こんにちは。
兵庫県赤穂市の進学個別指導塾Willbeの光庵(こうあん)です。
弊塾で行っている「映画で学ぶ知の技法」の授業の感想や、高校生との日々の面談を通して、10代の子たちが抱える「人間関係の悩み」を赤裸々に聞く機会がたくさんあります。
最近、ある高校生がポツリとこんなことを言いました。
「最近、誰かに話しかけるのをためらう自分がいます」
これを聞いたとき、私は内心「おっ、成長したな」と嬉しくなりました。
他者との距離感を測りかねて、誰かに話しかけるのをためらう自分を見つけるなんて、まさに「いろんなことが客観的に分かるようになった(メタ認知が育ってきた)証拠」です。大人への階段を登っている何よりの証拠ですね。
しかし、現代の10代を取り巻く人間関係は、私たちが子どもの頃よりもはるかに複雑で、残酷です。 本日は、「SNSの人間関係や友達関係に疲れた中学生・高校生」、そしてそんなお子様を心配する保護者様に向けて、Willbe図書館からとある本をご紹介します。
SNSの「主語のない悪口」に疲れていませんか?
SNSの隆盛期において、子どもたちの人間関係は24時間休むことがありません。 LINEのグループや、X(旧Twitter)、Instagramの裏垢(うらあか)などで、陰口が簡単に可視化される時代です。
特に中高生を苦しめているのが、「主語がない発言」です。 誰かのSNSの投稿を見て、「あれ? それって私のこと言ってる…?」と勝手に傷つき、思い悩む瞬間が彼らには本当に増えています。
大人の私からすれば、「別に誰も、お前のことなんてそこまで気にしてねーよ(笑)」と笑い飛ばしたくなるような、「自意識過剰」の問題に過ぎないのですが、学校という狭い教室の中で生きる彼らにとっては、それが世界のすべてであり、極めて切実な悩みです。
このSNSの「見えない悪意」にどう立ち向かえばいいのでしょうか?
「人を傷つけるからダメ」という堂々巡り
『悪口ってなんだろう』 和泉 悠・著 (ちくまプリマー新書)
そんな人間関係に疲れた10代の心に、真正面から、しかも「学問の力」を使って寄り添ってくれるのが、今回Willbe図書館に追加したこの一冊です。
この本は、文化人類学や「言語学」の専門家が、真剣に「悪口のメカニズム」について深掘りした名著です。読書感想文の題材としても中高生に圧倒的にオススメします。
作中では、こんな問いが投げかけられます。
- 「○○さんは悩みがなくていいね」
- 「冗談で言っただけだよ」
- 「いじってあげてるだけじゃん」
- 「事実を述べて何が悪いんですか?」
さて、これらは悪口でしょうか? どこが悪いか、論理的に説明できますか?
悪口はなぜ悪いのかを問われたとき、ほとんどの大人はシンプルに「人を傷つけるからダメなんだよ」と教えます。
しかし、言語学の観点から見ると、それでは悪口の悪さを全く説明できていません。
例えば、恋人からの別れの言葉や、テストの点数が悪くて先生から叱られた時、人は深く傷つきますが、それは「悪口」ではありませんよね。
「相手を傷つけるからダメ?」
「じゃあ、相手が傷つかなければ(バレなければ)裏垢で言ってもOK?」
「事実なら言ってもいいの?」
10代の子どもたちは、大人から与えられた「傷つけるからダメ」という薄っぺらい道徳のせいで、思考の堂々巡りに陥り、人間関係のドロドロから抜け出せなくなっているのです。
「悩む」のをやめて「考える」ために、学問(知識)がある
悪口の話は、だいたいこうした感情論の堂々巡りになります。
そこからもう一歩踏み込んで、この堂々巡りを断ち切りたい方にこそ、言語学という「学問のメス」が必要です。
皆さんに、絶対に知っておいてほしいことがあります。 堂々巡りをしてしまう時というのは、あなたに「知識(考え方の型)」が足りない時です。
堂々巡りしている状態は、頭を使っているようでいて、実は「考えているのではなく、ただ悩んでいるだけ」なのです。悩みのループから抜け出して「考える」ためには、全く新しい視点との出会い(=読書)が不可欠です。
『悪口ってなんだろう』を読むと、悪口が単なる感情の爆発ではなく、「言葉を使って社会の中で相手の地位を下げる(ランキングを操作する)行為である」といった、極めて客観的で冷静な分析に出会うことができます。
学問の力で、自分を客観視する(メタ認知)
「悪口とは言語学的にこういう構造なんだ」という知識を手に入れた瞬間、SNSで流れてくる主語のない悪口や、友達からのトゲのある言葉を、感情のままに受け取るのではなく、「あ、これはランキング操作の言葉だな」「これはマウンティングの構造だな」と、一歩引いて冷静に分析できるようになります。
これこそが、学問が私たちに与えてくれる最強の武器です。 学問は、大学受験のためだけにやるものではありません。自分を苦しめている得体の知れないモヤモヤの正体を暴き、自意識過剰な自分を客観視し、人生を生きやすくするための「実用的なツール」なのです。
最後に:
SNSに疲れたら、Willbe図書館へおいで
「誰かに話しかけるのをためらってしまう」
「友達の言葉の裏を読んで疲れてしまう」
そんな風に、他者との関係性に思い悩み、立ち止まることができるあなたは、すでに十分賢く、優しい心の持ち主です。 だからこそ、そこから先は感情の海で溺れ続けるのではなく、「学問(知識)」の浮き輪を手に入れてください。
Willbeの自習室には、そんな10代の心のモヤモヤを言語化し、解決に導いてくれる本がひっそりと並んでいます。 SNSの画面から少しだけ目を離して、言語学の専門家が書いた本を開いてみませんか? 「悪口」の本質を知れば、きっと明日からの学校生活の景色が、少しだけ息をしやすいものに変わるはずです。
Willbe 図書館

































