化学」という魔法がありました。
例えば、カレーの黄色いスパイス(ターメリック)の成分が、実は現代の化学的な知見で見ると興味深い性質を持っていたり、コーヒー一杯のカフェインが歴史上の人物たちの思考を支えていたり。
この本を読むと、「今、目の前の参考書で解いている化学式が、実は世界史そのものなんだ」という全能感に近いワクワクを味わえます。
『世界史を変えた薬』 佐藤 健太郎・著(講談社現代新書)
薬学の「学問としての壮大さ」を知るには、この本が一番です。
古来より、戦争が起これば戦死する人の数よりも「病気で死ぬ人の数」の方が多かったというのは有名な話です。
だからこそ、ナイチンゲールは公衆衛生の母として、永遠に歴史の中で語り継がれています。
この本は、薬の発見や発展がいかにして人類の歴史、文明、戦争、そして社会構造に影響を与えてきたかを、化学と歴史の両面から描いたノンフィクションです。
薬は、病気を治すだけではなく、国家の命運や経済活動、帝国主義にまで影響を及ぼしてきました。一方で、世紀の大発見の裏にある悲劇や薬害、倫理問題にも正面から取り組んでいます。
確かに、高校化学の知識がないと読むのは厳しい気は致します。
「3本のペプチド鎖」「アミノ酸が5個から30個連結したペプチドといわれる簡単な物質群でエンドルフィンと総称される」といったそういう部分は無視していただいて、
「この薬が、こんな風に歴史を動かしたのか!」という壮大な物語として、文系・理系問わず夢中になれる1冊です。
これが私の薬剤師ライフ 6年制卒50人がキャリアを語る
そして「現実のキャリア」を知るための1冊がこちら。
6年制薬学部を卒業した50人が、それぞれの薬剤師キャリアを語っている本です。
実はこの本、Willbeの図書館にはかなり前から置いてあります。
なぜか?
Willbeのお隣にある「ドラッグマート薬局」の寺田さんが、『薬局承継を見据えて5年間の武者修行、薬局を地域住民の身近な相談場所に』という素晴らしいタイトルで寄稿されているからです!
赤穂市民の皆様は、これだけで読む価値があります(笑)。
……というのは後付けの理由で、
本当は私自身が「薬剤師の世界観」を知らなすぎたため、勉強のために買った本でした。
ところがある日、Willbeの卒業生で現役の薬学部生が自習室に来てこの本を読み、こう言ったのです。 「この本、面白い!大学の先生は『アンサングシンデレラ』みたいな話ばっかりするから!」
現役の薬学部の大学生が面白いと言うのなら、間違いなくこの本は面白いし、リアルなのだと思います。

番外編 『大丈夫やで』 さかもとフジエ・著
著者のさかもとフジエさんは、薬剤師ではなく、90歳を超えてなお現役を貫いた「日本最高齢の助産師」さんです。
なぜ、理系や薬学を目指す子にこの本を勧めるのか?
それは、彼女の生き方の中に、「こういう世界観で生きる医療従事者(薬剤師)でもあってほしい」という究極の姿があると思うからです。
最先端の研究室で新薬を作るのも素晴らしい。
でも、地域にどっしりと根を下ろし、不安を抱えて薬局にやってくるお年寄りや親子に、「大丈夫やで」と温かく声をかけ、心に寄り添い続けること。
これもまた、AIや機械には絶対に代替できない、最高にカッコいい「もう一つのキャリアのあり方」なのです。
誰もが偉人でなくていい。the 勉強以外の勉強を
『アンサングシンデレラ』のようなドラマチックな物語は、薬剤師業界の「半沢直樹」だと言っていいでしょう。入り口として興味を持つには最高のマンガです。
経験できないモノは、本を読むか、人から聞くしかありません。
そして、読む方が圧倒的に速く、コスパが良いです。
現代は社会のスピードが速すぎます。
だからこそ、意識的にスピード感を落として、じっくりと本を読んでほしい。
そうすることで初めて、自分の中の「手のひらサイズの問い」や「自分にとって切実な問題」が生まれるのです。
中学生、そして高1・高2の皆さん。
受験生になれば「行動(勉強)」あるのみですが、今のうちから受験勉強の傍らで、どうか「the 勉強以外の勉強」をしてください。
Willbeの自習室で、見知らぬ世界に出会ってくれることを願っています。
経験できないモノは、読むか聞くしかない。
だけど、読む方が速いしコスパよい。
あわせてよみたい
最後に、もう一冊だけ。 今回ご紹介した『世界史は化学で出来ている』の中で、著者の左巻先生が引用されている伝説の科学書が、実はWillbe図書館にあります。
100年以上前、イギリスの科学者ファラデーが、クリスマスの時期に子どもたちに向けて行った講演を記録した本です。
ノーベル化学賞を受賞された吉野彰先生が、小学校高学年の時にこの本に出会い、「化学は面白い!」と目覚めた原点の一冊としても知られています。
「一本のろうそくが燃える」という、一見当たり前の現象の中に、実は宇宙のあらゆる法則が詰まっている。ファラデーは、身近な不思議から出発して、科学の本質を驚くほど鮮やかに解き明かしてくれます。
『世界史は化学で出来ている』を読んで、「もっと化学の本質、その『魂』に触れてみたい」と思った君。ぜひ、この歴史的名著も手に取ってみてください。Willbeの自習室には、そんな「本物」との出会いが用意されています。
📖 スマホを置いて、本物の知性に触れる 「Willbe図書館」
進学個別指導塾Willbeの自習室(通称・Willbe図書館)には、子どもたちの「メタ認知」を育む教養マンガから、大学受験・高校入試頻出の小説・新書まで、塾長の独断とエゴで集めた1,000冊を超える書籍が並んでいます。
お迎えを待つ「圧倒的な暇つぶし」が、一生モノの読書習慣に変わる環境です。塾生は自由に借りられます。
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