こんにちは
兵庫県赤穂市の進学個別指導塾Willbeの光庵(こうあん)です。
小学生や中学生が読んで、目先の点数ではなく、広い世界を知るという意味で賢くなりそうな本を、毎月、集めて本棚においております。
また、将来の夢や目標は「偶然の出会い」によるところが大きいです。誰といつ出会うのか?それは運です。違いがあるとするならば、出会いを求めてにいく習慣があるかないかでしょう。
一方で、人は「イメージ出来ない事」は実現できません。何にも出会わずに「将来の夢」「自己相対化」について考えるなど不毛なことでしょう。
賢い子(偏差値という意味ではなく)は、世の中を知っている。賢さは経験でも読書でも漫画でもどこからでも得ることが出来ます。
今回は、中世のプリンセス:アンナ・コムネナです。
中世のプリンセスが賢すぎた件について
アンナ・コムネナ
正直に申し上げれば、存じ上げなかった女性でしたが、読み始めてすぐにファンになりました。今では、頭の中がアンナ・コムネナ一色です。
私自身は世界史にはあまり自信がなく、冒頭の10ページほどは世界観に慣れるのに少し苦労しました。しかし、ビザンツ帝国特有の同じ名前が何度も登場するが別人問題も、制度的側面から何度も毎回説明してくれるので、パニックにならずに済みました笑。状況がつかめてくると物語にスッと入り込むことができ、2時間ほどで第1巻から第6巻まで一気に読み終えてしまいました。
ビザンツ帝国って変な帝国です。
歴史漫画は勧める相手を間違えると事故が起こりやすいのですが、はっきり言って、これは誰にでもおすすめできる漫画です。『キングダム』のような大ヒット作品にはならないかもしれませんが、読む人の心を確実に鷲掴みにする力があります。
私は、こちらの歴女養成シリーズに加える気満々であります。
アンナ・コムネナの生きた時代
アンナ・コムネナって誰?
・お父さんの伝記を書いた人
・お父さんについて書いた伝記があまりにも凄すぎて、歴史家たちがビザンツ帝国の文化や生活様式、っまたは十字軍について研究するときに読みまくった。
・賢過ぎて皇帝になろうとした??
・女性の社会進出にも重要な役割を果たした??
・子に勉強して欲しい親は福沢諭吉を引用する(かも)が、アンナコムネナはギリシャ神話を引用する?
ビザンツ・帝国とは?ローマ帝国まとめ
アンナ・コムネナは、11世紀から12世紀にかけて、現在のトルコ周辺を中心に栄えていた「ビザンツ帝国(東ローマ帝国)」という国の皇帝の娘として生まれました。彼女が生きたのは、中世ヨーロッパの十字軍が活発に行われていた時代です。
ビザンツ帝国(東ローマ帝国)は、古代ローマ帝国が東西に分裂した後の東部を継承した国家であり、西暦330年にコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)を首都としたことでその歴史が始まりました。395年にローマ帝国が正式に東西に分裂すると、西ローマ帝国は476年に滅亡しましたが、東ローマ帝国はその後も千年以上続き、1453年にオスマン帝国により滅ぼされるまで存続しました。
西ローマ帝国は、ローマを中心としたラテン文化とキリスト教(カトリック)を基盤とし、ゲルマン民族の侵入などにより早期に衰退しました。一方、ビザンツ帝国はギリシア語を公用語とし、古代ギリシア文化とキリスト教(正教会)を融合させた独自の文明を築き上げました。東西で言語、文化、宗教の形態が異なったことが、後の東西教会の分裂(1054年の大シスマ)へとつながります。
神聖ローマ帝国は、800年に西欧のカール大帝(シャルルマーニュ)がローマ教皇から皇帝の冠を授けられたことに始まります。歴史上有名な一族ハプスブルグ家が治めていた帝国としても知られています。この帝国は西ローマ帝国の後継者を自認していましたが、実際には中世ドイツを中心とする緩やかな諸侯(王様)の集合体で、ビザンツ帝国のような中央集権国家とは異なります。神聖ローマ皇帝は、ナポレオンの台頭によって諸侯に影響力を失い、自らの皇帝位を正式に放棄し、解体を宣言しています。神聖ローマ皇帝とビザンツ皇帝の両者は、いずれが「ローマ帝国」の正統な継承者かという点で互いに競合しました。
まとめると、ビザンツ帝国は古代ローマ帝国の東半を継承した中央集権的な国家で、ギリシア文化と正教を基盤とした文明を築きました。西ローマ帝国はラテン文化とカトリックを基盤とするも早期に滅亡し、神聖ローマ帝国はその「西ローマの再興」を目指した中世的権威の象徴でした。この三者は、それぞれ異なる文化的・宗教的背景を持ちながらも、「ローマ」の名を巡って歴史的に深く関わっていたのです。
アンナの父・アレクシオス1世は、第一回十字軍(1096年~1099年、キリスト教徒がエルサレムを目指して遠征した戦い)に関わり、複雑な外交や戦争に対応していた人物です。
アンナ自身はとても頭がよく、歴史や哲学、医学などを深く学びました。のちに、父の政治と戦争の記録をまとめた『アレクシアス』という歴史書を書きました。これは、中世ヨーロッパの歴史を知るうえでとても貴重な資料になっています。
オタクが描く面白さ
新しい歴史漫画ジャンル
私が幼かったころの女性漫画家は、主に少女漫画を描いていらっしゃったと思います。しかし、近年、所謂、漫画家がマンガを描くのではなく、小説家、歴史家など別分野が本業をされている方が、漫画を描くケースが増えてきているように思います。
その意味では、40代が思い描く歴史漫画のイメージとはかけ離れた歴史漫画が増えて参りました。そういう視点で見てみるとアンナ・コムネナは、少女漫画や従来の歴史漫画には無かった女性ならではの視点が事細やかに物語の中にちりばめられており男くさいマンガとは一線を画しています。
漫画的リアリズムのススメ
太宰治や三島由紀夫など戦後文学では「人生の意味」「真実」を探る重たいテーマを描くリアリズムが主流だったように思います。
しかし、エヴァンゲリオンやガンダムに代表されるようにアニメの世界のなかでも登場人物が深刻な悩みを抱えて葛藤する姿が描かれるようになりました。
世界のルールは決まっていて、世界のルールと自己との葛藤が描かれています。完全創作だとリアルではあるが現実そのものではなくゲームの世界でどこか他人事であるかのようにも感じてしまいます。
歴史を学ぶ良い視点は、あくまでリアルな出来事して存在していた(だろう)という点にある気も致します。
アンナ・コムネナ、あらためてそんなことを思い出させてくれました。
Willbe 図書館

