- 2026年度の公立高校入試で、平均倍率が初めて1倍を割った
- 第4学区の不合格率は1.7%。県全体の5.0%より低い
- ただし平均点は4点下がり、問題は難化している
- 3月11日まで走れることは、実は有利に働く
赤穂市で塾をしている。
毎年、中3を公立高校の入試に送り出している。
2026年度の兵庫県公立高校入試で、ある数字が出ていた。
全日制の平均倍率、0.97倍。
2015年度の学区再編以降、初めて1倍を割った。
79校109学科が定員割れとなり、長田高校のような進学校も、その中に含まれている。[注1]
公立志願率も67.9%まで下がった。
例年は70〜72%台だったから、かなりの落ち込みだ。[注2]
全国的にも騒がれているが、いわゆる「公立離れ」である。
では、赤穂・相生・上郡の第4学区はどうか。
複数志願選抜の倍率は1.02倍。
県全体の1.05倍より、やや低い。[注7]
充足率は92.4%。県全体は93.0%だから、
定員割れの度合いは、ほぼ同じだ。
ただし、第4学区には別の特徴がある。
第1志望での合格率が96.4%。
県全体の91.8%より、はるかに高い。
第2志望に回ったのは、2,580人中91人だけだ。
希望した学校に入りやすい学区である。
ちなみに、最も低いのは第2学区(神戸・芦屋)の85.5%。
7人に1人が第2志望に回っている。
この差は、知っておいていい。
では、不合格になったのは何人か
第4学区の複数志願選抜で、
受検者2,580人のうち合格者は2,535人。
不合格は45人。不合格率1.7%だった。[注7]
県全体は、受検者17,982人に対して合格者17,090人。
不合格892人、不合格率5.0%。
学区別に並べると、こうなる。
第1学区 7.2%
第2学区 6.4%
第3学区 2.7%
第4学区 1.7%
第5学区 0.2%
なお、これは複数志願選抜(3月の一般入試)の数字で、
推薦入学・特色選抜の不合格者は含まない。
ただし、問題は難化している
倍率が下がったからといって、
楽になったわけではない。
令和8年度の学力検査、全日制の平均点は56.5点。
前年度は60.5点だった。[注8]
4点下がっている。
得点分布を見ると、もっとはっきりする。
80点以上 11.0% → 8.2%
30点台 8.4% → 12.2%
20点台 2.7% → 5.3%
上位が減り、下位が増えた。
倍率は下がった。問題は難しくなった。
この2つは、同時に起きています。
これを解釈するには、かなりの文量を要するため、今回は割愛しておく。
理由① 授業料支援の拡充
2026年4月から、高等学校等就学支援金の制度が変わった。
| 公立 | 全世帯に 年11万8,800円(2025年度から) |
| 私立 | 全世帯に 年45万7,200円(2026年度から) |
所得制限が完全に撤廃された。[注3]
これまで私立は、年収590万円未満の世帯で年39万6,000円、それ以上は年11万8,800円、910万円以上は対象外だったが、世帯年収にかかわらず45万7,200円になった。
年収によっては、前年度より年間34万円ほど負担が軽くなる計算となる。[注4]
ただし「完全無償」ではない
45万7,200円は、全国の私立高校授業料の平均額である。
授業料がこれを上回る学校では、差額は自己負担になる。
さらに、支援の対象は授業料のみであり、入学金、制服代、「教育充実費」「施設整備費」などは含まれない。
「無償化」と言われているが、正確には「授業料の実質無償化」だ。
(個人的には、無償化という言葉を辞めて欲しいと思っている。)
それでも、公立と私立の「授業料の差」は、ほぼ消えた。
兵庫県には、上乗せの制度もある
兵庫県には、国の就学支援金とは別に兵庫県独自の補助がある。
私立高等学校生徒授業料軽減補助制度だ。
対象は、保護者全員が兵庫県内に在住し、兵庫・大阪・京都・奈良・滋賀・和歌山・岡山・鳥取・徳島の私立高校に在籍していること(通信制を除く)で、判定は各年度10月1日時点となる。
岡山県の私立高校も対象に入っている。
赤穂から通える範囲が含まれているのは、知っておいて損はない。
ただし、国の支援が45万7,200円に拡充されたことで、県の上乗せ部分がどう変わるかは、年度ごとに確認が必要だ。
兵庫県教育課のサイトで、最新の支給区分を確認してほしい。[注5]
ちなみに、兵庫県には他にも制度がある。
| 私立高等学校等奨学給付金 | 授業料以外への支援 |
| 私立高等学校等入学資金貸付 | 入学時の納付金を無利子で貸付 |
入学金や制服代は就学支援金の対象外なので、こうした制度を知っているかどうかで、負担感が変わるかもしれない。
理由② 兵庫の公立入試は遅い
2027年度の一般選抜は、3月11日。
合格発表は3月18日。[注6]
私立の多くが2月に合否を出すのに対して、兵庫の公立志望者は、3月後半まで決着がつかない。
進研ゼミ受験情報センターの分析でも、「早く進路を決めたい生徒・保護者が、受験意欲を保ちにくい」と指摘されている。[注2]
ただ、私はこう思っている。
遅いことは、使い方次第で有利になる。
私達凡人は制度には抗えないので、逆手にとる考え方をしていくしかない。
2月で終わる子と、3月まで走る子
まず、事実を並べる。
| 2027年2月16日(火) | 推薦入試・特色選抜 |
| 2027年2月22日(月) | 推薦の合格発表 |
| 2027年3月11日(木) | 一般選抜 |
| 2027年3月18日(木) | 合格発表 |
①推薦・特色選抜で合格 2月22日で終わる
②私立専願で合格 2月中旬で終わる
③公立一般入試を受ける 3月11日まで続く
その差は、約3週間。
「3週間も長く苦しむ」と見ることもできる。
それは、表面上の苦しみ出会って、推薦で早く決まった子のほうが、苦しむこともある。
2月で終わった子に起きること
推薦合格者には、入学式までの約2か月がある。
この期間に、何が起きるか。
受験生として身につけた集中力が、完全にリセットされる。
そして、元の学習習慣には戻りにくい。
中学時代は優秀だった子が、4月には「高校の授業についていけない子」になるというのは大げさだし、他の要因もあるため、断定は出来ない。
特に、数学が致命傷になる
中3の2学期末から3学期にかけて習う単元は、高校数学に直結している。
相似。三平方の定理。円周角。
気が抜ける時期に、最も重要な単元がやってくる。
推薦で決まった子は、ここを受験勉強としては行わない。
図形問題に苦手意識を持っている子が多いが、高校生も例外なく図形には苦しむ。
3月まで走る子に起きること
一方、公立一般入試を受ける子は、3月11日まで緊張が続く。
この1か月が、実は大きい。
中3の3月は、最も伸びる時期
理由は3つある。
①範囲が全部終わっている
12月までに中学3年分の学習が終わる。
3学期は、初めて「全範囲を使って考える」時間になる。
②毎日、入試問題に触れている
授業も演習も、すべて本番形式になる。
③目的が一つに絞られている
定期テストも部活もない。
3月11日の一点だけを見ている。
実際、順位は動く
赤穂のWillbeでも、この時期に大きく伸びる子がいる。
12月の模試から、本番までに
判定が変わった生徒は何人もいる。
「もう無理だ」と思ってから、1か月ある。
これは、2月で終わる地域にはない時間だ。
では、3月に何をするか
ここが本題になる。
1か月あっても、使い方を間違えれば意味がない。
やってはいけないこと
直前期に、過去問を解きまくる。
直前期に、新しい問題集を買う。
これは、ほぼ失敗する。
記憶が混乱する。リズムが崩れる。自信が揺らぐ。
直前期は「増やす勉強」ではなく「整える勉強」だ。
多くの中学生は、過去問の使い方を間違っている。
テーマを設定することもなく、過去問を解いて終わっている。
それではいけない。

Willbeが3月にやっていること
過去問を解く子もいれば、過去問を解かない子もいる。
間違えた問題の「なぜ」を言う練習。
答えを教える前に、なぜ間違えたのかを聞く。
計算ミスなのか、読み間違いなのか、そもそも知らなかったのか。
問題文を読んでその通りに図を描く練習
高校数学や理科、そして実は地理も絵を描く科目です。
苦手だと言っている子は、図形を書こうとしない。最初の書けない気持ちは分かるが、書こうとしない。だから、塾にいる時間にひたすら描く。

日程が遅いことは、変えられない
県教委が日程を早める可能性はある。
実際、公立離れへの対策として
全国的に議論が始まっている。
でも、2027年度の受験生にとっては関係のない話だ。
3月11日に、本番がある。
それなら、その1か月を使い切ればいい。
2月で終わる子が休んでいる間に、
3月まで走る子は、まだ伸びている。
遅いことは、不利ではない。
赤穂・相生・上郡から公立を目指す中3へ。
3月11日まで、まだ時間はある。
よくある質問
- Q兵庫県の公立高校入試は、いつですか?
- A
2027年度(令和9年度)は、推薦入学・特色選抜が2月16日(火)、一般選抜の学力検査が3月11日(木)です。合格発表は推薦が2月22日、一般が3月18日です。
- Q第4学区(赤穂・相生・上郡)の倍率はどうですか?
- A
令和8年度の複数志願選抜で、倍率は1.02倍、充足率92.4%でした。県全体は1.05倍、93.0%です。第1志望での合格率は96.4%で、県全体の91.8%より高くなっています。
- Q第4学区で不合格になるのは何人くらいですか?
- A
令和8年度は、受検者2,580人に対して合格者2,535人、不合格は45人でした。不合格率1.7%です。県全体は5.0%、第1学区は7.2%でした。
- Q倍率が下がったので、入りやすくなったのですか?
- A
倍率は下がりましたが、平均点も下がっています。令和8年度の全日制平均点は56.5点で、前年度の60.5点から4点下落しました。80点以上が11.0%から8.2%に減り、20点台が2.7%から5.3%に増えています。
- Q兵庫の入試日程が遅いのは不利ですか?
- A
一概にそうとは言えません。私立の合否が2月に出るため、合格を持った状態で3月の公立入試に臨めます。また、2月の私立入試を本番のリハーサルとして使えるという利点もあります。
- Q公立入試までの1か月で、何をすればよいですか?
- A
新しい問題集に手を出さないことです。過去問を時間を計って解き、間違えた理由を自分で言語化する。基本問題を確実に取る訓練をする。直前期は「増やす」より「整える」時期です。
[注1] 高校無償化で「私立が第1志望」増、県立は相次ぎ定員割れ(読売新聞)
https://agora-web.jp/archives/260902111918.html
[注2] 高校授業料無償化で「公立離れ顕著」 兵庫は入試の遅さも要因(神戸新聞 2026年7月31日)
https://kobe-np.co.jp/news/society/202507/0019182242.shtml
[注3] 高校生等への修学支援(文部科学省)令和8年度から所得制限を撤廃
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm
[注4] 令和8年度(2026年度)版 高校生の「授業料支援制度」が新しくなります(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/000439495.pdf
[注5] 兵庫県私立高等学校等向け支援制度一覧(兵庫県 総務部 教育課)
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk35/pa15_000000002.html
[注6] 【高校受験2027】兵庫県公立高、要綱公表…学力検査3/11(リセマム)兵庫県教育委員会 2026年7月2日公表
https://resemom.jp/special/1682/recent/
[注7] 令和8年度兵庫県公立高等学校入学者選抜実施結果(兵庫県教育委員会 高校教育課 2026年5月21日記者発表)複数志願選抜の状況より算出
[注8] 令和8年度兵庫県公立高等学校入学者選抜 学力検査に関する実施結果について(詳細)(兵庫県教育委員会)


