兵庫県赤穂市の進学個別指導塾Willbeの光庵です。
大学入試小論文について相談を受けることが多くなってまいりました。弊塾も赤穂市に「本格的な小論文指導」を実現したいと思い、小論文コースを設けております。
指導は、私ではなく現役の大学教員を中心とした論文の専門家が行います。やはり、餅は餅屋でありますから大学教員の視点によって小論文指導を行うのが理想と言えましょう。私自身も赤穂周辺の小論文の過去問を勉強してみたりしましたが、小論文指導は数学や英語と同様に塾/学校の先生が片手間で指導してよいものではないというのが私の結論です。
本日は、専門家である佐藤が佐藤自身のブログにて「小論文大全」として語っている内容を、Willbe高校生や保護者様にお伝えするために、また、赤穂の皆様にもお届けしようとリンクではなく弊塾ブログに記載致します。
- 小論文対策の前提、まず初めに行うこと
- テクニックや書き方を求める前に
- 小論文を書くことができない、苦手だという人へ ―書けない原因
- 小論文対策は独学では無理です
- 「書き方を教えても、書けるようにはならない!?」
- 小論文の対策を「早く」始めなければ「ならない」深刻な理
- 圧倒的分圧を持つ小論文の書き方①
- 圧倒的文圧を持つ小論文の書き方②
- あなたの関心のある分野における諸問題について基礎的な理解を得ておく
- 圧倒的文圧を持つ小論文の書き方③
- 圧倒的文圧を持つ小論文の書き方④
- 圧倒的文圧を持つ小論文の書き方⑤
- どうして君たちが小論文・志望理由書を自力で書けないのか
- 「型が先行する小論文…」
- 小論文記述の基本ルール
- 構成についての質問
- 資料分析型問題について
- 要約について
- 設問を読んでいない…
- 書きながら考えるな!考えてから書け!」
- 他者に自分の考えを伝えるための説明の「構造」について
- 論理的な文章とはなにか
- 模範解答の研究をしなさい
- 「書かなくてもできる小論文対策」
- 実際上、小論文対策はどれぐらい行わなければならないのか問題
- そもそも論①―対策の仕方がわからない…
- そもそも論②―適切な指導者を見つけなさい
- 模範解答販売中
- 模範解答作成受注中!
小論文対策の前提、まず初めに行うこと
小論文対策が必要になったとき最初に行うべきことは、参考書を買って読むことではありません。
①過去問をみよう
まず、自分の志望する大学の小論文課題を実際に見ましょう。5年以内のものを複数年見られるとそれだけでも傾向などがわかります。試験時間、規定字数、課題文型か資料分析型かテーマ型か、課題文の出題内容の傾向、課題文の読解における難度、設問の内容やレベル、等々、
過去問を見ることから対策がスタートです。②適切な指導者を見つけましょう
小論文対策は一人では行うことはできません。添削指導を受けることができる指導者を見つけましょう。学校の先生でも塾や予備校の先生でも、「適切な」添削指導ができるのであれば、誰でもいいです。小論文対策は独学では無理です。
③実際に一年分過去問に取り組んでみて、自分がどれだけ書くことができないのかを思い知りましょう
指導者を見つけ指導を受けることが可能になったら、まずは一年分過去問を解いてみましょう。いきなりで構いません。書けなくても構いません。なぜ書けないのか、書いたとしてもどこに問題があるのか、対策の上での課題や問題を見つけ、ひとつずつ解消していくことが重要です。そのためにも指導者から添削指導を受けましょう。
テクニックや書き方を求める前に
学校で申し訳程度に行われる小論文対策指導や添削を受けても、ほとんど意味がない(=入試問題を解ける気がしてこない)のは、高校生のみなさんが持つ実感だと思います。
しかし、事態はさらに深刻です。そもそも、みなさんの多くが小論文を書くための土俵にすらあがっていないのです。
そのような状態にある人の特徴を以下に挙げていきます。以下のような状態にある人は、小論文を書く土俵にもあがっていないため、書く練習をする以前に行うべきことがあります。まずは、ぜひご相談ください。①語彙力が不足している
読むにしても、書くにしても、そもそもの語彙が不足している人がいます。読解においては、語彙が不足しているため課題文を正確に読むことができていませんから、設問で問われていることもわからなくなります。また、自分の見解を主張することが求められる小論文において、自分なりの考えを発想し、言語化する必要があります。しかし、語彙が不足していれば、適切に自分の考えを表現できない、あるいはそもそも発想することもできなくなります。
「~~~についてはどう考えますか。何が問題だと思いますか。」と問うたときに、「〇〇〇」と一単語で返す人は、要注意です(こういう人、けっこういます。)。周囲の人間とも普段から、そういう「単語の会話」をしているのではないかと推測されますが、もっと言葉を尽くして、丁寧にコミュニケーションを行うことを意識しないと自らが用いる語彙は身についていかないと思います。また、現代文の授業などでも漫然と授業を受けるのではなく、知らない言葉や用語を積極的に辞書などで調べる癖をつけていきましょう。また、新聞や本などの活字にも、もっと意識的に触れるようにするべきです。
小論文対策指導をしていて、みなさん、課題文が読めていないなぁとよく感じています。また、総じて小論文を上手く書くことができない生徒に見受けられる特徴は、大きく三点あります。1.適切な語彙を知らない、あるいは適切に語彙を用いることができない。
2.説明として挙げるべき具体的な例を社会一般の中に見られる事象から取り上げることができない。
3.説明における理屈や順番などの論理を構成することができない。
今回は、最も根本的な課題の一つである1.の語彙の問題について取り上げたいと思います。まず、適切な語彙を用いることができないことの内実として、語彙の知識が不足している点がよく指摘されます。しかし、語彙の問題は現在それ以上に根深いものがあります。それは「やばい」という言葉の使用に象徴される問題だと考えられます。
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私は、若者言葉としての「やばい」を使うべきではないと考えています。〈中略〉というのも、「やばい」 を使うことにより、感情の質がいちじるしく傷つけられ損なわれるように思われるからです。「やばい」は、大変に便利な言葉です。注意を向けるに値するような性質を備えた事柄はすべて、「やばい」と表現することが可能だからであり、「やばい」の使い方さえ身につければ何についても、適切な言葉の選択に頭を悩ませるつらい作業をすべて免れることができるからです。清水真木 『感情とは何か——プラトンからアーレントまで』 ちくま新書、2014、p.11。
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清水が指摘するように「やばい」という言葉の使用は、言葉を選択する労を削ぐため、適切な言葉を選択する力を衰弱させるといえます。「綺麗なもの」、「素晴らしいもの」、「かけがえのないもの」、「醜悪なもの」、「目を背けたくなるもの」、「残酷なもの」、これらがすべて「やばい」わけです。「やばい」という言葉に象徴される問題は、つまるところ、語の適切な選択ができなくなるという点に帰着します。その結果、小論文指導の現場においても、昨今の中高生はたとえ語彙の知識があったとしても、どのような文脈でどのような言葉を用いるのか吟味する力が弱く、意味も理解しないままに雰囲気で言葉を用いたり、誤った語の使用も散見されます。単に語彙を知らないという以上に、適切に語を用いる力が失われつつあるという問題があるといえます。世界を分節するための道具としてのことば
ことばは世界を分節化し、切り分けるための道具です。私たちは「あれ」や「これ」、「犬」や「机」といったことばによって外界の対象を区分しています。いわば、世界を言語という網の目で分節化しているのです。たとえば、日本では七色からなる虹が、他の地域ではそれが五色だったり、二色のみに分けられていたりしています。つまり、対象の分節の仕方が言語によっては異なるわけです。同じ対象、同じ世界を見ているにもかかわらず、身につけた言語によって世界の切り取り方が異なるという説は、「サピア=ウォーフの仮説」として知られています。さらに、言葉による分節化が精緻に行われるほどこの世界は明瞭に区分され、はっきりします。すなわち、世界の解像度が上がるわけです。しかし、「やばい」という言葉の使用によって、「世界の切り取り=分節化」が行われなくなります。すべてが「やばい」ものとしてのみ現れる世界の解像度は、低いものになってしまいます。このような状態では、小論文を書くことができようもありません。説明するべき事柄が明瞭に現れてこないからです。
さて、以下の言葉について、その意味を説明できますか。
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・グローバリゼーション/グローバル化
・イデオロギー
・啓蒙
・還元
・逆説
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「グローバル化」などはもはや、人口に膾炙(←この字も読めますか)し、使い古された感のある言葉ですが、改めてその意味を問われ、説明を求められると答えられない高校生もいました(マジかよ…って感じですが)。こうした言葉の意味を厳密に知らないと、小論文(特に課題文型小論文)の解答をする際には、課題文がそもそも読めないということになり、解答にあたっては困難が生じるわけです。適切な言葉が見つからない
小論文を書く上では、言葉を知らないと自分の考えを正確に表現できません。おおよそ、あの概念のことを述べているんだろうなと読みとれる表現でも、もっと適切な表現があることを知らないため、簡潔な表現ができていない答案もよく見ます。語る言葉を持たないと、自分の考えや志望を説明できません。やはり、小論文の答案を作るにあたって語彙の力は重要なのです。
いつ本を読めばよいのですか?
小論文にしろ、志望理由書にしろ、語彙の力が不足している点を高校生たちにチクチク指摘すると、「それじゃ、語彙力をつけるために本を読めばいいんですかっ!?」と聞かれます。しかし、受験生であれば、今さら悠長に本を読みこんでいる場合ではないため、以下のような用語集を用いて、当座の語彙力を増強しておく必要があります。
・現代文キーワード読解[改訂版]
・高校生のための評論文キーワード100
・読解 評論文キーワード 改訂版
―頻出270語&テーマ理解&読解演習54題
・日経キーワード
(この書籍は年度ごとに新しいものが出ています。)
官公庁で用いられる語彙を知るべし
少子化問題、高齢者問題、経済問題、男女共同参画、国民生活…etc、小論文や志望理由書で扱われるべきテーマや課題は多岐に渡ります。それらの課題や問題について、政府や官公庁がどのような言葉を用いて説明しているのかを見ておくと、小論文や志望理由書を記述する際に、表現のうえで非常に書きやすくなります。特に、関係各省庁が毎年出す『白書』(内閣府HPでリンクがまとまっています。)を眺めておくとよいです。しかしながら、お役所が作る資料は、かなり見づらいというか、データや資料が多数あるため、必要な情報を自分でピックアップする能力がないと、最初は「何だ、これ」と思うかもしれません。したがって、まずは、小論文で扱われた課題や、自分が志望理由書で取り扱おうとしている問題等について、『白書』等の官公庁の資料も見ておくとようにするとよいでしょう。
ことばを身に付けて、世界の解像度を上げろ!
「ことば」がなければ世界は区分されず、一つの連続したあり方をしているのだとも考えられます。したがって、言葉を知らなければ、世界が「のっぺらぼう」のように未分化なままで、表情を欠いたものになってしまいます。以上より、言葉を知ることは、世界を分節化し、世界の解像度を上げることだと言えます。言葉を知らなければ、世界は鮮明に表れず、ぼんやりとした世界を生きることになります。言葉を知り、概念で世界を分節し、世界の解像度を上げていきましょう!
②社会的問題や常識についての知識が不足している
社会的問題や世の中の出来事や常識を一定程度知らないと小論文を書くことはできません。アフリカにおける水不足を解消するための方策を問われる問題に対して、「日本からペットボトルの水を空輸する」という解答を書いた生徒がかつていましたが、常識はずれです。
配送コストがどれだけかかるのか、また、対処療法的で根本的な解決策にはほど遠く、現実的かつ妥当ではありません。このように世の常識を知らないため、小論「文」は書けるのに荒唐無稽な内容を記述する人もけっこういます。このような答案を書いて、「書けている気になっている」人も要注意です。➂課題文の読解の解像度が低い
要するに課題文が読めていない人です。文章の抽象度がちょっと上がっただけで、文章が読めなくなる人がいます。抽象的な議論についていけないのです。また、文章の論旨も正確に把握できていません。その結果、設問を読んでも何を問われているのかわからない事態となります。さらに、課題文を読むのが遅い人もいます。こうした状態ではそもそも適切な内容を書けませんし、小論文で得点できません。書く以前にまずは読む訓練を行う必要があります。
④資料やデータを分析することができない
資料やデータを読み取る必要がある小論文課題もあります。しかし、データや資料の内容についてまったく見当はずれな箇所を指摘する人が一定数います。
資料やデータには読ませたい、有意味な内容がありますが、そのポイントをどういうわけかすべて無視する、あるいは気がつかないのです。どのように資料やデータを分析するのかがわからないと、小論文課題が示す問題を正確に把握することすらできません。したがって、書く以前に資料やデータを正しく読み取る方法や力を備える必要があるといえます。まとめ 書く以前の問題
語彙や基礎的な読解力、資料分析の方法を備えていないと、小論文を書いて練習する以前の問題となってしまいます。この状態だといくら小論文を書く練習をしても、「書けている」あるいは「書ける」気がしないと思います。
小論文は、高校での学習における総合的な力を求められる科目だと思っていただいたほうがよいと思います。読解のための国語の力、資料や分析を行う上では数学に加えて、物理や化学などの 科学分野の素養も必要になり、一般常識という点では、政治経済や倫理、情報といった科目で養われる力も必要になるといえるでしょう。
したがって、書く以前に、総じて基礎的な学力を備えましょう。また、上記のような状態が当てはまる人は、早期から対策を始めましょう。書く以前にたくさん対策するべきことがあります。
小論文を書くことができない、苦手だという人へ ―書けない原因
小論文が書けない、苦手だという人が必ず持っている問題がある!
合格水準の小論文を書くために、課題文を正確に読解する力、資料を分析する力、論の構成法、表現の仕方、発想の仕方などを身につける必要があることはいうまでもありません。それらの技術を身につけることは当然重要なことなのですが、もっと根本的な部分で小論文を書くために必要な前提があります。小論文が書けないという高校生の多くは、実はこの前提が欠けています。
ものを知らないと書けやしませんよ…
書くことができない人、すなわち何を書くべきかを考え、定めることのできない人は、考えるための「材料」(=一般的な常識、各種の社会問題に対する基本的な理解、世の中で起きている出来事に対する知識etc.)が不足しています。端的に述べてしまえば、小論文はものを知らないと書くことはできません。
小論文が書けないと述べる人の大半が、世の中で生じている出来事や問題についての基礎的な知識や理解が不足しています。たとえば、我が国の少子高齢化は人口構造において進行している現象ですが、この現象がどのような問題を社会に引き起こすかについて理解し、さらにどのような対策が政府や自治体などの行政によって取られているのかについて知らないと、少子高齢化を扱う小論文の問題において思考を展開することはできません。
もう一つ例を挙げましょう。AI技術についての基礎的な知識がなければ、「AI技術が発展しているなかで、医療現場において看護支援AIロボットと看護師との協働はどのようにして可能か」(←実際に出題された問題です)といった問題に取り組むことができません。世の中のことを知りましょう
大学側は、高校生として、現代社会に生きる一人の人間として受験生が社会的事象に対する一定程度の知識や理解を備えていることを前提として、小論文課題を出題しています。
難関大になればなるほど、その知識や理解の深さも問われることになります。したがって、世の中のことを知りましょう。「小論文対策として日々、何ができますか」と聞かれますが、「世の中のことを知ってください」といつも述べています。自分が生きる世界や社会のあり方について関心を持ち、知るようにしてください。対症療法的な対策では身につきません
「○○学部だから、○○学科だから、それらの学部に関係する知識を備えたらいいですか」とよく聞かれます。多くの小論文の問題は、広く一般的な社会事象に関するものがテーマとして出題されます。何らかの学部・学科に特化した知識を短期的に対症療法的に身につけるだけではダメです。
盤石な対策のためには、まずは、広く浅くでよいので、新聞を読んだり、各種の新書や時事問題についてまとめられた書籍などを読み、徐々に知識や理解を深めていきましょう。
インプットなしにはアウトプットはできない
自分一人で考えられることなんて、たかが知れています。ものを書く力のある人は、多くを知っていますし、学んでいます。アウトプットの前提にはインプットがあるのです。書けるようになりたければ、その前提としてインプットを行う必要があります。
小論文を書く「技術」に対して、インプットは書くためのいわば「基礎体力」のようなものだとご理解いただければと思います。基礎体力がなければ、すばらしいパフォーマンスは発揮できません。まずはインプットを時間をかけて行っていきましょう。
小論文対策は独学では無理です
小論文に関する質問を受けますが…
お問い合わせ、オープンチャット、公式LINE等、外部の皆様からも小論文試験についてご質問を多数お受けいたします。
曰く、「どのように対策をしたらよいですか」、「おすすめの参考書を教えてくれませんか」、「どのような知識が必要ですか」、「どのような構成で書けばいいですか」 …etc.。
質問者の前提にあるのは、小論文試験に対して自分なりに取り組もうという姿勢だと思います。その姿勢そのものは、認めます。しかし、対策法を聞く前に、参考書を読む前に、知識を身につける前に、構成を教えてもらう前に、大前提として確認しておきたいことがあります。これらの問い以前の問題です。小論文試験対策を一人でできると思っていませんか。自分の書いた文章を自分では客観的に見ることはできない
普段から文章を書く訓練を行なってきていない高校生の皆様の多くは、原稿用紙を埋めることに必死となり、読み手を考えた表現ができる人はまずいません。
したがって、一人で自分の書いた小論文の良し悪しを判断することは、無理なのです。それなのに、高校生の皆様の多くが、どういうわけか他の科目と同様に一人で小論文対策をなんとかしようと考えてしまう。なかなかわかっていただけないので、はっきりと申し上げます。小論文対策を一人で行うことは不可能です。
したがって、あなたが小論文対策を始めるときに最初に行うべきは、対策法や参考書について細々と問うことなどではなく、小論文対策を一人で行うことはできないということを理解し、適切な指導者を見つけることです。
あなたが「合格する」ための小論文対策を行うには、指導者自身も「書く」訓練を常に行い、「書く」技術に熟達し、添削指導、小論文対策指導経験のある指導者から指導を受けることが不可欠となります。
本当にどういうわけか、なかなかご理解をいただけないので、何度でも述べます。(誰であってもそうですが)あなたが小論文対策を一人で行うことは無理です。有名な作家であっても、編集者の校正が入り、文章の修正を編集者から提案されるのです。どうしてあなたは自分一人で対策ができると考えるのでしょうか。どのような対策よりも重要なこと
参考書を読む、知識を備える、それも重要なことの一部ですが、それよりも優先するべきは、実際に「書くという経験から学ぶ」ことです。そして、指導者の作った模範解答との差異を知ることです。
最初は書けない人もいると思います。しかし、それでいいのです。書けないところから、どうしたらよいのかと本質的に考えるようになります。これまでも何度も何度もお伝えしてきておりますが、ものを書くことは、技術です。技術を身につけるためには、実際に取り組んでみることが一番なのです。だから、我々の指導の始めは「書いてみろ」です。それ以外に何もありません。書けないところから、指導が始まるのです。
「書き方を教えても、書けるようにはならない!?」
「小論文の対策の仕方を教えてくれませんか」
「どのような問題が出るのか教えてくれませんか」
「同じ傾向の過去問を教えてくれませんか」
「おすすめの参考書を教えてくれませんか」
「どのような知識が必要ですか」
「どのような構成で書けばいいですか」
「何を書いたらいいのでしょうか」…etc.
つまるところ、高校生のみなさんの上記のような質問は以下の質問に集約されます。
「ともかく、○○大学××学科の小論文の書き方を教えてください!」しかし、結論からいえば、指導者が書き方を教えたり、みなさんが参考書等を読んだりしても、「それだけ」ではみなさんが小論文を書けるようにはならない。いいですか、指導者が書き方を言葉で伝えても、「それだけ」ではみなさんは書けるようにはならないのです。
「教えても書けないなんて、指導者がそんなこと言っちゃっていいんですか!?」
楽器の演奏の仕方、料理の仕方、スポーツにおける技能、伝統工芸作成、もっと基本的な技術でいえば、自転車の乗り方、泳ぎ方、これらは他者から言葉を聞くだけではできるようにはならない。聞くにしても読むにしても、他者の言葉をたんに言葉として理解しているだけでは、あなたが以上のような技能を身につけることはできないのです。たとえば、子どもに10時間にわたって自転車の乗り方を言葉で伝えても、子どもは自転車に乗ることができるようにはなりません。実際に補助輪を外して、転んだり、怪我をしたりして失敗をしながら、実際に自転車に乗ってみることによってはじめて子どもは自転車に乗る技術を「体得」するのです。
小論文も同じです。小論文を書く力や技術というのは、人の言葉を受けて止めているだけでは、身につくことはありません。指導者の言葉をただ受け止めているだけでは書けるようにはならないのです。したがって、指導者が教えるだけでは書けるようにはなりません。これは、暴論でも極論でもなく、技能一般がもつ性質です。「教わるだけでは、身につかないもの」、それが技能というものの本質です。指導者・対策指導塾としての敗北!? 我々の指導方針
「教えても書けるようにならない!?」、そんなことをいうのならば、指導者として、小論文対策指導塾としての敗北なのではないですか。我々は教える努力をしていない怠慢な塾であり、そもそも教えても書けないことがわかっているならば、なぜ、小論文対策指導塾なんてやっているのか!と思う方もいるかもしれません。
しかし、技術・技能の指導には適切な教え伝える方法があるのです。それは、実際に手本(=模範解答)を見せて、生徒が書いてみるということです。表現することに試行錯誤し、悩み、苦しみながら、たくさんの失敗をしながら「書く」ということを実際に行ってみる。実際に「書くという経験から学ぶ」ことです。その際、指導者にできることは書きあがった答案に対する容赦のない批判と改善点の提示です。
したがって、我々の指導は①「書くという経験から学ぶ」という側面と、②指導者からの批判・改善指導の側面という二つの側面によって成立しているといえます。独りよがりに書いているだけでも、ただ指導者の言葉を頭で理解するだけでも、ダメなのです。①と②がそろって、初めて正当な小論文対策となるのです。潜龍舎の教育の基本方針は以下の宮大工の棟梁の言葉によく表れています。棟梁が弟子を育てるときにすることは、一緒に飯を食って一緒に生活し、見本を示すだけです。道具を見てやり、研ぎ方を教え、こないやるんやいうようなことは一切しませんのや。「こないふうに削れるように研いでみなさい」とやって見せるだけですな。弟子になるものには大工になろうという気持ちがありますのや。ただその上に何か教えてもらおうという衣みたいなもので覆われていますが、それが邪魔ですな。まず、生活しているうちに自分でこの衣を解かないけません。これは私が解いてやるんやなくて、弟子が自分で解くんです。また自分で解く心構えがないと、ものは伝わりませんな。ですから弟子に来たからというて手取り足取りして教えることはありませんのや。見本を見せた後はその人の能力です。いかにどんなにしたところで、その人の能力以上のことはできまへんからな。
〈中略〉
教わるほうは「もっとちゃんと教えんかい」、「これだけじゃ、できるわけないやろ」、「おれはまだ新入りで親方とは違うんじゃ」とかいろんなことが思い浮かびます。しかし、親方がそういうんやからやってみよう、この方法ではあかん、こないしたらどうやろ、やっぱりあかん、どないしたらいいんや。そうやってさまざまに悩みますやろし、そのなかで考えますな。これが教育というもんやないんですかいな。自分で考えて習得していくんです。
西岡常一『木のいのち木のこころ(天)』草思社、1993年より。
お話にならない段階
「知識」というものは、他者の言葉を受け止める作業であるし、そのようにして身につくものです。他方で、技術・技能というものは言葉を受け止めるだけでは身につくことはありません。まずは、小論文について以上の点をよくご理解いただきたいです。だから、
「小論文の対策の仕方を教えてくれませんか」
「どのような問題が出るのか教えてくれませんか」
「同じ傾向の過去問を教えてくれませんか」
「おすすめの参考書を教えてくれませんか」
「どのような知識が必要ですか」
「どのような構成で書けばいいですか」
「何を書いたらいいのでしょうか」
みたいな質問をして、「一人で小論文対策をできる」と思っているうちは、残念ながらまったくお話にならないレベルだと思います。こういう質問は実際に書いている人からは出てこない。書いてみて、「模範解答」との歴然たる差を見れば、自分に何が不足しているか、よくわかるようになるからです。
小論文対策を一人で行うことはできません。
小論文対策を独学ではできないという理由は、以下のものが考えられると思います。
a.自分の書いた文章の良し悪しを自分で判断することが難しいから。
b.小論文を「書く」力というのは技術であり、この技術は参考書を読んでも身につけられるわけではなく、実際に「書く」という訓練を行い、指導者から添削指導を受ける必要があるから。
c.大学の過去問などが公開されていない場合などに、どのように演習するべきか、高校生にはわからないから。
d.模範解答がない場合など、合格の水準を知ることができないから。
皆様から「小論文の対策の仕方を教えてください」に類する質問を本当にたくさん受けます。SNSサイトなどで小論文指導者とおぼしき人々が、以上のような高校生からの質問に答えているのも見かけます。潜龍舎は上記のような質問に答えるのが面倒だとか、嫌だとか思っているのではありません。言葉を伝えるだけでは、書けるようにはならないため、無駄だと思っています。しかし、以上の質問に答える以前に、高校生の皆様が合格するために不可欠かつ根本的な要素である指導者の存在が明らかに欠けているといつも思ってしまいます。上記のような質問は本来であれば、皆様が皆様の小論文指導者に尋ねるべきことです。それを行わない可能性は二つあります。
1.そもそも指導者から指導を受けていない。
2.(特に学校の先生などから)指導を受けているけれど、(学校の)先生はそこまで丁寧に指導をしてくれるわけではない。(=実質的に指導を受けているとはいえない)
小論文指導者であれば、どのような過去問を用いてどのような演習を行うべきかわかりますし、そうしたことも含めて指導を行うのが小論文指導者の仕事です。類題や過去問も本来であれば、指導者が用意するべきものです。受験生が問題を探すところから行っていたり、上記のような質問を繰り返していたりするようでは、対策が後手に回っている、あるいはそもそも対策をしていないといえます。受験期にそうしたことを行っている場合ではないのです。上記のような質問をしてくる人は、「小論文対策を自分でなんとかできる」という勘違いをしていると思います。受験生にとってこの時期は、実際に小論文を書いて演習を行う時期です。受験生の皆様には、ぜひ、適切な指導者からご指導を受けられることを切に願います。
小論文の対策を「早く」始めなければ「ならない」深刻な理
直前でも何とかするけれど、早く来なさい!
今回は、小論文の対策を早く始めなければならない理由について、お話したいと思います。どうも受験生は、小論文の対策を後に回す傾向が顕著です。入試の本番2週間前に小論文対策を申し込んでくる人(怒)!が毎年います。わかります、共通テストにおいて思ったような得点が得られず、志望校を変更した結果、小論文の試験があるということになったという場合もあります。とはいえ、事前にいくつか志望校をピックアップしていくなかで小論文の試験があるということがわかったら、小論文の対策は事前にしておきましょうねと、今年の受験生にも言っておきたいと思います。
小論文対策を早く始めるべき深刻な理由
3月,4月は、弊塾では小論文の無料体験指導を実施させていただいております。まだ、小論文を書く訓練をしたことがない生徒さんの解答を添削させてもらって、高校生がいかに文章を書くことができないのかを確認させてもらっています。その後、受講を決めていただいた生徒さんに対しては、潜龍舎の骨の髄まで響く小論文対策指導が始まり、鍛えていきます。問題は、入試に小論文の試験があるとわかっているのに、まだ何もしようとしていない人です。
オーソドックスな小論文の設問として、以下のようなものがあります。
「次の文章を読んで、筆者の主張を要約し、それに対してあなたの考えを述べなさい。」
このような課題文型の小論文課題の設問に対して、対策をしていない人は、以下のことができません。
①あなたは、そもそも課題文が読めていない。
↓
②課題文を読めていないから、あなたは筆者の主張をつかめていない。
↓
③筆者の主張をつかめていないから、あなたは要約ができない。
↓
④筆者の主張や議論の要点を正確につかめていないから、あなたは適切な論点を設定できない。。
↓
⑤論点を設定できないから、あなたは行うべき適切な自分の主張を展開できない。
(設問の要求から盛大にズレまくった解答になる。)
みなさん、上記の負のスパイラルが綺麗に連鎖していきます。諸悪の根源は、「課題文の内容を正確に読むことができていない」という上記のファーストステップです。
筆者の主張がわからない。筆者の主張が文章の最後にあると思い込んでいる。課題文の説明の論理を正確につかめていないから、枝葉末節部分や具体例の部分から発想しようとする。ともかく課題文を正確に読めていない。もっと悪いと、設問の要求を正確につかめていない。小論文は自由作文ではないので、設問の要求を満たさなければ得点できません。小論文を書く以前に、そもそも課題文を読むことができていないので、まずは課題文の読み方を指導しなければなりません。だからこそ、小論文の対策を早く始めてもらいたいのです。「書く」以前の問題なのです。
資料・数値データも読むことができない
大学の学部学科によっては、資料(グラフ、統計図)や数値データを読ませて、小論文を書かせる課題を出題する大学もあります。課題文を読むことができない以上に、みんな資料の分析ができません。数値の羅列を見るとなぜか思考がストップしてしまう人もいます。データ分析をする訓練をしていないからですね。これも小論文を書く以前の問題になります。繰り返し言います、ともかく小論文対策を早く始めましょう!
圧倒的分圧を持つ小論文の書き方①
志望大学の試験に、小論文が課されている。君は一度も小論文を書いたり、書く訓練をしたことがないとします。どうするでしょうか。まずは、市販されている小論文の書き方や小論文対策の指南書を読むでしょう。ところが、それらの本をいくら読んでも君の小論文は「合格答案」にはなりません。「書ける」ようにはならないのです。そうした本が無駄だということを言いたいわけでは決してありません。優れた小論文指導書もたくさんあります。しかし、考えてほしいのです。何か技能を身に付けるときに、あるいはスポーツで技を磨くときに、本を読むだけで身につくでしょうか。本も読んで、練習をするのではないでしょうか。小論文も同じです。というのも、小論文は、物を書くための一つの技術だからです。技術や技能は、訓練して身に付けなければいけません。したがって、あなたが小論文を書き、合格答案を作成するためには、実際に書く訓練をしなければいけません。
小論文というより、論文を考える
小論文は論文の一種です。論文と異なるのは、本物の論文はテーマから自分で考えなければならないのに対し、入試の小論文はテーマ、お題が与えられます。
しかし、小論文は論文の作法を押さえておかなければならない点では論文といっしょです。小論文の読み手、採点者は、論文を執筆する大学教員、プロの研究者です。したがって、論文の作法を押さえておくことは、小論文試験で得点するために必須です。要するに、大学教員が書いたり読んだりしている論文と同じように書けばいいわけです。我々は小論文の「型」を教えない
大学入試の小論文課題は千差万別、字数もテーマも異なるのに、「これで大丈夫!」なんてオールマイティな「書き方」なんてあるわけがありません。600字の小論文と1200字の小論文では書き方はまったく異なってくるし、求められることも変わります。小論文対策を最短で行いたいのならば、志望校の小論文課題に特化した訓練をする必要があります。我々が最短で小論文対策を行うマジックがあるとすれば、ここにあります。我々は小論文の「型」のようなものは一切教えません。これにはめれば大丈夫という「型」なんてないからです。字数やテーマにしたがって、そもそもその小論文の論理や構造をどのように作るのかが評価されるのだから、お仕着せの「型」にはめても高得点になるはずがありません。とはいえ、何も手掛かりがないんじゃ、書きようがないと思います。そこで、論文に必要な最小構成単位を示しておきます。
論文の構成要素
・論点の提示
何について書くのか主題を示す。入試小論文の設問は、「○○についてあなたの考えを述べなさい」、というものが多いです。したがって、「○○とはどうあるべきだろうか」、「○○を実現するためには何が必要だろうか」というように、論点は疑問形で示すとよいです。
・主張
論点に対して、自分の主張を簡潔に述べましょう。「○○は~~~であるべきだと考える。」と自分の考えを明確に示します。
・主張の理由・根拠
小論文では主張の言い放しは、絶対に避けましょう。何か主張を行ったら、必ずその理由・根拠をセットで述べます。「なぜなら~だからだ。」、「というのも~だからだ。」というように、明確に理由を示しましょう。また、何か素晴らしいことをいう必要はありません。論点に対して、現実的かつ妥当な主張を行います。現実離れした妄想みたいな解答は不要です。
・具体例
主張に対して、適切な具体例を挙げられるかどうかも高得点を狙ううえで重要です。このあたりは、社会的文脈力が問われるます。我々は、そうした背景知識なども指導していきます。ただし、字数によっては具体例を挙げる余裕がない場合もあります。その場合には、ごく簡潔に示せばよいでしょう。
・結論
潜龍舎が求める結論は、ここまで論じてきたことを全体として俯瞰したところから示す一段高い結論です。この結論の書き方は、実際に指導を受けて体得してもらいたいです。
論理とは接続詞を正しく使うこと
ものの本には、論理的な文章を書けと記してあると思います。論理的な文章とは何でしょう。論理的な文章とは、接続詞を適切に用いて、文と文、段落と段落を整合的につなげていく文章です。
要するに、接続詞を正しく使って書こう、ということです。潜龍舎で初めて小論文を書く生徒のなかには、接続詞が一つも用いられていない小論文を提出してくる人もざらにいます。潜龍舎では、すべての文に接続詞をつけられるぐらいの構成を持つ文章を書こうと指導します。接続詞を正しく使いましょう。模範解答を研究する
我々は、自分の書いた答案と模範解答のどこが異なるのかを生徒に研究してもらいます。構成、表現、われわ模範解答の研究を通して、技術を自分の血肉にしてもらいます。そして、これが力になり、我々の生徒達が他の生徒たちと差をつけるところです。
圧倒的文圧を持つ小論文の書き方②
大学入試の小論文では、各学部・学科において、当該の学部・学科に固有のテーマや問題が出題されるところもあります。たとえば、以下のような問題です。
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演劇、舞踊、音楽、映画、美術、文学等の領域で、あなたが最近鑑賞して最も感動した作品、公演等を一つ取り上げ、その表現の芸術性をどのように説明できるか、あなたの考えを800字以内(句読点等を含む)で述べよ。
2017 東京学芸大学 E類教育支援専攻 表現教育コース 推薦入試 小論文問題(模範解答はこちら)
—————————————–
こうした問題に対処するためには、単に文章が書けるということでは対応しきれません。設問にもあるように作品や公演に触れていることが前提とされているからです。したがって、これまでにどのような経験や体験をしてきたかがものを言います。こうした問題に対処するためには、どうしたらいいのでしょうか。
自分の興味・関心のある分野についてもっとハマっておく
上記の問題では、作品や公演に触れていることが前提となっていますから、演劇、舞踊、音楽、映画、美術、文学等から自分の好きな分野について、自分の好きな物についてどっぷりハマっておくことが大事です。その分野に関しては、完全にオタクと言えるほどにまでなっておくのがよいでしょう。そうすれば、上記のような問題が出題された場合でも対処できます。
あなたの関心のある分野における諸問題について基礎的な理解を得ておく
あなたの志望する学部・学科が研究対象として扱う様々な社会問題や基本的な概念について、新聞や新書などを読んで理解を深めておくと、小論文の答案が格段に作成しやすくなります。こうした「仕込み」には一定の時間を要しますので、小論文の対策を早めに始めることが肝要です。
学部・学科の出題の意図を把握して解答する
自分の志望する学部・学科の小論文の作問者が何を考えさせ、答えさせようとしているのか、その問題意識を正しく理解し、共有することができるかどうかで、小論文の内容は格段に異なってきます。出題される問題を単なる問題として考えるのみならず、作問者の意図や問題意識にまで考えをめぐらせることによって、圧倒的文圧を持つ解答を作り出し、高得点を狙うことが可能です。
圧倒的文圧を持つ小論文の書き方③
初回の答案はほとんど構成が考えられていない
弊塾の指導では、生徒の現在の文章作成能力を見せてもらうために、初回はゼロから自力で小論文の答案を作成してもらいます。初回の答案の90%以上が、構成ができていません。また、以下のような問題もあります。
・設問の要求に応えられていない。
・課題文の内容を無視する。
・課題文の内容をそのままなぞる。
・論点が示されていない。
・同内容の反復がある。
・途中で話が変わる。
・具体例が主張を支持するものになっていない。
・具体例の説明がやたら長い。
・主張と結論が整合していない。
これらの問題点は、すべて構成ができていないからです。反対にいえば、小論文の構成をきちんと考えられるようになれば、それだけでも飛躍的な向上が見込めます。
書きながら考えるな!考えてから書け!
小論文答案を作成するうえで、最も非効率的なのは、「書きながら考える」ことです。書き進めながら考えていると、説明の展開や構成が場当たり的なものになり、論の展開における整合性が間違いなく失われます。また、途中で気が付いても、話の順番等を入れ替えるということが不可能になります。したがって、小論文のプロット構成(=小論文の骨組みを考える)を先に行ってから、書き始めましょう。書き始めたら、内容の展開について考えることは一切しません。あとは、プロットという設計図にしたがって、ゴール(=結論)に向かってスイスイ書いていけばいいのです。小論文を時間内に解答できない人は、プロット構成ができていない人が多いです。
試験時間の半分をプロット構成に使え!
弊塾では、「試験時間の半分をプロット構成に使え!」と指導しています。弊塾の対面指導コースでもその大半をプロット構成の方法や内容の検討を中心について時間を割いています。プロットを見たら、小論文がどのような出来になるのかわかります。ともかく、すべてプロット構成を考えてから書き始めましょう!見切り発車なんて、もってのほかですよ!構成や内容、段落ごとに割く字数まで決定してから書き始めるのです!
圧倒的文圧を持つ小論文の書き方④
「譲歩構文を捨てろ!」−フォーマット思考からの脱却に向けて−
どういうわけか、答案に必ず譲歩構文「たしかに〜しかし…」を用いる人がいます(しかも、かなりぎこちない)。どこで聞きかじってきたのやら、骨董品みたいな、もはやテクニックとも言えない書き方です。しかも、譲歩構文を使ったからと言って、文章が論理的になるわけではないです。他にも設問の指示を無視した段落構成や、「序論、本論、結論」みたいな型に無理やり当てはめようとして、説明の論理や理屈が蔑ろにされている答案も多数見ます。こうした誤りがあるのは、小論文は型に当てはめて書けばなんとかなるというフォーマット思考があるからだと思います。このフォーマット思考で小論文に取り組んでいるうちは、高得点を取るどころか、そもそも得点することすら怪しくなってしまいます。
1.フォーマット思考から脱却しよう。
まず、小論文の書く上で「フォーマット=型」にはめた書き方をすればなんとかなるという発想を捨てるべきです。たしかに、各大学の小論文課題には例年同じような出題形式や傾向があるものもあり、数年分解答してみれば一定のスタイルで解答できることはわかると思います。しかし、小論文試験は、本質的には課題文のテーマや設問の要求に従い、自分なりに論を展開する能力や考え方を示すことができるかどうかが評価されます。したがって、何も考えずに最初から特定のフォーマットに落とし込んで書こうとする意図のもと作成された答案には、説明における論理や展開において無理が出てきてしまいます。だから、今すぐその「フォーマット思考」をやめましょう。
「とりあえず、まず、小論文では筆者の考えを要約すればいいんですよね?」。
とりあえず、こうしておけばいい、というのがフォーマット思考です。
要約するかどうかは字数や設問の要求によって異なります。出題に合わせて何を記述すればいいのかを必死になって考えるところからスタートです。自分の論点を論理的に導き出すために一定程度の要約が必要であるなら、要約をしますし、字数によっては論点を改めて提示することもなく自分の主張から始めなければいけない場合もあります。
2.設問の指示に厳密に従いましょう。
設問の指示を読まない、読めていない答案も非常に多いです。設問において「こうしなさい」という指示があるのに、その指示を無視してしまったら、そもそも得点ができなくなってしまいます。設問は最低でも5回は読もうと我々は指導しています。何をすることを求められているのか、正確に把握してから考える必要があります。
3.普段使っていない方の頭を使わなくては…。
科目に限らず学習した範囲において出題がなされ、一定の解法などもある問題をこれまで機械的に解いてきた(これはこれである意味では頭を使うと思いますが…。)みなさんは、まず論点が定められていません。課題文を読んでどのような論点を定めるべきなのかを考えられない人がたくさんいると思います。また、自分の主張に対してふさわしい具体例を考えることができない場合も多いです。おおよそ、自分の日常的体験(学校生活や部活動の体験ばかりです)を具体例に挙げられることが多いですが、これには問題があります。というのも、個人の経験を一般化することほど、困難なことはないからです。広く一般に認められている事象を具体例として挙げる必要があります。したがって、本質的に考えるためにも「普段使っていない方の頭」の使い方を覚えていく必要があります。
圧倒的文圧を持つ小論文の書き方⑤
1.字が汚い。
私の指導の範囲でも、とてつもなく字が汚い生徒の答案を、まあまあ見ます。美しい字を書く必要はありません。しかし、せめて判読可能な字を書く必要があります。採点官である大学教員は、提出された受験生の小論文について、何が書かれているのか「がんばって読み取ってあげよう」という姿勢では読みません。判読できない文字があったり、読みづらい文章であれば、かなり心証が悪くなり、大幅な減点をされたりする恐れがあります。したがって、人に読んでもらうことを前提とした字を記述することを、普段の練習からも心がけましょう。
2.一文が長過ぎる。
一文がやたら長い人もけっこういます。一文が原稿用紙で、十行ぐらいある人もいました。。つまり、200字が一文で記述されているのです。文章はリズムも大事です。日本語でも、英語でも一文がズラズラと長いと皆さんも読むのが嫌だと思います。したがって、一文一義、つまり、一つの文では一つの意味内容だけを記述し、できる限り簡潔な文章を、適切な接続詞を用いてつないで表現をしていきましょう。
3.具体例が長過ぎる。
「具体例を挙げながら、あなたの考えを説明しなさい」といった設問の指示に従おうとしたのでしょう。しかし、答案の半分が具体例の説明に割かれては、答案の記述バランスが悪いです。世に広く認知されているという意味で一般的な具体例を簡潔に説明をして挙げましょう。
4.課題に対する解決策が妄想じみている。
「発展途上国において水資源が不足している問題について、我が国に可能だと考えられる支援対策について、あなたの考えを述べなさい」という問題が出題されたとします。あるあるの問題ですね。これに対して、かつて実際にあった妄想答案は以下のようなものです。「ミネラルウォーターのペットボトルを大量に購入して、発展途上国に送る」。空輸に多大な資金がかかる上に、持続可能な支援ではありません。エネルギー問題についても、「原発を再稼働すべき」と簡単に書く人もやはり問題だと思います。放射性廃棄物処理問題などがあるからです。きちんと現実的かつ妥当な提案をしないとダメです。
5.論じることができていない。
自分の思いや意見だけが長々と書いてある答案、これもよろしくないです。主張に対しては、その理由・根拠や具体例などを挙げることによって、読み手を説得できるように、説明上の理屈を示して、「論じる」必要があるわけです。エッセイ、作文みたいな小論文もたくさん見ます。その一環として、文における体言止めもよく見ます。「いきとしいける者にとって重要な問題。それは、」のように文を体現(名詞)で終えることは、やめましょう。小論文はポエムやエッセイではありません。主語、述語、目的語を備えた完結した文を記述していきましょう。
どうして君たちが小論文・志望理由書を自力で書けないのか
今日のお話は、みなさんのお書きになる文章がいかに酷いものなのかという事実と、そこから派生する総合型選抜や学校推薦型選抜における志望理由書作成、あるいは一般入試の小論文対策の困難についてです。
君たちのお書きになる文章が度し難いほど酷い件について…
端的に言って、高校生のみなさんが最初にお書きになる文章は酷いものです。もちろん、なかには大学1,2年生のレベルを凌駕するどころか、大人顔負けの上手い文章を書いてくる人もごく「稀」(まれ)にいます。しかし、受験生であってもその大半の人の文章は、最初は正直読むに堪えません。悪口や叱責ではなく、事実としてそうなのだということをお伝えしたいです。以下のような問題点は日常茶飯事としてあります。
・主語がない。
・目的語がない。
・接続詞がない。
・指示代名詞の曖昧な使用(指示対象が不明)。
・常体(だである調)と敬体(ですます調)が混在した文章。
・一文が恐ろしいまでに長文である(おまけに節と節との修飾関係が破綻)。
・形容詞、副詞の位置がおかしい。
・接続助詞「が」の厳密な使用がなされていないため、前後の論理関係が不明になる。
・端的に言って、正直何を言っているのか本当にわからない文がある。
・口語を混在させている。
・(文章の中で)未規定の概念を説明もなく当然のように用いる。
・主張に対して全く関係のない具体例を挙げる。
・高校生としてふさわしい表現が用いられていない。
・謎の体言止めの使用によって、「文」になっていない。(ポエムが突然始まる。)
・説明における論理が成立していない。理屈がよくわからない。
・自分の言いたいことを自分でも正確に把握していない。
・読み手が「がんばって」読み取ってくれるだろうという独善的な姿勢で記述する。
・抽象的な言葉やカタカナ語を用いた結果、ほとんど意味として実体のない文を書く。
・「ら抜き言葉」の使用。
・慣用句の意味を取り違えた使用。
まだまだたくさんありますけれども、これぐらいにしましょう。
それが先生のお仕事ですよね!?
「言いたいことはわかりますが、こういう問題点を丁寧に添削指導してくれるのが我々の仕事なんですよね、ここでダメ出ししても意味ないんじゃないですか。」と言われるかもしれません。まぁ、そのとおりです。しかし、度が過ぎるんです。こういう表現や修辞のレベルの問題についてあまりにも指導の時間や指摘に時間をとられてしまうと、もっと本質的な指導(何を書くべきか、論理的な文章の構成はどのようにするのか、どのような知識や理解を当該分野について持っておくべきかなど)ができなくなってしまうのです。また、これだけ表現の面で難を抱えてしまうと、正確に自分の言わんとしていることが表現できないという悪循環に陥るわけです。自分でも何を書いているのかわかっていないと思います。そして、本当にみんな悪びれもなく言います。「ちょっと自分でも何書いてるかわかんないっす!」。君がわからなかったら、私たちもわかりません。
文章が書けないのは君のせいではない
とはいえ、まともな文章を書くことができないのは、君たちのせいではありません。というのも、学校で定期的に文章を書くための基礎的な訓練したり、添削指導を受ける機会はないようですからね。しかし、こうした状況にあまんじていると、いざ小論文を書く際に非常に大きな負荷や困難を背負うことになってしまいます。自分の思っていることや考えを正しく言語化し、表現するための基本的な能力を備えていないと、小論文の対策にはそれだけ時間がかかってしまいます。
文章を書くことが苦手なんですが…
「文章を書くことが本当に苦手なんですが、試験に間に合いますか」というご相談も非常によく受けます。特に総合型選抜は、志望理由書や面接などにおいて自分の考えや熱意を正しく表現することが求められる試験であり、自己を表現する力やコミュニケーション能力が問われます。それらが苦手だと言われると、それまでに特に対策を講じてきたわけでもないうえに、なぜ苦手なことを要求される試験にあえて臨もうとするのかという疑問を抱かざるをえません。文章を書いたり自己を表現することが求められる試験に対して、やはり早期から相応の準備をして臨む必要があると思います。
文章を書く訓練をしよう!
何度でも言います。高校生の大半は、非常に基礎的なレベルにおいてさえ文書を書く力が身についていません。こうした君たちが高校3年生、しかも夏休みになって突然、志望理由書の作成や小論文の対策を始めてもかなり厳しいものがあるのです。高校3年間、定期的に文章を書く訓練をしていれば、慶應SFCの小論文問題だってさほど苦労することなく対策できるのです。大事なことは早期から定期的に文章を書く訓練をしていきましょうということです。高校3年生になったから文章が上手くなっているわけではないのです。なにもしていないと本当に中学生レベルのままです。高校1,2年生のみなさん、悪いことは言いません、将来的に志望理由書を書くかどうかわからない、小論文の試験を受けるかどうか今はわからなくても、今から少しずつ訓練していったほうが絶対によいです。各種の対策が大変なものになる大きな要因の一つは、限られた時間で合格水準の文章を書くことを要求されるにもかかわらず、本当に基礎的な文章作成能力すら身についていない状況から始めることになるからです。頭を下げてでもお願いします。文章を書く訓練をしよう!保護者の皆様におかれましても、ご理解のほど、ぜひともよろしくお願い申し上げます。
「型が先行する小論文…」
「こういう型で書けばいいですか?」
小論文の指導をしていると、こういう質問をよく受けます。そして、どこで仕入れてきたのか、下記のようなフォーマットが示されます。
・序論
課題文によると〜とある。
筆者は、〜と述べている。
私は〜と考える
しかし、〜という問題もあるのではないか。
・本論
近年、〜である。
現状、〜という問題が起こっている。
〜とすることにより、〜という効果が得られる。
例えば〜である。
例を挙げると、〜だ。
しかし〜といった問題点が指摘されている。
・結論
したがって、〜であると私は考える。
以上の理由により、私は〜であると考える。
型にはまったフォーマット思考は楽です。これにはめていけばいいわけです。おまけに、そうした「お手軽簡単フォーマット思考」に陥った生徒たちは「型を守ることで、常に論理的な文章にが書ける」などと言います。少し考えればわかると思うのですが、上記のような型に当てはめて、すべての小論文答案を作成することはできません。字数や設問の要求などによって、小論文の構成は変わるからです。以下の問題は、上記のようなフォーマットでは太刀打ちできませんよ。次の二つに従い、合わせて800字以内で論じなさい。
・下線部(1)に関連して、ある一つの国の状況を取り上げ、その国を小国と呼ぶことのできる理由も記したうえで、自分の知っている事例を記せ。
・下線部(2)に関連して、「足るを知る経済」が持続可能な発展(開発)を達成する手立ての一つと、なぜ言えるのか論ぜよ。なお、「足るを知る経済」原則からは異なる概念を使っても良い。
2021年度 上智大学 総合グローバル学部 公募制自己推薦入試 小論文より
次の文章を読み、傍線部の「現在のわれわれに課された課題」について、あなたの考えを1000字前後で述べなさい。
2019年度 立教大学 異文化コミュニケーション学部 自由選抜入試 小論文より
「科学とは疑うことである。」という書き出しで、その文字も含めて601字以上1000字以内で論じなさい。
2020年度 早稲田大学スポーツ科学部 一般入試 小論文より
しかし、「型」(=フォーマット)を金科玉条のごとく守ることによって生み出される、明後日の方向の答案をよく見ます。構成を考えましょう。
上記のような話や指摘をすると、すぐに生徒たちからこう聞かれます。
「そ、それじゃあ、小論文をどういう構成で書いたらいいんですかっ!?」
「いや、だから、それを考えるのです」と弊塾スタッフも返します。
何かの型にはめるのではなく、字数や設問の要求を勘案したうえで、小論文の構成そのものを自分で考える必要があるのです。したがって、小論文対策において訓練するべきは、この小論文の構成方法であり、何を書くべきかという発想法になるわけです。
設問の指示を正しく理解し、遂行せよ
「筆者の主張を踏まえて、〇〇〇についてあなたの考えを述べなさい」という指示がある小論文問題もよくあります。みんな最初は、「筆者の主張を踏まえて」という指示を完全に無視します。つまり、いきなり自分の意見や主張を書き始めます。しかし、それではだめなのです。「筆者の主張を踏まえて」という指示に従うためにも、小論文冒頭では筆者の主張を簡潔にまとめる必要があります。「課題文において筆者は~~~と述べている」等の表現が必要になり、したがって、筆者の主張を要約する必要が出てくるわけです。要約するかどうかは、問題の形式や設問の指示に従う必要があります。型にはめて考えれば、いつでも要約が必要なのかもしれません。しかし、設問の指示に従えばいいのです。
「型」の小論文から脱却せよ
設問の指示にも従うことのできない定型の量産型小論文を読むことに、審査官である大学教員は心底うんざりしています。高得点を狙うためには、小論文における構成、説明の理屈や論理、適切な具体例などについて、自分で悩んで考える必要があるわけです。本質的な論述の力を身に付けるためには、型にもとづいた小論文から今すぐ脱却しましょう。
小論文記述の基本ルール
弊塾 小論文記述の基本ルール
小論文では、「基本的な能力を有した日本語ユーザーであれば、だれでも理解できる(=誤解しない)」精確な(精密で的確な)日本語を書くことが求められます。その能力を身に付ける第一歩として、以下のルールを必ず守ってください。
1.「何となく伝わるだろう」と考えて記述することは絶対にNGです。小論文の採点において、文章は書いてあるとおりにしか解釈されませんし、解釈できません。逆に言えば、その他の(拡大)解釈や曲解を許さない文章を心がけてください。つまり、自分の書く文章の意味を、きちんと自分でコントロールするようにしてください。
2.そのためにも、まずは必ず主語を明確にしてください。「書かなくても伝わるだろう」「好意的に解釈してくれるだろう」という期待を読み手に押し付けてはいけません。また、採点官である大学教員は、提出された受験生の小論文について、何が書かれているのか「がんばって読み取ってあげよう」という姿勢では読みません。文意が不明瞭だったり、論理的な展開がなされていなければバッサバッサ落としていきます(笑)。3.主語を明確にしたら、主語に述語を対応させましょう。主述が対応していないというのは、たとえば以下のような文章を指します。主部と述部が離れると(~の部分が長くなると)、主述の対応を見落としがちになるので気をつけましょう。
×:料理において重要な要素としては、~「さしすせそ」である。
〇:料理において重要な要素としては、~「さしすせそ」が挙げられる。
4.小論文は敬体「です・ます」調ではなく、常体「である」調で記述してください。
5.「箇条書きでもOK」という指示がないことや設問の字数が400字を下回らないかぎり、必ず(複数)段落で構成された文章を書くようにしてください。ブログ調は絶対にNGです。
6.一文が過度に長い場合には、文を短く切り、接続詞を用いて文と文をつなぐようにしてください。「過度に長い」というのは、原稿用紙において5行を超えるような文のことを指します。
7.段落の冒頭には必ず一文字分のスペースを入れましょう。
8.体現止めはNGです。主語と述語が共に明確な文章を心がけましょう。
9.語尾の「~だ。」はフランクな文語なのでNGです。「~である。」「~であると考える。」などを用いましょう。体言止めを含め、文章表現法の巧みさでアピール・強調するのではなく、内容の精確さ、説明の論理によって勝負できるようにしましょう。
10.口語は使用不可です。話すとおりに書いてはいけません。【例:だから、そんな、みたいな、だが、でも、いろんなetc.】。文語をしようするようにしましょう。【例:それゆえ、したがって、そのような、~のような、しかしながら、色々なetc.】。
11.内容を曖昧にするための(文学的)表現はNGです。たとえば、以下のような表現です。
×彼のような人は~【正:彼は~/彼のような○○な人は~】
×日本は依然として景気が減速しているようである。
【「ようである」が不要である代わりに、景気が減速している根拠の提示が不可欠】
×日本の代表的観光地として、京都などが挙げられる。
【正:~として京都、大阪、奈良などが挙げられる。/~として京都が挙げられる。】
12.接続助詞の「が」は使用禁止です。
佐藤は高校生、大学生、社会人にも指導しております。このルールは年代を問わず、みんなに意識的に徹底してもらっています。というのも、接続助詞「が」の用法は非常に広いため、使いこなすことができないからです。
例
雨が降ってきましたが、体育祭は続行です。(逆接の確定条件)
天気は良いが、日差しが強い。(前文との対照)
彼女は、顔もいいが頭もいい。(順接)
上記以外にもともかく「が」は便利で、いろいろ使えてしまいます。新聞なんか見ていると「が」のオンパレードです。このいろいろ使えてしまうところがやっかいです。いろいろ使えてしまうから、文章の論理性を見失わせる(読み手にも書き手にも)。どういう筋や流れで文章が展開されるのかが、この「が」のおかげで一挙に見えづらくなるのです。また、「が」を用いると一文が長くなる傾向があります。したがって、接続助詞の「が」は使用禁止です。
13.一文一義主義
文章を書き慣れていない人は、やたらと一文を長く書く傾向があります。長い文章は、読みづらいのです。英語でも関係詞節や分詞句なんかがくっついて一文が長くなると、みんな読むのが嫌になると思います。一つの文章では一つの事柄のみを書き(一文一義)、なるべく一文を短く書くように心がけましょう。そして、短い文と文との論理的なつながりを意識しましょう。すべての文と文に接続詞をつけて論理的連関を持たせるぐらいの意識で書きましょう。
構成についての質問
「本文で説明されている「非暴力」について、あなた自身の意見を含めながら、800字以内で論じなさい。という問題なのですが、どのような構成で書けば良いのでしょうか。」
このような質問を非常にたくさん受けます。おそらく、以下のようなことを教えてもらいたいのだと思います。
構成
課題文で述べられている「非暴力」とは、×××について○○という姿勢を貫くことや、◇◇という事態に対して、~~という形で暴力に訴えることのない態度や行動を示すことである。それでは、こうした「非暴力」の有効性や限界はどのような点にあると考えられるだろうか。
(論点提示)
非暴力の有効性は○○○という事態に対して、××を抑止する点にあると考える。(主張)
なぜなら~~だからだ。(理由根拠)
たとえば、====といったことがある。(具体例)
したがって、非暴力は○○○に対して有効だといえる。
他方で「非暴力」の限界は、………という点にあると考える。(主張)
というのも、ー----だからだ。(理由根拠)
たとえば、△△△といった事態に非暴力的な姿勢は有効ではない。
したがって、非暴力は………という点においてその力を発揮できるとは言えない。
答えを聞いてどうするのですか…
何も考えないうちから構成を教えろといって教えてしまうと、いつまでたっても小論文を書く力を伸ばすことはできません。本質的に小論文は物事をどのように筋道を立てて説明するかが問われ、評価される試験だからです。したがって、構成を教えてくださいという質問は、答えを教えてくださいという要求と同義です。答えを教えては小論文の訓練をする意味がありません…。
構成を教えろというのは、小論文において何の力を伸ばすべきなのかという本質をとらえていない要求だと思います。答えを教えてもらって、何の力が身につくのでしょうか…。弊塾では、こう書けばよいという構成(=答え)を最初から教えませんが、問題に対して自分で構成をする方法や発想の仕方をひたすら指導しています。
試験会場では一人で問題に取り組むんですが…構成を教えてください、何を書いたらいいかわかりません…こうした質問が出てくる事情もわかります。「考える」訓練をしてきていないです。でも、試験会場では自分ひとりで考えて問題に取り組む必要があることはいうまでもないことです。それなのに、最初から構成内容という答えを聞いているようでは、何の力も身につきません。
弊塾の指導
構成を行うためには、まさに構成をする訓練を実践して身につけていくしかないです。潜龍舎の小論文指導時間のなかでは、小論文の骨組みとしてのプロットを作成する方法や問題へのアプローチの仕方、発想の仕方を指導することに大半の時間が割かれています。文章そのものの書き方や指導は、添削指導や生徒たちに配布する「アドバイスレポート」で行っています。小論文を書くために必要な力が備わるような訓練をしないと試験会場で手ごたえのない答案を作ることになり、合格することはできません。したがって、「どのような構成をすればいいですか」ではなく、自分で考える力を身につける必要があるといえます。
資料分析型問題について
資料が提示される問題について
各種のグラフや数値データが示される小論文課題もあります。こうした資料型問題において、多くの皆さんから「何を書いたらいいかわかりません」という致命的な質問を受けます。
そもそもグラフやデータとは何のために提示されているのかを考えなさい
なぜ、グラフや数値データなどの資料がそもそも作られるのか。ある現象を数値やグラフにしてとらえることの目的は何なのでしょうか。グラフや数値からわかるのは、ある種の「傾向」です。その傾向が強いもの、有意味なものであれば、それは現象のもつ「性格」や「特徴」となるのです。グラフやデータからはこの顕著な性格や特徴を読み取るべきであるし、入試問題において出題される資料には必ず読ませたい「意図」があります。グラフやデータには読み取るべき内容や意図があるのです。これを読み取ることができないと小論文の答案を作成できません。
資料を正確に分析判断する力を身につけましょう
どういうわけか、資料が読み取れない人がけっこういます。驚くほど的外れな分析をする人がいます。端的に言って、資料を読む訓練をしていないからだと思います。グラフやデータには一定の読み方がありますが、非常に雑駁なことをいえば、潜龍舎では「まずは目立つところを見つけろ!」が基本的な方針です。平均から突出して多い/高いあるいは少ない/低い数値やグラフの特徴を素直にみることが基本中の基本です。そこから考えます。なぜ、そのような特徴がみられるのか、その特徴は良い傾向なのか悪い傾向なのか、その特徴が今後も続くとどうなってしまうのか等々、考えます。また、局所的な数値や年度等だけでなく、グラフや数値の全体において推移や変化がみられる点も見出すことができる場合があります。そうした推移や変化も、それがなぜ生じているのか、その傾向が続くこと/続いたことが、どのような影響をもたらしうるのか等について考えられるとよいと思います。
資料の分析から論点を定めなさい
正確に資料の傾向が把握出来たら、論点を定めます。
解答例
ケース1において居宅を希望する者が7割を超えるのは、末期がんであるものの生活に支障がないため、居宅にて家族との時間を過ごしたいという希望があるからだと考える。ケース2では、医療機関や施設を希望する者が6割いる。これは、食事や呼吸に不自由があるため医療機関等で終末期を過ごし、家族の介護負担を軽減したい希望の現れだと考える。ケース3の場合、医療機関と施設を希望する者の割合が合わせて7割を超える。こうした希望が見られるのは、意識や判断力は正常であるものの、身の回りの手助けが必要なうえに、重度の心臓病への対応に居宅で過ごすことは不安があるからだと考える。………
以上のケースを踏まえ、終末期における医療やケアについて十分に本人の意志が尊重されるようにするためには、どうするべきだろうか。
「以上のケースを踏まえ、終末期における医療やケアについて十分に本人の意志が尊重されるようにするためには、どうするべきだろうか。」↑これが論点。資料の分析の結果、何が問題であるのか、何がテーマであるのかを適切に把握したうえで、必ず論点を示しましょう。
要約について
課題文の要約
要約をする際には、本文における筆者の主張をまずは探します。そのうえで、なぜそうした主張が可能なのか、あるいは行われるのか、説明上の理由・根拠を探し出し、説明における論理、理屈を答案において示す必要があります。
みなさんの要約の問題点
要約は、課題文の要点をまとめるものです。そして、それらの要点を小論文の試験の場合は、「論理的に記述する」必要があります。みなさんの答案は、文章どうしの接続関係が十分に示されておらず、説明上の論理が不明のため、ただ単に課題文の内容を切り張りしただけのものになっていることが非常に多いです。その結果、要約として成立していないため、そうした答案では得点できません。また、要約すべきポイントも押さえられていません。したがって、課題文において、どのような筋で話が展開されているかを正確に把握する必要があります。
要約例
人類の発展の陰には、格差がある。
たとえば
今日の世界的な格差は、近代の経済成長によって引き起こされたものだ。
なぜなら
世界の一部で長期的かつ持続的な成長が始まっても、他の地域ではそうはいかず、国家間に縮まることのない格差を生んだからだ。
それゆえ
経済成長こそが、世界的な所得格差の源である。
さらに
ある国の発展が、別の国の国民に貧困と格差を強いることによって、成立する事例も多々ある。またグローバル化による発展にも格差が隠されている。
たとえば
アジアの新興国の急成長は、アフリカの国々を置き去りにすることで格差を生んだ。
一方
国内においても国家の経済成長の速度が落ちると、国民間の格差が広がるようになる。
なぜなら
一握りの人々が莫大な財産を築き、大多数の人々は物質的な豊かさを享受することはないからだ。
そのうえ
医療の発展も健康格差を生んできた事実がある。
以上より
発展は格差を生むことによって生じている。
上記のように要点をピックアップしていくことが要約には不可欠です。また、「論理的に記述する」とは、上記のように接続詞を使って、各要点をつないでいくことです。小論文における論理とは、接続詞を適切に使って文どうしをつないでいくことです。課題文の説明の論理を読み取ったり、考えたりして、要約における要点どうしを、接続詞を使ってつなげていけるとよいです。もっと字数が少ない場合の要約
字数が少なくても要領は同じです。まずは課題文においてもっとも重要なテーマや主張をピックアップします。そのうえで、そのテーマや主張がどのように展開されるのか、示していきます。
要約例①
筆者によれば、日本の新幹線がこれまでに乗客の死亡事故を一度も起こすことなく、驚異的な定時運行能力を持って運用されてきたのは、時間に厳密であることが日本に特有の「文化」であるからだ。さらに、時間に厳密であるほうが「いいに決まっている」という価値観は、それ以外の価値観や考え方を許容しない点で、判断停止であり、日本の「文化」の限界であると主張されている。つまり、時間に厳密であることを是とする日本の文化が、日本が高速鉄道の輸出において苦戦する原因となっているのである。
要約例②
筆者は、植物社会のあり方と人間社会のあり方は同様のものであり、植物社会が示す「競争・我慢・共生」のルールは、人間を含めたすべての生物が生き抜くための基本的かつ本質的な掟であると述べる。したがって、人間社会は、競争関係だけでは成立しないと言われる。実際に、グローバル化の進展や、競争原理にもとづいた資本主義のもたらす構造が、社会の中に格差や貧困に加えて人々の分断をもたらしている現実がある。というのも、世界において格差や貧困の問題があることが人々に認識されているものの、それらを解消する根本的な解決策が未だ見出されていないからだ。
小論文試験における要約問題、小問について
一般的な小論文課題として「以下の文章を読んで、○○○について/下線部について、あなたの考えを800字以内で述べなさい」といった問題が出題されます。しかし、課題文型小論文では、要約問題や課題文の内容について読解の力を測るための小問(100字から200字程度で記述させる問題)も出題されます。こうした要約、小問に対応するための参考書を紹介したいと思います。
・高校生のための現代思想エッセンス ちくま評論選三訂版
・高校生のための科学評論エッセンス ちくま科学評論選上記いずれの書籍においても、課題文の内容を問う読解問題と解答が付されており、小論文試験における小問の練習として、一人でも訓練を行うことが可能です。また、課題文の要旨も200字でまとめられており、こちらも要約問題の対策として活用することができます。自分で要約を書いてみて、掲載されている要旨と比較することで、要約におけるポイントを理解することができます。
課題文を読解するという根本的問題
小論文試験において各学部学科で根本的なレベルで共通しているのは、課題文や資料等を正確に読解し、読み取ることができる力を備えているかを測ろうしているという点です。潜龍舎ではいかなるテーマが出題されようとも対応できる力を培うことを小論文対策の目的の一つとしています。課題文を正確に読解するためには、課題文を理解するための「コード」(前提、基礎知識、考えるための方向性)を備えておく必要があります。現在刊行されている小論文を書くためのネタ本のような書籍を読んでそうした「コード」を身につけていくこともよいと思います。潜龍舎では、より上級者向けに以下の本を読んでおくことを推奨しています。20年以上前に出版された書籍のため、若干扱われているテーマが古いものもありますが、課題文を読解するための「コード」を高いレベルで習得するための考え方について学ぶことができると思います。
・小論文を学ぶ: 知の構築のために、2001/8/10、長尾辰哉
設問を読んでいない…
皆様がお書きになる小論文答案の最たる問題点は、設問の要求を満たしていないということです。設問の指示に従うことができず、明後日の方向、的外れな内容の答案をよく見ます。また、「型」の発想にとらわれて、設問の指示にないことを記述している答案もよくみます。
設問の指示に従うということ
問 次の文章を読み、筆者の主張を踏まえたうえで、あなたの考えを述べなさい。
よくある非常にシンプルな問題です。この設問の要求は二つあります。
①筆者の主張を踏まえる→筆者の主張を小論文において明らかにする。
②筆者の主張に対して、自分の考えを述べる。
「自分の考えを述べる」とは
①論点を定める
②主張を行う
➂理由・根拠を示す
④具体例を示す
等の論理的な構成を行って、「論述」を行うことです。
このように設問の指示を適切に理解する必要があります。ところが、皆様の答案は、どういうわけか、筆者の主張をまとめるという指示に対して、課題文全体の要約をしてみたり、筆者の主張を確認もせずに、いきなり自分の主張から述べはじめるという、小論文としての体裁を成していない答案が散見されます。設問の指示に従うことすらできていない答案は、減点されるか、最悪何を書いてあろうとも0点です。まずは、もっと設問を丁寧に読み込み、設問の要求を正しく、正確に理解するようにしましょう。設問を正しく理解する実践例
「箱の外に出て思考する哲学の力」とはどのような場合に有用だと思いますか。具体的な例を挙げて、あなたの考えを600字以内で述べなさい。
2021年度 筑波大学人文・文化学群 比較文化学類 学校推薦型選抜 小論文より
設問の要求
①「箱の外に出て思考する哲学の力」とはどのような力なのかを課題文に即して明らかにする
→課題文によれは、×××ということから「箱の外に出て思考する哲学の力」とは○○○することができる力だといえる。
②「それでは筆者の述べる「箱の外に出て思考する哲学の力」は、どのような場合に有用だといえるだろうか」といった論点を提示する。
➂論点に対して、主張を行う。~~~~~~という点において、○○○することができる力は有用だと考える。
なぜなら、
たとえば(具体例の提示はここで行う)
したがって、
設問は最低でも5回読みましょう!
皆様は、驚くほど設問を読みません。さらにご自身が思っているほど、正確に設問を理解もしていません。そのために、設問は最低でも5回は読み、設問において何をすることがもとめられているのかをともかく正確に把握することから始めましょう。
書きながら考えるな!考えてから書け!」
年間一人で40,50本近く大学入試小論文課題の模範解答を作成しております。これを10年以上毎年行う生活を続けていると、(すべての問題とは言いませんが)たいていの小論文課題であれば、課題文(あるいは各種の資料、データ)や設問を読んだ段階で、何をどのような順番で書くべきかイメージやストーリーがすぐにできあがってしまい、模範解答が自動的に頭のなかに生成されるようになります。これはほぼ職業病といえますが、この話のなかには受験生のみなさまにとっても有益なポイントがあるといえます。プロの小論文指導者が頭のなかで何を考えているのか、明らかにしたいと思います。
プロットを作る
さて、弊塾には小論文を書く際の鉄則の一つに、「書きながら考えるな!考えてから書け!」というものがあります。すなわち、小論文を書く「前」に何を書くべきか、プロットを作り、その構成を考え、ゴールを定めてから書き始めなさいということです。「小論文の書き方が分かりません」という人のほとんどは、このプロットを作っていません。プロットを作ることすらも知らないのだと思います。高校生のみなさんは何かを書けといわれて、いきなり書ける人は多くないと思います。したがってまず、何を書くか、どういう順番で書くのか、どのような例を用いるのか、どのような主張を行い、どのような結論を導き出すのか、こういったことを課題文や設問の指示に厳密に従いつつ、小論文を書く「前」に考える必要があります。プロットの出来によって、小論文答案の出来の8割が決定します。反対に、プロットを考えずに、「考えながら書く」スタイルの答案は、たいていが話の筋がおかしかったり、論理的整合性が欠けていたり、設問の要求にすら答えることのできない内容になってしまっているものが多いです。小論文の書き方がわからない、書けないと言う人は、まずプロットを作る練習をしましょう。
出題者=課題文筆者=志望学部のメッセージを受け取っていますか
プロットを作るときに重要なことは、設問者からのメッセージを考えることです。つまり、課題文、与えられた資料などから、設問者がいったい何を考えさせようとしているのかを考えることです。課題文における問題意識や主旨は、たいてい設問者の問題意識と重なります。したがって、課題文を読み、設問を確認した時点で、ある程度考えるべき方向が定まるともいえます。課題文や設問から、何を考えるべきなのかを正確に把握することが小論文課題に向き合うための第一歩だといえます。
また、各学問分野には、その学問的理念や社会として目指すべき方向、学問が社会に資することを目指す志向性があります。たとえば教育学部であれば、「現行の教育制度を批判的に考えつつ、望ましいこれからの教育のあり方について考えること」が小論文課題において考えるべき方向性の一つなります。小論文課題そのものを深いレベルで理解することが、実は答案を作成するうえでの近道になっています。こうした観点を課題文や設問から得て、自分なりにものを考えることができるのか、これが小論文試験では問われているわけです。したがって、上記の教育学部の例であれば、ただ単に現行の教育現場や制度について批判するような内容を書くだけでは不足があるわけです。そこからどのような教育があるべきかを考える必要があるということを、課題文や設問から考える必要があるということです。
設問の指示に従いなさい
小論文を書けないと言う人は、設問の指示に厳密に従わない、すなわち設問をよく読んでいない、あるいは読めない!?人が多いです。設問の指示に従えば、ある程度書く方向性や内容が決まるのに、非常にもったいないです。設問は黙って最低5回は読みましょう。たとえば、以下のような設問があるとします。
本文で述べられている状況を受けて、行政側のどのような対応が必要となるでしょうか。本文で述べられている事例や問題を踏まえ、あなたの考えを400字以内で述べなさい。
この設問から問われていること、すなわち小論文に何を書くべきかを正確に把握する必要があります。
問われていること=小論文に書くべきこと
a.本文で述べられている状況を受ける(=この状況を説明しなさい)
b.本文で述べられている事例や問題を踏まえなさい(=事例や問題について説明しなさい)
c.行政側にはどのような対応が必要となるか答えなさい
答案において、上記のa,b,cが欠ければそれだけ減点されていきます。上記a,bについては本文に書かれているので、自分で考えることではありません。a,bについて書かれていることをまとめるだけです。上記c の項目が小論文として自分なりに考えるべきことです。
プロットの作成において、字数も考えましょう
仮に、aに80字、bに100字を説明のために用いたとすると、規定字数の半分近くが埋まることになります。したがって、cに対しては200字強の字数を割くことになります。さらに、「行政は〇〇支援の拡充を行う必要があると考える。ぜなら、〜〜〜〜〜だからだ。たとえば、〜〜〜〜」と文章をつなげていくことを考えると、ある程度、書くべき内容、字数が自動的に定まってしまう部分があります。以上より、設問の指示には愚直に従ってください。何をどれだけ書くべきかは、設問が教えてくれることが多いです。字数が1000字、2000字になっても設問の指示に従うことがまずは重要です。
他者に自分の考えを伝えるための説明の「構造」について
いつまでやっているんだろう、序論・本論・結論…
小論文は主に序論・本論・結論の形で書いていくと良いでしょう。
序論ではこの文章では何を書くかまたその理由などを書きます。
本論では序論を詳しく説明していく形で、具体例などを用いると良いでしょう。
結論ではその結果自分が何を言いたいかまた、問いに対してどう思うかなどを書きます。
いまだに愚にもつかない「序論・本論・結論」という書き方ともいえないような「型」のアドバイスが行われているのをよく見ます。上記のような「型」に当てはめることによっては小論文を書くことはできません。潜龍舎では「型」のようなものは一切教えません。しかし、人に自分の考えを伝えるためには必要な要素があります。野矢茂樹『新版論理トレーニング』(産業図書、2006年、43-48頁)を参照しながら、説明の構造を考えていきましょう。説明の基本形式
小論文課題においては、基本的に自分の考えを述べることが求められます。野矢茂樹『新版論理トレーニング』にもとづいて、自分の主張を述べて説明を展開するためのもっとも単純かつ骨太な基本の形式を確認します。
ある主張に対しては、二つの反応が考えられます。
(1)その主張に対して「どういうことか?」という主張の「意味」を尋ねる反応
(2)その主張に対して「なぜ?」という主張の「理由」を尋ねる反応
したがって、「どういうことか」と問われたならば「解説」を行い、「なぜ」と問われたならば「根拠」を示すことになります。
主張A ①→ どういうことか?→解説
②→なぜ?→根拠
さらに、示された解説や根拠に対してもさらに、「どういうことか」という問いかけや「なぜ?」という問いかけがなされることもあります。こうして、それ以上解説も必要とされず、また根拠も十分であると見なされるようになったならば、そのとき主張Aは明確に、かつ説得力をもって、主張されたことになります。そこで、主張Aが明確に、説得力をもって主張されたならば、次の主張Bに移ります。主張Aと主張Bの接続の形は、「付加」(そして、さらに、しかも、むしろ)か「転換」(しかし、だが)のいずれかということになります。野矢によれば、議論の構造の基本形は、究極的には以下のようになります。
野矢茂樹『新版論理トレーニング』産業図書、2006年、48頁より。
つまるところ、他者に自分の主張を説明するためには、上記のような説明の構造を持たせることが必要だということになります。小論文の場合
小論文課題において「あなたの考えを述べなさい」という設問の指示は、自分の主張を行えということが含意されています。したがって、主張に対して野矢の示す図のように、解説や根拠を行う必要があります。小論文の場合には、根拠を説明することが一般的です。
形式的には主張→理由・根拠→(具体例)→帰結という展開を行なっていく場合が、小論文の字数制限のなかでは多いです。実際に、そうした記述を見てみましょう。
近年、特別支援学級に限らず普通学級においても、学習障害を抱える子どもが見られることが報告されている。したがって、これまでのような授業運営や学習指導では学習障害を抱える子どもたちに対応することが難しい。それゆえ、(主張)教師を志す者として、私はこうした子どもたちにも学習が可能となるような工夫を行っていくことが大切だと考える。(理由)なぜなら、学障障害を抱える子どもたちの「障害」が教育現場である学校や教育方法そのものから生み出されている可能性があるからだ。(帰結)したがって、課題文においても述べられているように、これまでの授業法や学習指導法に対して、学習障害を抱える子どもたちに適応させる努力を強いるのではなく、教師による工夫や仕組みづくりによって学習障害が「障害」とならないようにすることが重要だと考える。
小論文の論述にあたっては以下のような構成を行うことがオーソドックスです。論文の構成要素
・論点の提示
何について書くのか主題を示す。入試小論文の設問は、「○○についてあなたの考えを述べなさい」、というものが多いです。したがって、「○○とはどうあるべきだろうか」、「○○を実現するためには何が必要だろうか」というように、論点は疑問形で示すとよいです。
・主張
論点に対して、自分の主張を簡潔に述べます。「○○は~~~であるべきだと考える。」と自分の考えを明確に示します。
・主張の理由・根拠
小論文では主張の言い放しは、絶対に避けてください。何か主張を行ったら、必ずその理由・根拠をセットで述べましょう。「なぜなら~だからだ。」、「というのも~だからだ。」というように、明確に理由を示します。また、何か素晴らしいことをいう必要はないです。論点に対して、現実的かつ妥当な主張を行います。現実離れした妄想みたいな解答は不要です。
・具体例
主張に対して、適切な具体例を挙げられるかどうかも高得点を狙ううえで重要です。このあたりは、社会的文脈力が問われます。潜龍舎では、そうした背景知識なども叩き込んでいきます。ただし、字数によっては具体例を挙げる余裕がない場合もあります。その場合には、ごく簡潔に示せばよいです。
・結論
潜龍舎が求める結論は、ここまで論じてきたことを全体として俯瞰したところから示す一段高い結論です。この結論の書き方は、実際に指導を受けて体得してもらえればと思います。ただ、字数によっては結論を改めて書く必要がない場合もあります。
型ではなく説明の構造を考えましょう
「序論・本論・結論」、「起承転結」といった「型」に当てはめようとするのではなく、設問の要求に従い、設問の要求を満たし、必要な説明を行うための、小論文における「説明の構造」や「スタイル」を考えましょう。まず、基本的な構造として、主張→理由・根拠→(具体例)→帰結という説明の上で不可欠となるスタイルを徹底して貫きましょう。これだけでもみなさんの論述は格段にレベルアップします。
あとは、a.それぞれの項目にどの程度字数を割くのかという字数配分の行い方、b.そもそもの自分の主張の発想法、c.現実的かつ妥当な理由根拠の発想法、d.具体例を記述するための知識などを身につける必要があります。
論理的な文章とはなにか
どのような小論文対策解説書、小論文対策指南書にも「論理的な文章を書きましょう」と書いてあると思います。論理的な文章とはいったいどのような文章のことなのでしょうか。高校生の多くがよくわかっていないように思われます。今回は「論理」について考えてみましょう。
論理とはなにか
思考は閃きを必要とする…①
頭のよい人は閃きを得る力に恵まれている。…②
つまり、頭のよい人は思考力もある。…➂
野矢茂樹『新版論理トレーニング』産業図書、2006年、5頁より。
上記の論証は妥当なものではありません。つまり、①と②の文から➂を導き出すことはできません。なぜなのか、すこし考えてから、以下を読んでください。まず①で「頭のよい人は思考力がある」と主張される。「頭のよい人は思考力がある」と主張される。そして次に、②「論理力は思考力ではない」と主張を付加する。この時点で、頭のよい人と論理力の関係についてはまだ何ひとつ述べられていない。たしかに頭のよい人と思考力の関係については主張されている。しかし、論理力は思考力ではないのだから、頭のよい人と論理力の関係については、まだまったく白紙のままでしかない。それゆえ、これら二つの主張から「だから、論理力は頭のよい人だけのものではない」という結論を導くことはできないのである。
野矢茂樹『新版論理トレーニング』産業図書、2006年、6-7頁より。
野矢先生によれば、論理とは「言葉と言葉との関係」です。論理的であるとは、「さまざまな文や主張のまとまりが、たんに矛盾していないというだけでなく、一貫しており、有機的に組み立てられていることを意味している」とのことです。小論文においても完全に当てはまることだといえます。上記のような簡単な文からなる論証においても、その論理を考えてみると妥当ではないことがわかります。日本語において論理を考えるためには、どうしたらよいのでしょうか。日本語において論理を担保するもの
結論からいえば、日本語における論理は、言葉と言葉、文と文との接続関係に現れます。接続関係が適切でなければ、論理的な文章とはいえません。したがって、弊塾においては小論文を書く際に、主張以外のすべての文に接続詞をつけなさいという指導を行なっております。また、接続関係を明確に示すことができない文章は、その説明や議論にとって不要なものであることが多いといえます。以上より、日本語において文章の論理を担保するものは、接続表現であるということになります。
接続詞がひとつもない答案
初めて小論文を書く生徒の中には、接続詞をひとつも用いることなく答案を作成する人もいます。しかし、接続詞を使わない/使えない人というのは、論理についてまったく考えていないということになります。つまり、主張に対する論証を考えていないわけです。主張だけを書き連ねても、小論文の体裁をなしません。それはただのエッセイです。主張に対しては、その理由・根拠を必ず示す必要があります。したがって、「なぜなら」「というのも」といった理由・根拠を示す接続詞を必ず用いることになります。つまり、小論文の答案を書くならば、必ず接続詞を使わざるをえないのです。
用いる接続詞は実はさほど多くない
潜龍舎の小論文の書き方における必要不可欠な構成要素は以下です。
・主張
・主張の理由・根拠
・具体例
・結論
これらの要素を書いていくときに用いる接続詞は限られています。主張:~~~であると考える。
理由・根拠:なぜなら(というのも)~~~~だからである。
具体例:たとえば、~~~ということが挙げられる。
結論:したがって(以上より)~~~~である。
「なぜなら」、「たとえば」、「したがって」、弊塾の模範解答で用いられている接続詞はほとんどこれだけです。小論文では字数の都合から、複雑な構成を持った議論を展開することはできません。また、可能な限りシンプルな構成が望ましいといえます。となると、用いる接続詞も限られ、説明における論理や理屈もできるだけシンプルにすることが重要だといえます。
模範解答の研究をしなさい
「小論文をどのように書いたらいいですか」
「どのような構成で書けばいいですか」
「何を書いたらいいのでしょうか」
「どのような知識が必要でしょうか」
上記のような質問への回答はすべて模範解答が教えてくれます。みなさん、模範解答をきちんと分析、研究していますか。
模範解答の研究をしなさい
模範解答はただ読んで「ふ~ん。なるほどね。」と終わるのではなく、どうしたら合格水準の解答を自分で作ることができるのかについて模範解答から学び、考える必要があります。また、接続詞の使い方や論の展開の仕方も研究するようにしてください。さらに、表現の仕方や言い回し等、真似をして自分の表現として使いこなせるようになることも必要です。加えて、その答案を作るためにどのような知識が自分には必要になるかも理解することができると思います。
模範解答から学ぶべきこと
a.どのような構成をして論述を行っているのかを学ぶ。
b.どのような主張やアイデアを提示しているかを確認し、自分だったらどのような主張を行うことができるのか、あるいはそもそもアイデアや主張を提示するために必要な知識は何かを知る。
c.合格水準の答案と自分の答案との差異を明らかにして、自分の答案に不足していることが何かを知る。
d.小論文にふさわしい表現はどのようなものなのかを学ぶ。
e.設問の要求に対して、どのような応答や内容の展開を行っているのかを学ぶ。
f.上記を小論文ノートとして自分専用ノートにまとめる。
模範解答がない!?
小論文対策指導者のなかには模範解答を配布しない者が存在していることを、転塾してきた生徒たちから時折耳にします。しかし、弊塾の指導からすればありえません。指導者が語るよりも、生徒が模範解答から学ぶほうが効率的であったり、生徒自身が納得したりすることが多いとさえいえます。誰だって自分が一生懸命書いた文章について行単位で、構成から表現のレベルまでチクチク、ネチネチ(苦笑)、微に入り細を穿ち批判されるのは、基本的には嫌だと思います(喜んで聞く生徒もたまにいますが)。それよりは模範解答に一人で対峙して、どうしたらこれを自分で書けるだろうと試行錯誤する方が、小論文を書く力は身につきやすい部分もあると思います。いずれにせよ、指導者による解答方針や論の設計思想が反映された模範解答を分析、研究することは小論文対策において不可欠だといえます。というのも、合格水準を知らずしていくら小論文を書き連ねてもほとんど意味がないからです。
模範解答の研究を行なった上で書き直しを行う
潜龍舎では一度添削や対面指導を行なったのち、模範解答の研究をしてもらった上で、再度、同じ問題について、必ず最低一度は答案の書き直しをしてもらっています(多い人だと3回ぐらい書き直しを行います)。模範解答から学んだことを再び同じ問題を用いて実践してもらい、書く技術を体得してもらう必要があるからです。また、書き直しを行うことによって合格水準を知り、その水準に到達するための課題や目標をその都度明らかにしながら、書く力を備えていくことが重要です。
模範解答を作成・配布する指導者を選んでください
書かれたものついて、(そのレベルや質は度外視しても)あれこれアドバイスしたり注文をつけたりすることは実は割と誰でもできます(たとえば、高校生のみなさんも小学生の書いたものについては、アドバイスできると思います。)。しかし、自身の指導方針に基づいた模範解答を作成できないのであれば、その者は小論文対策指導者とはいえません。なぜなら、「どのように書いたらいいですか」という生徒がもっとも聞きたい質問に対する最善の答えは、模範解答を提示することだからです。したがって、模範解答を作成・配布する指導者に指導をお願いするようにしてください。
「書かなくてもできる小論文対策」
課題文をそもそも読解できていない問題
上位の大学の小論文課題は、課題文の内容が相応に難しくなってきます。とはいえ、出題される課題文の出典を見ると新書や一般向けに書かれた書籍などが多いです。特別な専門書などから出題されることはまずありません。しかし、課題文を正確に読解できない人が非常に多く見受けられるように思います。これでは、小論文を書く以前の問題なのです。
負のスパイラル
オーソドックスな課題文型小論文の設問として、以下のようなものがあります。
「次の文章を読んで、筆者の主張を要約し、それに対してあなたの考えを述べなさい。」
課題文を正確に読解することができないことによって生じる以下のような負のスパイラルがあります。
①あなたは、そもそも課題文が読めていない。
↓
②課題文を読めていないから、あなたは筆者の主張をつかめていない。
↓
③筆者の主張をつかめていないから、あなたは要約ができない。
↓
④要約ができないから、あなたは文章の要旨に対して適切な論点を設定できない。
↓
⑤適切な論点が設定できないから、自分の考えが述べられない。
(設問の要求から盛大にズレまくった解答になる。)
みなさん、上記の負のスパイラルが本当に綺麗に連鎖していきます(笑)。諸悪の根源は、「課題文の内容を正確に読むことができていない」という上記のファーストステップです。
小論文課題の出典書籍を読む
「こういう文章、読み慣れていません…。」
課題文を正確に読むことができない生徒が必ず言います。そうであるならば、読み慣れてください。そのために、自分の志望する学部学科の過去問の出典を調べ、その出典の書籍を読んでください。課題文は大学側からのメッセージです。すなわち、「このぐらいの文章を読み解き、そのテーマを共有し、自分の考えを表現する力を持っていてほしい」というメッセージです。大学側が提示する程度の小論文課題を読み解くことができなければ、合格への道は開かれません。そのためにも、小論文における課題文の読解に難がある人は、まずは出典の書籍を読んでください。読み込んで、読解に慣れ、一定の水準に達する必要があります。「本を読むことによって、読解力が身につく/身につかない」といった教育者間の論争もありますが、そもそもあなたは読んでいないし、読み慣れていないのだから、それ以前のお話です。ごちゃごちゃ言わずに、いいから読んでください。まずは、少なくとも読み慣れる必要があるといえます。知らない言葉を調べ、内容としてわからない箇所については、学校の現代文の先生に聞くこともできると思います。読解のための努力をしましょう。
実際上、小論文対策はどれぐらい行わなければならないのか問題
小論文対策にかけてよい時間はどれぐらいなのだろう。どれぐらいの時間を小論文対策にかければ、合格することができるのだろう。戦略的な受験対策を考える場合に、受験生が知りたいことだと思います。潜龍舎のこれまでの合格者のデータをもとに、実際の数値を割り出してみました。
合格者の小論文対策講座受講回数の平均
弊塾の小論文対策の場合、合格者について2021-2023までの直近3年のデータを調べてみますと、合格者の平均受講回数は、7.77回となっております。つまり、小論文対策を完成させるにはおおよそ、7,8回程度の受講が必要だとわかります。
合格者はどれぐらいの時間を小論文対策にかけているのか
上記のデータをもとに回数から時間への換算を行いますと以下のようになります。
(1回80分の受講時間となっております。また、一つの小論文課題を執筆するのに、90分かかることを想定して計算をしています。)
合格者について
①平均総小論文対策受講時間10.36時間(受講の時間に小論文執筆の時間は含まれない)
②平均小論文執筆総時間23.31時間
①+②=潜龍舎において小論文対策にかかる総時間数=33.67時間
弊塾においては、合格者が小論文対策にかけている時間は、平均で33.67時間です。
34時間ください!そうすれば合格できます!
弊塾で小論文対策を行って合格した生徒たちが小論文対策に費やす時間は、総計およそ34時間ということが明らかになりました。というわけで、平均値で考えると潜龍舎では34時間の小論文対策の時間があれば、志望校に合格することができると言えます。
そもそも論①―対策の仕方がわからない…
試験まで時間が迫っているのにもかかわらず、対策の仕方がわからないという相談を毎年多数受けます。何をどれぐらい、どのようにすればよいのかがわかっていないようです。学校の先生に小論文の答案を見てもらってはいるけれど、問題への取り組み方やペース、どの問題に取り組むべきなのか等について指導がなされていないようです。
学校の先生の指導…
学校の先生は、われわれのように模範解答を作成し、年間1000本以上の添削指導や講義を行う小論文対策のプロではないです(指導ができる先生もなかにはいますが、まれです)。当然です、学校の先生は高校教員であって、小論文指導者ではないからです。したがって、「学校の先生は教えてくれない」というのはお門違いなのかもしれません(とはいえ、小論文対策を引き受けるからには、責任を持って指導をするべきだと私は思いますが…できない仕事を引き受けるべきではないと思うのです)。
弊塾の小論文対策指導
指導方針は指導者によって異なります。また、どのような科目・教科指導においてもそうですが、絶対的な指導法というものはありません。弊塾の指導法は、基本的には最初から過去問を用いることによって、志望校・志望学科に特化した対策指導を行うことで、最短のルート、最小の労力で成果を得ようとするものです。当該学科の出題傾向、出題様式について十全に分析したうえで指導を行い、身につけるべき知識等についても伝授いたしますので、無駄がありません。さらに、指導ペースは基本的には隔週です。(ただし、試験日が近い場合にはこの限りではありません。)しかし、必ず小論文の書き直しをしてもらうので、実質的には月に4本は小論文を書くことになります。過去問がない場合には、志望校の過去問と同程度のレベル、学問分野、テーマ、字数等を勘案したうえで、他大学の過去問を用意して演習を行います。
絶対に一人でやろうとしないこと
何度でも申し上げますが、小論文対策は一人ではできません。必ず明確な指導方針や確立された指導法を備えた適切な指導者から指導を受けることが、小論文試験で合格答案を作るための必須条件です。毎日小論文を書くべきだという言説も見られますが、時間に制限があるなかでは現実的ではないですし、適切な問題に取り組まなければ試験対策としては無駄が多いです。以上より、まずは「適切な」指導者を見つけましょう。
指導方針に基づいた模範解答を読み込まないと意味がない
指導者の指導方針にもとづいた模範解答を読まないと何をどうするべきか、改善点が何かわからないと思います。したがって、必ず指導者に模範解答を作成してもらうように要請しましょう。模範解答を作成してくれない指導者は、問題外です。模範解答はただ読んで「ふ~ん。なるほどね。」と終わるのではなく、どうしたらその解答を自分で作ることができるのかについて考えましょう。また、表現や接続詞の使い方等も復習として研究するようにしましょう。
そもそも論②―適切な指導者を見つけなさい
小論文対策を始めるにあたってまず行うべきは適切な指導者をみつけることです。適切な小論文指導者を見つけるために、適切な指導者の条件を挙げておきます。
適切な小論文指導者の必須条件
①模範解答を作成してくれる
②細部にわたる添削指導をしてくれる
➂たんに言葉遣い等を直すだけではなく、内容について、
何をどう書くべきなのかについて指導してくれる
④問題へのアプローチの方法や、発想・構成の仕方等、「考え方」について教えてくれる
⑤学部学科の特徴や過去問の分析、傾向にもとづいた、論述に必要な知識を伝授してくれる
⑥過去問などがない場合に適切な問題を用意してくれる、その問題に取り組む必要性について
説明してくれる、あるいは問題を作成することができる
⑦何をどれくらい、どのようなペースで取り組むべきか具体的に教えてくれる
⑧具体的に改善するべきポイントを指導してくれる
ダメな指導者
・「もっと、がんばれ」「気合いで書け」等の精神論を述べる(精神論では書く技術は当然向上しない)
・「ここはよく書けている」などといってひたすら丸などを付ける先生(修正が必要な箇所を指摘してくれないと何をどう直すべきなのかがわからない)
・小論文の添削が言葉の使い方のみである(そもそも、そんなものを添削指導とはいわない)
・何をどう書くべきかについて指導してくれない
・模範解答を作成してくれない
・生徒が取り組むべき適切な問題を用意してくれない
・発想の仕方、説明の論理等について説明してくれない