英文法の中で、最も「多義的で分かりにくい」と言われる単語の一つが “as” です。
辞書を引くと、接続詞、前置詞、副詞、さらには関係代名詞まで、膨大な意味が並んでいます。
「結局、どうやって見分ければいいの?」と悩む受験生や英語学習者も多いはず。
この記事では、ブログ読者の皆さんが「文脈から一瞬でasの正体を見抜けるようになる」ことを目指し、その識別法を徹底解説します。
1. まずは「品詞」で分ける!識別の第一歩
asを識別する際、最初に確認すべきは「後ろに何が来ているか」です。
- 接続詞のas:
後ろに 「S + V(主語+動詞)」 が続く。 - 前置詞のas:
後ろに 「名詞(句)」 が続く。 - 副詞のas:
「as ~ as …」 の形で、形容詞・副詞を修飾する。
この分類を頭に入れた上で、それぞれの具体的な意味を見ていきましょう。
① 接続詞のas(5つの意味)の識別
接続詞のasは最も種類が多く、文脈判断が重要です。
しかし、実はそれぞれに「ヒント」が隠されています。
① 時(〜する時、〜しながら)
「When」や「While」に近い意味です。
- 特徴:
文全体が「動作」を表している時に多い。 - 例文:
(As I was walking along the street), I met an old friend. - 例文2: As I was leaving the office, the phone rang.(オフィスを出ようとしたとき、電話が鳴った)
- 例文3: She smiled as she read the letter.(手紙を読みながら、彼女は微笑んだ)
- 識別のコツ:
進行形(be + ~ing)と一緒に使われている場合は、ほぼ「〜している時」です。
② 理由(〜なので)
「Because」や「Since」に近い意味ですが、相手がすでに知っている理由(付随的な理由)を述べる際に使われます。
- 例文:
(As it was getting dark), we decided to go home. - 例文2: As you are tired, you had better go to bed early.(疲れているのだから、早く寝たほうがいい)
- 例文3: As it is Sunday, the shops are closed.(日曜日なので、店は閉まっている)
- 識別のコツ:
文頭に来ることが多く、文末に強い新情報が来る構成になります。
③ 比例(〜するにつれて)
時間の経過とともに、何かが変化する様子を表します。
- 特徴:
「変化を表す動詞」(become, get, grow, goや比較級)と一緒に使われる。 - 例文:
(As we grow older), we become more prudent. - 例文2: As the sun rose, the fog cleared.(日が昇るにつれて、霧が晴れた)
- 例文3: As we go up, the air gets thinner.(上に行くほど、空気が薄くなる)
- 識別のコツ:
文中に比較級(-er, more)や変化の動詞があれば「比例」を疑いましょう。
④ 態様(〜するように、〜の通りに)
「やり方」や「状態」を表します。
- 例文:
Do (as you are told).
(言われた通りにしなさい) - 例文2: Leave it as it is.(そのままにしておきなさい)
- 例文3: As I said before, we need more time.(前に言った通り、もっと時間が必要だ)
- 識別のコツ:
慣用句的に使われることが多く、前の動作を補足する形をとります。
⑤ 譲歩(〜だけれども)
【重要・最頻出】 語順が特殊(倒置)になるため、試験で狙われやすいポイントです。
- 形:
「(形容詞 / 副詞 / 名詞) - + as + S + V」
- 例文:
Young (as he was), he was very wise.
(若かったけれども、彼は非常に賢かった) - 例文2: Tired as she was, she kept working.(疲れていたが、彼女は働き続けた)
- 例文3: Hard as he tried, he could not open the door.(どんなに頑張っても、彼はドアを開けられなかった)
- 識別のコツ:
文頭にいきなり形容詞が飛び出していたら、この「譲歩」のasです。
②前置詞のas(〜として)
後ろに名詞だけが来るパターンです。
- 意味:
「資格・役割」を表す(〜として)。 - 例文:
I am working (as a teacher). - 例文2: She is famous as a singer.(彼女は歌手として有名だ)
- 例文3: He used the box as a table.(彼はその箱をテーブルとして使った)
- 識別のコツ:
「A = B」の関係(私 = 先生)が成立します。
- ※ “like”(〜のように) は「実際には違うが、似ている」という比喩ですが、“as” は「実際にその立場である」という事実を指します。
③副詞・相関語句のas(as ~ as …)
いわゆる比較の構文です。
- 形:
as + 形容詞/副詞 + as … - 構造:
- 1つ目のas:副詞(「同じくらい」という意味を添える)。
- 2つ目のas:接続詞(後ろに比較対象を置く)。
- 例文:
He is as tall as his father (is). - 例文2: Please come as soon as possible.(できるだけ早く来てください)
- 例文3: This book is not as difficult as it looks.(この本は見た目ほど難しくない)
- 識別のコツ:
1つ目のasを指で隠しても文が成立します(He is tall…)。
④ 関係代名詞のas
少し高度な内容ですが、特定の先行詞を伴う場合に「関係代名詞」として機能します。
- 特徴:
such, same, as とセットで使われることが多い。 - 例文:
Read such books as will profit you.
(あなたのためになるような本を読みなさい) - 例文2: He is the same man as I met yesterday.(彼は昨日私が会ったのと同じ人だ)
- 例文3: As is often the case with him, he was late.(彼にはよくあることだが、遅刻した)
- 識別のコツ:
後ろの文の「主語」や「目的語」が欠けている(不完全な文)場合、これは接続詞ではなく関係代名詞です。
2.【実践】一瞬で見分けるためのフローチャート
実戦で迷ったら、以下の順序で考えてみてください。
【STEP 1】まず「後ろ」を確認!
- 後ろに「S + V」がない(名詞のみ)
- ⇒ 【前置詞】 「~として」(資格・役割)
- 後ろに「S + V」がある
- ⇒ 【接続詞】 へ進む(STEP 2へ)
- 「as + 形容詞/副詞 + as」の形である
- ⇒ 【副詞】 「同じくらい~」(比較)
【STEP 2】文頭や特殊な「語順」を確認!
- 「(形容詞 / 副詞 / 名詞) + as + S + V」の形か?
- ⇒ 【譲歩】 「~だけれども」
- 例:Young as he is…(若いけれども)
【STEP 3】文中の「キーワード」を確認!
- 「比較級(-er / more)」や「変化の動詞(become / grow / get)」があるか?
- ⇒ 【比例】 「~するにつれて」
- 例:As it got darker…(暗くなるにつれて)
【STEP 4】文脈で最終判断(意味の強さで判別)
ここまでの条件に当てはまらない場合、文脈から以下の3つを識別します。
- 【理由】 「~なので」
- Because に置き換え可能か?(文頭に多い)
- 【時・同時進行】 「~する時 / ~しながら」
- When / While に置き換え可能か?(進行形を伴うことが多い)
- 【態様】 「~するように / ~の通りに」
- 「やり方」を説明しているか?(As you know など慣用句も多い)
3. 覚えておきたいasの慣用句
よく出る熟語もリストアップしておきましょう。
| 熟語 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| as for 〜 | 〜については | As for me, I have no objection.(私については、異存はありません) |
| as if 〜 / as though 〜 | まるで〜のように | He talks as if he knew everything.(彼はまるで何でも知っているかのように話す) |
| as it were | いわば | He is, as it were, a walking dictionary.(彼はいわば歩く辞書だ) |
| as a matter of fact | 実際のところ | As a matter of fact, I have never been there.(実は、そこへ行ったことがない) |
| as far as 〜 | 〜する限り(範囲) | As far as I know, he is honest.(私の知る限り、彼は正直だ) |
| as long as 〜 | 〜する限り(条件) | You can stay here as long as you keep quiet.(静かにしている限り、ここにいていい) |
| as soon as 〜 | 〜するとすぐに | Call me as soon as you arrive.(着いたらすぐ電話して) |
| as well as 〜 | 〜だけでなく…も | She speaks French as well as English.(彼女は英語だけでなくフランス語も話す) |
| such as 〜 | 〜のような | I like sports such as tennis and soccer.(テニスやサッカーのようなスポーツが好きだ) |
| as usual | いつものように | He came late as usual.(彼はいつものように遅れて来た) |
| as a result | その結果 | As a result, the plan was canceled.(その結果、計画は中止になった) |
| as a whole | 全体として | The class as a whole did well.(クラス全体としてはよくできた) |
| as of 〜 | 〜の時点で | As of today, the store is closed.(今日の時点で、その店は閉まっている) |
| as is | そのままで | The car was sold as is.(その車は現状のまま売られた) |
| as it is | 実際のところは/現状では | I would like to help, but as it is, I am too busy.(手伝いたいが、実際のところ忙しすぎる) |
| as 〜 as possible | できるだけ〜 | Speak as slowly as possible.(できるだけゆっくり話しなさい) |
「as far as」と「as long as」の違いは頻出。far=範囲、long=条件と押さえておこう。
最後に:なぜasはこんなに意味が多いのか?
asの的な基本イメージは「イコール(=)でつなぐ」ことです。
- 「時」は、ある出来事と別の出来事をイコール(同時)にする。
- 「理由」は、原因と結果を論理的にイコールにする。
- 「資格」は、人と役割をイコールにする。
この「=(イコール)」の感覚を持っておくと、未知の用法に出会っても文脈から推測しやすくなります。
【実践】asの識別:理解度チェックテスト
次の( )内の as の用法として最も適切なものを、選択肢から選びなさい。
第1問
As I was very tired, I went to bed earlier than usual.
A) 時 B) 理由 C) 比例 D) 譲歩
第1問:正解 B) 理由
- 解説: 「とても疲れていた(原因)」→「いつもより早く寝た(結果)」という因果関係が成立します。「〜なので」と訳すのが最も自然です。
- 見分けポイント: Because や Since に書き換えが可能かどうかを確認しましょう。
第2問
As we go up higher, the air becomes thinner.
A) 態様 B) 資格 C) 比例 D) 関係代名詞
正解 C) 比例
- 解説: 文中に go up higher(より高く登る)、becomes thinner(より薄くなる)と、変化を表す表現と比較級が含まれています。
- 見分けポイント: 「Aが変化すると、それに伴ってBも変化する」という 「変化+比較級」 があれば、比例(〜するにつれて)の可能性が非常に高いです。
第3問
Strange as it may sound, I have never eaten sushi in my life.
A) 理由 B) 譲歩 C) 時 D) 前置詞
正解 B) 譲歩
- 解説: 文頭に Strange(形容詞)が飛び出しており、その後に as + S + V が続いています。
- 見分けポイント: 語順が 「形容詞 + as + S + V」 となっていたら、迷わず「譲歩(〜だけれども)」を選びましょう。Though it may sound strange… と書き換え可能です。
第4問
He is famous as a talented pianist rather than a composer.
A) 接続詞(理由) B) 接続詞(態様) C) 前置詞(資格) D) 副詞(比較)
第4問:正解 C) 前置詞
- 解説: as の後ろに a talented pianist という名詞句が続いています。「ピアニストとして」という資格・身分を表しています。
- 見分けポイント: 後ろに S+V がなく、名詞だけが置かれている場合は前置詞です。
第5問
This is the same watch as I lost yesterday.
A) 関係代名詞 B) 副詞 C) 比例 D) 譲歩
正解 A) 関係代名詞
- 解説: 直前に the same があるのが最大のヒントです。また、lost の後ろに目的語(何を失くしたか)が欠けている「不完全な文」であるため、関係代名詞として機能しています。
- 見分けポイント: such ~ as… / the same ~ as… / as ~ as… の形で、後ろの文に欠落(主語や目的語がない)があれば関係代名詞です。
第6問
As I was tired, I went to bed early.
正解:理由(~なので)
「疲れていた」→「早く寝た」という因果関係です。
相手が既に知っている背景を述べる時によく使われます。
第7問
As we grow older, our memory becomes weaker.
正解:比例(~するにつれて)
grow olderやweakerといった比較級・変化の動詞があるため、比例と判断します。
第8問
Strange as it may sound, I have never been to Kyoto.
正解:譲歩(~だけれども)
「形容詞 + as + S + V」という特殊な語順に注目。
Though it may sound strange…と同義です。
第9問 Do in Rome as the Romans do.
Do in Rome as the Romans do.
正解:態様(~するように) 「ローマ人がするように」。
動作のやり方や状態をイコール(=)でつないでいます。
第10問 He works as a doctor at this hospital.
He works as a doctor at this hospital.
正解:前置詞(~として)
後ろに名詞句(a doctor)だけが続いています。資格や身分を表します。
第11問 As I was leaving the station, I saw him.
As I was leaving the station, I saw him.
正解:時(~する時 / ~しながら)
was leavingと進行形が使われており、2つの動作の同時性を表しています。
第12問 Choose such friends as will help you.
Choose such friends as will help you.
正解:関係代名詞 such … as の相関表現です。
asの後ろに主語が欠けており、friendsを修飾しています。
第13問 Wealthy as he is, he is not happy.
Wealthy as he is, he is not happy.
正解:譲歩(~だけれども)
第8問と同様、形容詞が前に出る倒置形。
「金持ちだが、幸せではない」という逆説。
第14問 Everything went as I had planned.
Everything went as I had planned.
正解:態様(~の通りに) 「計画した通りに」。
物事の進行状態が計画と一致していることを示します。
